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「平成世代のシティ・ポップ」が受け付けられない理由

自分は流行りものに疎く、特に音楽に関しては仙人のような、埃のかぶった音楽ばかりを聴いていると自覚をしています。しかしいつまでたっても埃すらかぶりそうにない、現代の音楽、まだ評価をされていないようなものを、自分から無理して探るような手間をかけたくもない、とも思っています。

古いものは素晴らしい。まだ自分が知らない素晴らしい音楽がまだたくさんある。それを探そうと思っています。

 最近はその「流行り」に乗ってみる気持ちで「シティポップ」を聴いたりしています。竹内まりやが海外で再評価されている、なんてニュース記事を読んだりしていました。それがシティポップらしいとのこと。

これはなんだろう。アップルミュージックでシティポップのプレイリストなんかを探してみたりしました。そうすると1曲目はこの曲でした。

ええ?この曲がシティ・ポップ?なんだか違うような気がして…。べつにサチモス自体は好きでも嫌いでもという感じなのですが。

その他には「ああ確かにこれはシティポップなのかな」みたいな曲も入っていました。

その曲たちには、ある一つの特徴がありました。それは日本の70年代から80年代の音楽です。

「シティ・ポップ」のWikipediaにもこう書いてありました。

シティ・ポップ (city pop) は、1970年代後半から1980年代にかけて日本でリリースされ流行した、ニューミュージックの中でも特に都会的に洗練され洋楽志向のメロディや歌詞を持ったポピュラー音楽。

そしてこの言葉は海外由来だとも知りました。日本発の「ソフトロック」みたいな感じなんですかね。素敵じゃないか!Wouldn't It Be Nice!確かにシティポップとされている音楽は素晴らしいものが多いと感じました。

そのプレイリストに入っていた曲、いしだあゆみとティン・パン・アレイの「私自身」なんて震えるほどかっこいい、そして洗練されている…ああ!

あと前から好きだった、オメガトライブ!杉山清貴、カルロストシキ、どちらも好きです。他にも、松下誠さんは全く知りませんでしたが、素晴らしいアナログの暖かさと煌めく音像と甘い雰囲気の音楽でたまらないなあ!と。

また最近2枚のベストアルバムを買った菊池桃子も最高です!林哲司と、和泉常寛。二人の優秀な作曲家編曲家がおりなす豪華なサウンド絵巻に桃子の透き通る声…

配信はされていないけど、RA MUの「青山Killer物語」は、生涯ナンバー10くらいに入るくらいの好きな曲!バブルの退廃が美しく表現されている…!!

 

こんな感じです。

先程のプレイリストの件に話を戻しますと、、どうしても「イヤ」だと思って、スキップをしてしまうものがあります。

それが「平成世代のシティ・ポップ」です。説明がなくてもわかってしまうのです。これは平成の音だなって。対して変わらないかもしれないけど、自分にわかるのです。本能で。。

またWikipediaですが、シティポップの項目にこうありました

決まったスタイルのサウンドは無く「明確な定義は無い」「定義は曖昧」「ジャンルよりもムードを指す」とされることもある

それぞれに定義がある、ということで自分の中でのシティポップ感を整理しました。

それは、70年代、80年代というアナログがまだ残っている世代に、腕を磨いた一流のミュージシャンと一流の作曲家と編曲家が、豊かなサウンドシステムを擁したスタジオにて、一流のレコーディングエンジニアと共に録音をされた、その当時の音楽ということです。その時代の音でなければダメなのです。

自分は70年代に産まれたのですが、80年代、昭和は小学生の頃に終わってしまった世代です。バブルを子供、ちょっと大人に近い子供だった頃に体験をしてしまったのです。

なので「昭和の豊かな時代」を夢見ていたのに、やってきた「悪夢のような平成」に対して、憎悪に近いものを持っているのです。人生のピークともいえる時代がしょっぱい不景気、平成の大不況の中で過ごしてしまったのです。

そんな最悪な時代を過ごしてきた人たちが、70年代80年代の空気感を狙っている、ということには、憎悪ではなく、哀しみを覚えてしまうのです。

 

この間マツコ・デラックスが深夜に徘徊をする番組にて、京大卒のヒットメーカー・ヒャダインさんと話をしていたのです。ヒャダインさんが新しくプロディースをするアイドルは80年代を意識している、という話になりました。

そうするとマツコ・デラックスが「それはいいんだけど…サカナクションの杉山清貴さんのやつ(※PVでコスプレ)とか、ああいう昔の格好の真似や、昔のアイドルを意識する、とかじゃなくて、今としてそういうものをやってほしいの」みたいな事を言ってたんです。

自分もはげしく同意をしました。

あの頃にはもうかなわないのです。あの時代。もちろん完璧な時代ではなかったです。くそなことも沢山あったと思います。でも、今には無いものもたくさんありました。今の方が何もかもが揃っていますが。。

70年代80年代の音楽は、僕にとっては、憧れの時代の象徴、モニュメントなのです。そして「シティポップ」はそれを演出をするものなのです。ともに同じ時代を歩んできてしまった人たちが、その時代のような音楽を作っても、僕は聴こうとは思えないのです。

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