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ハードウェアの基礎(メモリ編)

おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。5月26日、愛媛松山は曇っています。今週は梅雨の中休みということらしく、ミッドウィークである水曜日を迎えてもあまり雨は降っていません。本日はスーパームーンと皆既月食が見られるメモリアルな日でもあります。というわけで今回のブログネタはメモリアルつながりでコンピュータで扱うメモリです。

メモリと書くと日本語で言うところの「目盛り」を想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、コンピュータはアメリカ合衆国で作られたもので、コンピュータを構成する部品などは基本英語です。ですので、「目盛り」ではなく「メモリー(memory)」です。メモリはコンピュータを構成する様々な部品につけられています。前述したCPUにもキャッシュという超小型のメモリが内蔵されています。一次キャッシュ、二次キャッシュ、3次キャッシュなどと呼ばれています。なぜCPUにそんなものが入っているかはここでは書きませんが、いずれ説明する機会もあるかと思います。今回お話するのはメインメモリについてです。

では「メモリ」は何をする部品なのか。ということですが、その名の通り記憶を意味する部品ですので、コンピュータで計算した結果や計算する材料を記憶しておく部分ということになります。コンピュータの学習をした方は座学では「主記憶装置(メインメモリ)」という呼び方で覚えるはずです。よく例として用いられるのが、「CPUが計算するための作業台」という表現ですね。非常に的確でわかりやすいと思います。私も過去に家電量販店のパソコンコーナーで販売のアルバイトを経験しましたが、お客様に説明するときにはこの作業台という言葉を使っていました。家電量販店でパソコンを購入するお客様は基本的にあまりデジタル機器に関しては、申し訳ないながら知識がある方はあまりいらっしゃいません。たまに販売スタッフのレベルを確かめたり困らせたりして遊ぶ詳しい方もいらっしゃることはありますが、デジタル機器に詳しい方は基本パソコン専門店にいかれる方が多いです。なので、CPUは脳みそ、メモリは計算処理を行うときに使用する作業台と説明すると大半のお客様はご納得いただけることが多かったです。

メモリの役割をもう少し詳しく説明しますが、なにかソフトを立ち上げたときを例にあげてみます。例えばワープロソフトを起動させるとしましょう。立ち上げ方は様々ですが、デスクトップ画面にアイコンが有る場合は、マウスでワープロソフトのアイコンをポイントして、ダブルクリックします。すると画面には瞬時にワープロソフトの初期画面が現れます。このときパソコン内部ではCPUにマウスによってワープロソフトのアイコンがダブルクリックされたという入力情報が入ってきます。CPUは補助記憶装置(HDDやSSDなど)にアクセスしてワープロソフトのプログラムを起動するための計算を行います。計算した結果としてワープロソフトの初期画面を呼び出すわけですが、これを記憶しておくためにメモリにワープロソフトの初期画面のデータを展開します。ざっくりと説明すると大体こういう感じです。CPUが計算してその結果を作業台に広げておくというイメージです。

あとはこのワープロソフトに対してキーボードから文字信号が入力されたら、ワープロソフトに文字を表示する計算をして、その内容をメモリに上書きします。例えばワープロソフトの初期画面に「あいうえお」とキーボードで入力した場合、CPUはキーボードの入力信号を計算し、「あいうえお」が入力されたと判断します。その「あいうえお」の文字をワープロソフトの初期画面に上書きする計算を行います。ユーザから見ると真っ白のワープロソフト上の1行目に「あいうえお」と表示されて見えています。ざっくりいうと今あなたの画面に写っている内容はすべてメモリ上に展開されている情報であると言って差し支えありません。もちろん画面に表示されない内容メモリ内には記憶されています。現在コンピュータが計算処理をしている内容の記憶はすべてメモリにある内容であるわけです。

以上のことからCPUの計算結果を記憶しておく装置であることがわかったわけですが、メモリには1つ弱点があります。それはコンピュータの電源を切ると記憶がすべて抹消されてしまうという点です。そう、メモリはあくまで「一時的な記憶」を取り扱う部品であり「データを記録」するための装置ではありません。なので、ワープロソフトや表計算ソフトで作業をして、だいたい70%くらい作業が終了していたとします。しかしそこで何らかのトラブルによってコンピュータの電源供給が絶たれてしまった場合、メモリ内のデータはすべて消去されてしまいます。電源断が一瞬で終わった場合、運が良ければメモリ内のデータが消える前に再度電源が供給されてデータが無事だったということもあり得なくはないのですが、基本的にデータはすべて消去されます。つまり、70%終了していたはずの作業はまた0%に戻り最初からやり直す必要があります。ソフトによっては5分または10分おきに補助記憶装置へ記録を自動的に取っておくように設定されている場合もあるのですが、大体どのソフトも基本的には自動で記録を取るようになっているわけではありません(ゲームソフトの場合は自動で記録するようになっているものも増えていますが)。それに自動で記録を取るまでの間に電源が絶たれる可能性もあります。

では大体の動きが把握できたところで、実際にコンピュータを買う場合どの程度の記憶容量が必要なのか?ということが気になりますね。それにはまず、メモリにどんな内容が展開されるのか?ということをある程度知っておく必要があります。これはパソコンでもゲーム機でも一緒なのですが、まずはそのコンピュータがコンピュータとして動作するために必要なシステムソフトの展開が必須です。OSと呼ばれるものですが、これがメモリに展開されていないとコンピュータとして動作することはあり得ません。例えばあなたがマウスを動かすとマウスカーソルが画面上を縦横無尽に動くと思います。これはメモリ上にOSのマウスに関するデータが展開されているので、マウスを動かすとマウスカーソルが移動するわけです。マウスの動きを止めるとメモリ上にマウスカーソルの位置を座標として記憶します。マウスを別の場所に移動させると、CPUがマウスカーソルの位置を再計算し、逐一メモリ上にマウスカーソルの座標を上書きしながら記憶していきます。キーボードから入力された文字も同じようにCPUが計算し、電気信号を文字記号として変換・計算し必要なソフト上に上書きして記憶します。

次に必要なのが使用するソフトの情報です。補助記憶装置からデータを読み出してメモリ上に展開しておく必要があります。上記の例ではワープロソフトを起動させて文字を入力していますが、まずワープロソフトがメモリ上に展開されるため、ワープロソフトそのものに使う容量が必要です。つまりワープロソフトを起動させた時点でメモリ上にはOSとワープロソフトの2つのデータが存在しているため、この2つのソフトの合計容量を上回る容量が必要になります。例えばテーブルの上にチョコとコーヒーを乗せた場合、チョコとコーヒー両方が乗る面積が必要だということです。チョコとコーヒーが両方とも乗るスペースが無ければ基本的にだめだということです。

これがチョコやコーヒーであればまだチョコの上にコーヒーを重ねて置けばいいだろうと思われるかも知れませんが、コンピュータの世界ではできません。なぜならメモリの記憶を管理するためにメモリ上に番地をつけて管理しているからです。要するに家と一緒で、例えば○○町の1番地に新築で家を建設したとします。この場合○○町の1番地はすでに埋まってしまっているためまったく同じ場所にもう家を新たに建設することはできません。なのでチョコとコーヒーは同じテーブルの別々の場所に乗せるというルールで管理しなければならないのです。

そしてワープロソフトの例で言えば、「あいうえお」の文字を入力しています。ほとんの場合ワープロソフトでは文字を記述して資料作成をしたり場合によっては画像を載せてわかりやすいものを作ると思います。なので「あいうえお」という文字のデータの容量と画像を載せた場合はその画像のデータの容量が上乗せされます。この時点でメモリの上にはOSとワープロソフトそのものと、「あいうえお」と入力された文字データの容量。もし画像をワープロソフトに貼り付けた場合はその画像データの容量が必要となります。

そうなると、「メモリに記憶しておくものはあらかたわかったけれども、具体的にどのくらいの容量が必要なのかがわからない」ということになります。そこで家電量販店の広告かパソコンのカタログが手元にある方は見ていただくといいのですが、メモリと書かれている欄があると思います。そこの数字を見ていただくと、大体4GBとか8GBとか書かれていると思います。ゲーム用途のパソコンであれば16GBと書かれていることもあります。使用用途にもよりますが、大体ここが8GBと書かれているものであれば現時点では問題はありません。

なぜならOSのメモリ上での必要な容量が2GB以上必要だからです。2GBなら別に4GBでもいいのではと思われるかも知れませんが、OSの容量はバージョンアップなどでの機能追加や、画面に表示されていない背後で動いているソフトもあります。自作パソコンであれば余計なソフトは自分で入れない限りは入りませんが、メーカー製のパソコンであればそのメーカー独自のプログラムやサービスなどが動いていることがあり、4GBでは思ったよりモッサリしている感覚を感じることもあると思います。ネットで検索するとインターネットのサイト閲覧・メールの送受信程度であれば問題はないのですが、ウェブブラウザのタブを大量に使う場合はそのタブの容量とタブ内のウェブページの文字や画像・動画の情報も上乗せされるため、4GBの場合は使用感としてモッサリとした印象になるかと思います。

8GBであれば、業務で使用する場合なら問題のない容量になります。ワープロソフトや表計算ソフトを立ち上げてもCPUとの組み合わせにもよりますが、Corei5相当のCPUとの組み合わせであればストレスもなく作業が可能であると思います。ゲームソフトで遊ぶ場合でも推奨環境で8GBと書かれているものもあるため、ゲーム用途でひとまず購入する場合も8GBのものを購入しておけば問題はないと思います。

16GBであればネットの閲覧やメールの使用はもちろん、ビジネス用途やゲーム用途でも問題のない用量となります。ビジネスソフトは基本的に2021年5月現在では8GBあれば充分快適に動作しますし、ゲーム用途でも16GBのうち80%以上使うゲームは今のところほとんど存在していません。ゲームで遊んでいる内容を動画サイトで実況生配信するという用途でも16GBあれば問題はありません。16GBのメモリを搭載しているパソコンは基本的にゲーム用途という位置づけで売られることが多いためCPUもそれ相応のものが搭載されています。つまりストレスフリーなパソコンを入手できます。ゲーム機でもPS5であればメモリは16GB搭載されています。しかし、今流行りのVTuber(ブイチューバー)さんの場合、自分の3Dモデルのキャラをゲーム画面と一緒に表示させて実況生配信行いたい場合は、3Dモデルのキャラをメモリに記憶させる必要があるので、こういう場合は32GBのメモリ容量が必要になると思います。

使用用途に合わせてメモリの容量を選ぶことで自分に必要なコンピュータの能力が把握でき、CPUとの組み合わせを考慮することでどのような動作感覚であるかが経験を積んでいくとだいたい把握できるようになります。経験を積むためには実際にコンピュータを買って動かしてみたり、店頭でのデモ機を使ってみたりする回数を増やすことが一番の近道ですが、現状ではCorei5の7世代目以上で且つメモリ容量が8GBのものを選ぶとほとんどの使用用途でストレスを感じることなく使うことができると思います。またメモリのいいところは購入後でもメモリを追加することが可能であるということです。CPUの場合はコンピュータ購入後はもう変更することはできません。メーカーによっては差額を支払えば交換することもできるメーカーもあるかもしれませんができないと考えたほうが一般的です。しかしメモリは購入後、もし動作感覚が不満であれば増設することで容量を増やすことができます。容量を増やすことで作業台が広がりコンピュータの動作が快適になる場合があります。場合があるというのはやはりCPUとの組み合わせによっては解消ができないこともあるということです。今後もOSやソフトによって必要なメモリ容量やCPUの能力はどんどん肥大化していく傾向にありますので、メモリ増設で解決できなかった場合は買い替えが必要になってきます。コンピュータの寿命はだいたい5年周期ですので、それを目安に買い替えを検討するといいでしょう。

また、メモリの容量は増やせば増やすほどいいというものではないということも重ねてお話しておきます。上記したとおりメモリ容量は増えれば増えるほどコンピュータは快適に使用できるというような感想を持たれているかと思いますし、その感想はあながち間違いではありません。しかし、作業台の広さが増えるということは、広すぎると逆に不便であると言い換えることができます。メモリはRAM(ラム)と書かれることがあります。RAMとはランダムアクセスメモリの略称です。つまりランダムに空いているメモリ上の住所にデータが記憶されていくのです。例えばワープロソフトを使って「あいうえお」と記述した場合、記述したデータの「あ」が2番地「い」が3番地・・・というふうに連続して記憶されるわけではなく、「い」が256番地、「う」が5番地、「え」が1024番地・・・というふうにバラバラに記憶されている可能性もあるわけです。ここでメモリの容量が広すぎる場合、CPUはメモリの全容を把握し必要なデータの番地を検索してそれぞれ引っ張ってくる必要があります。

例えばですが作業台の上を想像してみてください。あなたの手の届く範囲に缶コーヒーやお菓子があれば手でそのまま引き寄せることができます。しかし、あなたから見て作業台の一番奥にあるみかんを取る場合、あなたは作業台の上にあるみかんの位置を把握し、場所によっては席を立ってみかんのある位置まで移動しなければならないかも知れません。コンピュータの内部でも同じ現象が起きていることがあり、あまりにメモリ容量が広すぎるとメモリ上のデータアクセスに意外と時間がかかることもあるため、32GB以上のメモリ領域は2021年5月現在ではあまり推奨されません。またメモリは1つの電気製品でもあるため、メモリ内の未使用領域にも電気は流れています。例えば8GBのメモリにかかる電気料金が100円であるとした場合、16GBのメモリにかかる電気料金は倍の200円になります。しかし使用用途的に6GBのメモリ容量で事足りる場合、あなたは100円多く電気代を支払う必要があります。要するに容量的にも電力的にも無駄が発生することもあるわけです。使用用途を明確にすることは非常に重要です。

今回はメモリについてお話をさせていただきました。しかし、コンピュータは様々な部品との組み合わせによる平均値が実力です。いくら性能のいいCPUやメモリを使っても他の部品の能力が低ければそれらの性能を完全に引き出すことはできません。というわけで次回は補助記憶装置についてお話したいと思います。今回も少しだけ補助記憶装置のお話はしましたが、より具体的にお話できればと思っておりますので、またご興味がございましたらお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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