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日々の小さな変化を感じてもらえたら。|喫茶 prologue

「ずっとやさん」の愛称でお馴染みだった、山本聡さんと富永春香さん。間借り営業やイベント出店を経てオープンしたのは「喫茶 prologue」。お店を持つまでの経緯を中心にお話を伺いました。

喫茶 prologue
「ずっとや」として、間借り営業やイベント出店を中心に、コーヒーとお菓子の提供を開始。2022年11月、名古屋・東山公園に実店舗を構える。(珈琲:山本聡、菓子:富永春香)


ー コーヒーやお菓子に興味を持ったきっかけを教えてください。

山本:もともとプログラマーで、気晴らしも兼ねてカフェに行っていました。よく通ったところは店員さんとの距離が近くて、「こんな1日だった」とか、たわいもない話をするのが本当に楽しかったです。

そこで初めてスペシャルティコーヒーを飲んで、産地や生産プロセス、焙煎度合いで味わいが変わることを知って、その奥深さに惹かれました。コーヒーの知識を身につけるためにスタバで働き始めて、彼女(富永さん)はバイト仲間でした。

富永:私も休日にカフェ巡りをするのが好きで。コーヒーに携わる仕事がしたい!と思ったのと、単純にスタバが好きで、スタバ一択でした。やっていくうちに、好きだけどそこまでのめり込めないことに気づいて、それならコーヒーに添えるもの(お菓子)を作りたいなと。

実際に作ってみたら繊細で難しいことばかりで、研究するようになって......今に至ります。最初は、バレンタインやクリスマスなど、特別な日だけ作っていました。間借り営業やイベント出店するようになってからは、ほぼ毎日です。


ー 「ずっとや(喫茶 prologueの前身)」として活動を始めたきっかけは?

山本:八O吉(2024年3月閉店)の泰輔くんが誘ってくれたのが最初。「ずっとや」としてイベントをやってみて、それが経験になる、というよりかはきっかけに変わりました。

富永:それで、インスタグラムのアカウントも作ったので、自然な成り行きで頑張ろうと。


ー マルシェ出店も経験されているそうですが、どんな変化がありましたか?

富永:出店するたびに物が増えて、だんだん完成されていきました。例えば、テーブルに直接焼き菓子を置いていたのをお皿にのせるとか、小さな変化がたくさんあります。

山本:自分たちのお店だけじゃない分、その場で知って、気になってくださる方がいて。そういう時にどうアピールするか、たくさんのお店がある中でどう魅せるかを考えました。看板を見なくても「あの2人のお店のテントだ」とわかってもらえるのが理想です。

オペレーションの面だと、どうしたらお客さんと話せる余白を作れるかを話し合いました。2人ともカフェ好きでマルシェ好きだから、足を運んだカフェやマルシェのよかったところを共有して、取り入れるようにしています。


ー お店を持つことを視野に入れ始めたのはいつごろですか?

富永:短期間であればシェアキッチンでも問題ないけど、店舗を構えた方がゆっくり過ごしてもらうことができるし、自分たち好みの空間を作りやすい。間借り営業やイベント出店だと、営業日がこちらの都合になってしまう。けど、お店があれば「ここでずっと待っていますので、どなたでも好きなタイミングでお越しください」と言える。

そんなことを考えながら、徐々に物件を探し始めました。

山本:行きつけの洋食屋さんがあって、そこの店主と(同ビル内にある)ON READINGの黒田さんが知り合いで、ここを教えてくださって、これは縁だなと。施工デザインはatelier hitoさんにお願いしました。

自分たちの好みも感性も、その都度変わってくるから。机の配置や小物など、これからも変わると思います。その変化も楽しんでもらえたら嬉しいです。


ー 屋号を変えたのはなぜですか?

富永:「ずっとや」はキャッチーで覚えやすいからよかったけど、どこかで正さないといけないなと思っていました。

山本:案をたくさん出して、「喫茶」を入れるかどうかも悩みました。僕らの中で、カフェは明るくて若い子向け、というイメージ。世代を限定したくなかったのと、「喫茶」があると「コーヒーや軽食を食べる場所」だとわかるので入れました。

飲食はもちろん、雑貨があってもいいし、展示をしてもいい。音楽を聴きに入ってくる人がいてもいいと思う。「喫茶」に可能性を感じています。

富永:私たちにとってこのお店は「序章」。だから「prologue(プロローグ)」という名前を付けました。

私たちのお店で過ごす人、1人ひとりの奥にある感情に触れ、日常がちょっと豊かになる“予感”を与えたい。そんな想いが込められています。


ー 最後に、コーヒーとお菓子に対する思いを、それぞれ一言ずつお願いします。

山本:自分が最初にスペシャルティコーヒーを飲んだ時の「おいしい」を、お客さんと共感したくて、その思い一心でやっています。でも、無理に「エチオピアを飲んでください」「ブラジルを飲んでください」と伝えるのではなくて、知るきっかけになったら嬉しいです。

富永:お菓子の可能性は無限大。「おいしい」と思うものを全力で作って、きてよかったなと思ってもらえるように日々挑戦しています。


=編集後記=

大通り沿いなのに都会の喧騒を微塵も感じない“非日常空間”。ぜひ一度足を運んでみてください。おいしいコーヒーとお菓子を提供してくださる、やさしいお二人が待っています。素敵なひとときをお過ごしください。(Kazuki Ohtsuka)


会いに行く ▷▷▷ 喫茶 prologue




文:Kazuki Ohtsuka
編集、写真:Re!na

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