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読書記録『水上バス浅草行き』

岡本真帆

一作目の歌集。
水上バスは無くても困らないがあると嬉しいもの。そういう歌集。
岡本氏はきっと犬派だな。

やはり装丁がかわいい。歌が見返しから始まり後ろの見返しまで楽しませてくれる。2作目同様晴れやかな雰囲気。

こぼれてくものがあまりに多すぎて抱きしめていい犬をください

p18

ちょうど、こぼれていくものが多すぎるのを実感していて、毎日のようにニトリの餃子クッションを抱きしめて眠っている。もちもちふわふわで大好きなクッションだが、できることなら何かふわふわの命を抱きしめたい。私はだんぜん猫派だ。でもこういう時にはするりと手を抜けていってしまいそうな猫よりも、大きくて従順な犬のほうが適任かもしれないと思う。レトリバーとかサモエドとかをください。

おやすみと唱えたあとのおやすみのことだま眠るまでそこにいて

p33

眠るときに安心してすっと眠りにつけることって案外少ない気がしている。そんな夜に寄り添ってくれるものがあれば。あの人だと嬉しい。でもそんなことはできないから、せめてことだまだけでもそばにいてと願う。

花を買う誰かのための花じゃなく私をここに留める花を

p92
スイートピー、チューリップ、麦

まだ明るい時間に浸かる銭湯の光の入る高窓が好き

p131

昼間に広いお風呂に入りたい。いちばんの贅沢じゃないかとさえ思う。

個人的歌ブームはもう少し続きそうだ。

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