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グッドルーザー(Good looser)について考える

グッドルーザー(Good looser)という言葉をご存じでしょうか?

言葉は知らなくとも、その考え方はスポーツにかかわる方であれば、一度は触れたことがあるかもしれません。

私は、約10年ほど前に、尊敬するスポーツ指導者の方から初めて聞きました。ヨーロッパ遠征に行ってこられた指導者の方がヨーロッパでの経験について話をしてくれました。
その時に話をしてくれたことを鮮明に覚えています。

グッドルーザーとは?ぜひシェアしたい考え方です。

グッドルーザー



日本サッカー協会のウィークリーコラムの中で、川渕三郎氏は、
「トップレベルの選手こそ、グッドルーザーであるべき」と述べています。

また、グッドルーザーとは、スポーツコンサルタントだった広瀬一郎氏は『スポーツマンシップを考える』の中でこう解釈しています。
〈ある人が真にスポーツマンであるかどうかは、勝負に負けた時の態度でわかる。負けた時に素直に負けを認め、それでいて頭を垂れず、相手を称え、意気消沈せずにすぐ次に備える人が真のスポーツマンだ〉


チャンピオンスポーツ(勝ち負けを競うことをメインとするスポーツ)の試合においては、試合が終われば「勝ち」「負け」の結果が出てきます(引き分けもあるかもしれませんが)。

「勝ち」は当然嬉しい。
それまでの取り組みが良かった事の証明になります。そして何よりも応援してくれる人達に対して、わかりやすい形での恩返しになります。

グッドルーザー4



その一方で「負け」は悔しい。
選手たちは「勝ち」を目指して、苦しい練習を積んできているわけですから、負ければ悔しい気持ちになったり、努力が報われない瞬間に涙する選手も多くいます。それまでの努力を否定されたような気持ちになるかもしれません。そして、応援してくれた人達に対して申し訳ない気持ちになります。
しかし、その時にどのように立ち振る舞うかを問われてるという事です。

「負け」という結果に対して、どのように向き合うのか?

グッドルーザー2


グッドルーザー3

負けたという事は、相手のチーム(選手)に自分達よりも優れていた所があるから、その結果になっているのです。

そこの部分を理解できれば、自分たちの足りない部分を素直に認めやすくなります。
そして、自分たちが準備しきれなかった部分を、しっかりと練習し準備してきた相手へのリスペクトの精神が出てくると思います。

また、素直に負けを認められるということは、次の試合の準備にもなります。
負けた原因をしっかりと分析して、足りない所を明確にする。
そして、それを課題として、日々の練習に取り組む。
その繰り返しが、「成長」を促してくれると考えます。

このように考えていくと、「相手に対するリスペクトの精神」は、そこに至る「プロセス」が、重要になります。

そこに至るまでの失敗や苦労、悔しい思いや、喜び、期待など様々な経験や体験をするからこそ、他者の想いを創造できるようになります。

「スポーツとの向き合い方」、「日々の練習への取り組み」、「相手選手への敬意」、「他者の失敗への寛容さ」など多くの事が、スポーツを通じて育てることができると思うのです。

負けた原因を「今日は、審判との相性が、、、」とか「グラウンドコンディションが、、、」とか自分以外のせいにしていても「成長」はありません。

自分にとって一見よくない事が起こった時に「他責」で考えるのか、「自責」で考えるのか。

チームスポーツであれば、例え、チームメイトのミスが原因で勝敗を決したとしても「それまでの自分はどうだったのか」「自分にも何かできることはなかったのか」「もっとこうしていれば、あのミスは起きなかったかもしれない」と「自責」で考えれる選手が一人でも増える、そのチームは強くなると思います。当事者意識が強いチームは自然と力がついていくものです。

「グッドルーザー」の考え方は、社会人になった時にも必ず役に立つ考え方です。

「スポーツを通じての人格形成」

スポーツにおける勝ち方だけでなく、「負け方」も重要な側面です。

これから、スポーツの試合を見る時に、負けた側がどのような行動をとるのかを注目すると、「勝ち」「負け」だけでないスポーツの奥深さを感じることができるかもしれません。

おそらく、開催されるであろう東京オリンピック。賛否両論があるのは、百も承知ですが、どの試合も選手の勝って喜ぶ姿、負けて悔しがる姿は、私たちに勇気を与えてくれるものになると信じています。

試合以前の立ち振る舞いも大切です。各国代表のスポーツマンとしての行動にも期待しつつ、「いろいろな問題が起こるかもしれない」とどこかで考えている私がいることも事実です。

そういった中で、グッドルーザー(Good looser)としての立ち振る舞いができる選手がどのぐらいいるのかを見るというのも、面白い視点かもしれません。


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東京オリンピックが無事に終わることを祈って。

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