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“子どもの味覚”を育てる給食で、ママたちの食に対する負担と不安に寄り添う

ママと家族のためのシェアオフィス・マフィスでは、給食で「子どもの味覚を育てる」ことを実践しています。味覚や食に対する基盤を作る大切な乳幼児期に、できるだけ味覚を育ててほしい。マフィスオープンの頃から会員でもあった人気フードアナリストのとけいじ千絵さんが提唱するこの考え方に、マフィス代表の高田麻衣子が惚れ込み、2017年のマフィス横濱元町オープン時から給食監修を依頼。お預かりしている0歳〜5歳までの子どもたちに向けて、五味・旬のバランスを取り入れた献立を提供しています。

 

そもそも、「味覚を育てる」というのはどういうことなのでしょう。また、子どもの成長においてどんな変化があるのでしょう。とけいじさんと高田代表にお話を伺いました。

 

食に対するママたちの負担や不安・悩みにマフィスは応えたい

 

__まず、とけいじさんが提唱する「味覚を育てる」ことを、給食に取り入れた経緯を教えてください。


マフィス代表 高田麻衣子(以下、敬称略):千絵さんとの出会いは、今はなきマフィス馬事公苑時代で、オープン当初からマフィスを利用してくださっていました。当時は設備の関係上、給食は提供できていなかったのですが、会員様向けに子どもの味覚に特化したセミナーを開催してもらっていました。予約開始すぐに満席になる大人気のセミナーでしたので、食に関する正しい知識を求めている親御さんが多い印象でした。

私も子育てをする上で食には苦労してきたので、ずっと負担に思っていましたが、私自身、千絵さんのセミナーを聞いて、正しい知識を論理的に理解できたのです。それまでは食=感覚的と思っていたけれど、論理的に腹落ちしたことで自分の中で一つの判断基準を持つことができた。そうすると、迷いがなくなり気持ち的にも楽になれたのです。

あとは子どもの頃、自分が通っていた保育園の給食が大嫌いで、とにかく美味しくなかった(苦笑)。だからこそ、千絵さんに給食の監修してもらえれば、私も自信を持っておいしくて安全で子どもの成長を考えた給食を提供できるし、いつも忙しくしているママたちの食に対する要望にも応えられる。そう考えて、マフィス横濱元町を設立するタイミングで依頼しました。

 

__千絵さんはマフィスから給食監修の依頼があった時はどう思われましたか?

 

とけいじ千絵さん(以下、敬称略):麻衣子さんからお話をいただいた時、私のやりたいように、良い意味で丸投げして下さったのですぐに引き受けました。食にこだわる=オーガニックの野菜を使っていればいいのではありません。味覚を育てる観点と栄養の観点も大切にしながら、両方アプローチさせてくれたのが嬉しかったです。

 

高田:千絵さんが給食に対する考え方のベースを作り、自社の栄養士たちがそれを元に毎月献立を作成します。それを千絵さんにチェックしてもらい、安心安全な食材選びと園内での調理を通して、毎食スタッフが心をこめて作ったものを提供しています。

 

手作りじゃくていい。完食しなくていい。味覚を育てるのは難しくない



__味覚というのは、具体的にはどう育てていくのでしょうか?

 

とけいじ:大事なことはシンプルにこの3点だけで、

①    できるだけたくさんの素材の味を経験させる

②    出汁の味をすり込ませる

③    食事が楽しめるような雰囲気づくり

 

味には甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の「五味」あり、それを感じる「味蕾」という器官は妊娠5ヶ月から生後3ヶ月が一番敏感で発達をしています。

後は徐々に落ち着いていくので、離乳食期が始まったらできるだけ早い段階から、さまざまな味を脳にインプットした方がいいのです。言わば、離乳食期は味覚が育つ黄金期。最近では子どもの3割が味を正しく認識できないとも言われていますから、早い段階でいろいろな素材の味を知っておく必要があるのです。

そのためには、とにかく旬の野菜を多く取り入れて、いろんな種類の味覚を知ることです。作り手はママじゃなくても誰でもよくて、もちろん全てが有機野菜でなくていい。正しい知識と手綱だけをしっかり握っておけば大丈夫です。最近のベビーフードはとても良いものが出ているので、何もすべて手作りにしなくていいのです。

 

__手作りじゃなくてよいのですね。ちなみに今月の給食にはどんな野菜が入っていますか?

 

高田:6月の献立には、ズッキーニ、グリンピース、モロヘイヤや枝豆などが入っています。スズキの梅煮とかもあります。

 

とけいじ:初夏の野菜とか、つるむらさきとかも入れたいですね。

 

__でも、子どもたちは苦味や酸味を嫌がりませんか?

 

とけいじ今はとにかく経験することが大切な時期なので、完食もしなくていい。とにかくいろんな食材を経験しておく、そこからがスタートです。幼少期よりも離乳食期の方が食べてくれますし、もし幼児期やイヤイヤ期で食べない時期があっても、味覚の幅をそれまでに持つことができれば、学童期にはまた食べられるように戻ってきますから。

 

実際にママたちから届く、味覚が育っていく子どもたちの成長の声



__実際にマフィスの給食を食べているお子さんたちには、どんな変化がありましたか?

 

高田:給食に関するアンケートを実施するとお子さんたちは「すごくよく食べるようになった」「意欲的に食べるようになった」と言う声が多くて、あとは「味に敏感になった」「家にある牛乳を飲まなくなった」という声も届いています。特に、離乳食期からマフィスに通っている子は緑黄色野菜に慣れているので、よく食べていますよ。

あとは親御さんご自身の意識の変化も大きいようで、「家庭の食卓で、季節の食材を多く取り入れるようになった」という声がたくさん届いています。味付けに関しても、「だしの使い方を参考にしている」「素材の味を活かす、薄味を心がけるようになった」「(ソースやケチャップなど)市販のソースに頼らなくなった」など、食や味付けについて改めて考える、よい機会にもなっているようです。

 

__家族の健康を支える上で大事な気づきですね。転園してきたり、給食自体が初めての子どもたちも、すぐに慣れますか?

 

とけいじ:慣れるまでに少し時間がかかる子もいますが、半年ぐらいすると美味しそうにたべていますよ。慣れるまでの間、保育士の方たちには「無理に完食させなくていい」と伝えています。現場の保育士たちが「全部食べさせないといけない」という心理的ハードルがあると、食事の時間が楽しくなくなりますよね。味覚を育てる上では、食事が楽しい空間であることの方が大切なので、完食させなくても問題ありません

 

__家庭でも「完食神話」ってありますよね…。

 

とけいじ:そうなんです。乳幼児期ってよく食べ、よく寝て、よく動く、みたいな子が “良い子” とされています。これって定義が少なすぎせん? 子どもによっては少食でも元気な子もいるし、活発でなくても静かに周りの様子を観察している子もいますから。

 

__本当ですね。無理に完食させるよりも、いろいろな味に触れさせることが大切なのですね。

 

高田: この取り組みはマフィスの大切なポリシーなので、現場にいる保育士たちには毎年セミナーを行い、しっかりと理解した上で保育現場で実践してもらっています。ご家族に対しては、入会時に千絵さんの著書をプレゼントして理解を深めていただいています。

 

マフィスで家族の晩ごはんも? あまり知られていない隠れ技お伝えします



__食に対して、これからさらに挑戦したいことや取り組みたいことはありますか?

 

とけいじ:ご家庭の協力もやはり重要なので、改めて、大人向けの周知もしていきたいです。考え方を理解していれば外食の時もうまく取り入れることができますし、味覚を育てることは難しくないと知ってもらうためにも、セミナーも再開したいです。

 

__ちなみに、給食を試食することはできるのですか?

 

高田:説明会の時は必ず、幼児食の試食会をしています。保育園の話だけでなく味覚の話や献立の話をするとみなさん「家でこんなに手をかけられないし、大事なことを知れてよかった」と喜んでもらえます。この給食はマフィスを選んでくださる時の大きな決め手になっていますね。

あと、北参道と本町では事前に予約をしていただければ、「味覚を育てる夕食」も提供しています。「今日の晩ごはんは外食にしたい」「パパのご飯がいらない」という時に、マフィスで栄養のバランスが優れた晩ごはんを家族みんなで食べて帰ると、家に帰った後みんなでゆっくりできるじゃないですか。そのために飲食店の営業許可もとりましたので!

 

__それは最高ですね!そんなサービス、他では聞いたことがありません。

 

高田:マフィスは、とにかく家族の24時間を支えたい。物理的にも身体的にも精神的にも、保護者の大変な部分を和らげたい。そう思って、いつも会員さまとご家族をお迎えしています。

 

__それは、本当に大きな支えになりますね。今日は食に対する不安や悩みが軽くなるアドバイスもたくさん登場しました。ありがとうございました。


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