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彼について

私には恋人がいる。愛しの彼がいる。もうお気付きかもしれないがたっぷりの惚気である。苦手な方はくるりと戻っていただいて。

見上げれば爽やかで可愛らしい顔がある。私にはない長いまつ毛。ぷっくりとした涙袋。艶やかな頬。お行儀良く並んだ歯。特に横顔が好きだ。なんだか可愛らしくもしゅっとした感じがある。
体型も好きだ。威圧感はなく、かといって頼りないわけでもなく。背は真ん中くらい。着痩せするがお腹がほんのりぽよっとしている。かわいいお腹は私だけのものだという気がする。
どこをとっても可愛くてにまにましてしまう。普通に見ているだけのつもりだったのに何にやにやしてるの?と笑われたこともあるくらいだ。

どこを触ってもすべすべもちもちのお肌。究極のほっぺや、究極の手を持つ。私より断然綺麗で羨ましい限りである。
触りたすぎて勝手に握手会ごっこを催している。あなたはやるだろうか、握手会ごっこ。勝手に人の手を取り「やっぱり近くで見た方が可愛いですね3時間かけてきましたわあお肌綺麗おててすべすべきゃーずっと大好きで「お時間でーす離れてください」ええもうちょっと」という遊びだ。伝わるだろうか。狂気じみているが楽しい。ぜひお試しあれ。

彼は頭が良い。2桁の足し算から苦手な私の感覚でなんだが、色々なことを知っているし聞きやすい優しい話し方をするなと思う。昔から優等生だったらしいし、今もそれを感じる。友達からも先生からも好かれていそうだ。きっと可愛かったろう学ラン姿を一度くらい見てみたかった。

真面目な人だなとも感じる。常識があり本当に悪いことをした時にはきちんと叱ってくれる。口調を荒げたりせず、なぜだめなのか話してくれる理想的な叱り方である。また努力家でもある。とても良いことだが、他人の期待に押しつぶされないよう適度に息抜きできていると良いなと思う。

一人暮らしをしているので、ひと通りの家事ができる。なんなら私よりちゃんとしている。(私がちゃんとしていないとも言うが。)夕飯作り過ぎちゃったから食べにおいでと言われたこともある。なんだったか忘れてしまったが、美味しくいただいたことは確かだ。彼の家に置き忘れた服を綺麗に洗っておいてくれたこともある。せっかくの香りを残しておこうと思ったのにもうそれは失われてしまった。いつもの我が家の匂いである。

何よりも代え難く好きなのはその性格である。穏やかで素直。悪口は苦手らしくほとんど言わない。間違いは素直に認める。しかも、知らなかった、よく知ってるねと褒めてくれる。私にはできない。
気になるものに対してはきらきらの目であれやりたいと言う。この前は嬉々として三越のライオン像との記念撮影をしていた。
美味しいものを食べるとこちらを見てにこにこする。美味しい和食屋さんがあるのだが、そこではずっときらきらの笑顔が見られるのでそのために行っていると言っても過言ではない。下の子っぽいところも愛おしい。
そして天使のような優しさである。私は大抵の場合人から嫌われた。目が合うだけで陰口を叩かれたこともある。彼と目が合った時も、ああどうしようあなたを見ようと思って見ていたわけではないんだけど嫌な気分になったかしらと思いおろおろしてしまった。しかし彼はにこっと笑いかけてくれたのだ。なんと良い人だろうと思った。思えばこれが彼をきちんと認識した最初だった。
私の自分勝手な行為も否定しないでいてくれる。相談なく花束を押し付けたこともあるが、驚きつつも綺麗だねと喜んで飾ってくれた。
どんなに私が荒れ狂っていようとも受け止めてくれる。突然理由も言わずぼろぼろと泣き出しても優しく見守って安心させてくれる。一方的に私が悪いのだが慰めてもらってありがたいやら申し訳ないやら。
特段好きだと思うのは、明るく手を差し伸べてくれること。私が訳の分からない失敗をした時に笑いながら後始末を手伝ってくれる。大体こういう場合は馬鹿にされ一人でどうにかするか、非常に心配され後片付けからは外されるかだった。大抵の場合情けなさと申し訳なさで押しつぶされそうになる。やっちゃったねえと笑いながらこっちはやっとくからそれよろしくと手伝ってくれる彼は眩しく神様のように見えた。

可愛らしく素敵な彼といつまでも一緒にいられるような人になりたい。

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