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「ごんぎつね」ー何度も出会いたい、物語ー①

仕事の合間。
ふと、noteをのぞく。
そしたら、とても素敵な記事・企画に出会った。

チェーンナーさん、ご紹介ありがとう。
私も参加してみよう、”#教科書で出会った物語”

現在私は、教職に就いている。
大学の専攻・前職は、教職と全く関係ないものだったが、
その後の人生経験より、この職に出会っている。

自身の仕事について記したnoteは、過去にある。
しかし、仕事内容の詳細は明かしていなかったと思う。

私は非日本人(子供がメイン)・日系人に日本語を教える教師である。
でもメインは、在外に暮らす日本人子女・日系ミックスのお子さん達に
文科省の指導要領・指導計画に沿った内容を教える国語教師なのだ。
さらに、補習授業校にも教員として勤めている。

このような形態で働いているため、
私の教え子は、在住国のみならず、世界中に暮らしている。
PC・インターネット、そして時差があるお蔭でできる仕事だ。
朝はアジア・オセアニア圏、日中はEU・中東圏、夕方以降は北米と南米に
暮らす教え子達に会う毎日を過ごしている。

そんな私が、日本の教科書で出会った一番心に残る物語は、
「ごんぎつね」である。

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私が「ごんぎつね」に最初に出会ったのは、幼稚園児の頃だった。
今思えば、とてもクラッシックな挿絵の絵本だったように思う。

「ごんぎつね」を読み聞かせしてくれた大人が、
この話の結末を「いたずらばかりすると、こうなっちゃうんだよ。」と
ご本人の解釈を披露されているのを聞きながら、
「・・・ナンだか、・・・ちがう??」と思ったことばかりを覚えている。

その後、小学校4年生になって、再度「ごんぎつね」に出会っている。
秋の運動会練習が毎日続いていた頃で、担任教員も忙しなかったのだろう。
本文を音読して、読解する。そんな通り一辺倒なものだったのだろうか。
残念ながら、どんな学習をしたか記憶かない。

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それから何年も経って。
私は「ごんぎつね」と複数回、立て続けに再会することになる。
私の家族の音読学習に、それぞれ付き添ったからだ。
「お歯黒ってなに?歯を染めるって。ええっ、何でそんなことするの??」
新しく出会う語句に、音読は遅々として進まない。
でも改めて「ごんぎつね」の本文って、こんな話だったんだと
捉えなおす機会となる。

同時期私は、「ごんぎつね」の指導案を3授業日分作成することがあった。
学年度半ばで、当時の勤務校を辞めることになり、
後任となる新任教員の負担軽減のため、指導案を提供したかったからだ。

この時がそれまでで一番「ごんぎつね」と向き合った機会だった。
教えるにあたり、その単元内容を咀嚼する必要がある。
本文熟読は勿論、指導書の学習目標と指導要領を把握しないといけない。
日本の子供達が数日をかけて学ぶ内容を週一回の授業で教えるのだから、
エッセンスを指導できる内容にすることになる。

また、クラスの子供達の現状と照らし合わせ、調整する必要もある。
自分でなく、後任の教員が指導するのだ。
より多くの、様々なことを、想定しないといけない。
こうして色々な想いで、指導案を作成した。

後日、後任の教員から、滞りなく授業できたこと。
単元テストの結果は好ましいものであったという知らせが来てほっとした。

同時に、自分も「ごんぎつね」を元教え子たちに教えたかったんだと、
ちょっと複雑な思いを感じたことに気づいた。
そりゃあそうだ。指導案は、教え子とのデートプランのようなものだもの。
プランが上手く行ったのは嬉しいけど、自分とは実践していないので
つかみどころのない気持ちも感じることになったのだ。

そして、数年後。
私は「ごんぎつね」と再会する。


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