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退職を申し出るまで

小中学生の頃はおとなしめな優等生で、部活が楽しそうだったからという理由で、そこそこ進学校を選んで、大学進学する人が多かったから大学に行って、特に夢も無いまま就活に苦しんで何とか一般企業に就職して、割と人間関係に恵まれつつ辛い経験もしつつ、平和に働いていた。

入社5年目の秋、漠然と、このまま今の会社を続けるか、違う仕事をしたいかを考えて、今と違う職種・業界で働いてみたいなと思った。環境を変えたい欲があった。いいところも悪いところもあるけども、今の会社に居続ける未来はつまらないなと思った。
何をしてみるか考えて、WEB制作に興味を持った。やってみて嫌ならやめようと思い、オンラインスクールに入って、半年以上、働きながら勉強した。世の中、人知れず努力してる人は多いと学んだ。幅広い世代の勉強仲間ができて楽しかった。
で、春に難しい課題を終えて、夏頃に減速した。課題をやり切ったものの、転職準備をどうしようかと悩んでいて、ちょうど周囲の人事異動や休職が重なりバタバタしたのもあって、学習はほぼ休止。今の職場環境が良好なことも相まって、保守的な私にとって、なかなか変化の道へ進むのは難しいのだろうと思った。秋には吹奏楽団の人手不足により休団から復帰したり、初めてハロプロのコンサートに行ったりした。

秋が終わる頃、家族で伊勢神宮に行った。綺麗だった。
ふと思い立って自分の資産をExcelにまとめた。お金の記録をろくに付けていなかったので。いざ可視化してみたら、結構あるな、資産。と気付いた。無職になっても当分問題ないなと思った。何となく働いてきてよかった。

翌週、とあるコンサートに行った。ずっと憧れていた団体の生演奏を初めて観た。めちゃくちゃ楽しかった。一人で夜の帰り道、「生きててよかった…」と呟くくらい、夢の時間だった。あまりに輝く舞台を見て、あー、会社辞めよう!と思った。あんなに音楽を突き詰めてやり続けている人達の勇姿を見て、私も自分のやりたいことをやってみればいいなと思った。帰りの電車で書きなぐったスマホのメモに「アドレナリン この勢いで辞表出せる」って書いてた。
何か漠然と辞めたくて、心が動くきっかけが欲しかったのかもしれない。結果が望み通りなら何でもいいんだろう。

とりあえず退職してWEB制作関連の勉強をガッツリして転職しようと考えた。未経験の職種であれば若いほど有利だから、早く辞める理由になった。実は、会社を辞めて一旦無職になる経験自体にも興味があった。しばらく学習と楽団活動中心の生活をするのは楽しいなと思った。身近には、転職先を決めてから退職する人が大半だったから、多数派じゃない経験を取ってみて、いつか誰かの励みになったらいいなとも思った。

誰かに背中を押してもらいたかったので、同世代の退職経験がある友人に相談した。幸いにも私には"無職の先輩"が二人いた。やめておけ!と言わなさそうな人を選ぶのがポイントである。二人とも素晴らしい励ましと助言をくれた。別途まとめたい。
(追記:以下の記事にまとめました↓)


コンサートがあった週の金曜日には、上司に退職を申し出た。私のような人間は、時間が経つと現状維持しようとするだろうから、絶対今週中に言おうと思って、チャットを駆使するなどして、どうにか上司を呼び出した。思い立ったが吉日、善は急げの精神。ここが一番勇気がいる。呼んでしまえばもう言うしかないし、その後の段取りはスイスイ進むもんだ。
上司にとっては完全に予想外だったらしい。そこまで辞めなさそうなキチンとした部下に見えていたのか。世の中、真面目で得をすることは結構ある。

結論は翌週に持ち越しになった。その週末は、退職手続きの準備をした方が良いと思いつつ、結局何もしないまま吹奏楽団の練習に行って終わった。


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