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事務所理念について~その1~

所長弁理士の前川です。

今回から何回かに分けて、うちの事務所の「事務所理念について」書いていきたいと思います。

三方良し

独立・起業・創業関係の本やセミナーなんかでは、まずは経営理念を設定しましょう、というようなことを言われます。
経営理念というのは、例えばWikipediaでは「企業の活動方針の基礎となる基本的な考え方」とあり、さらに、「経営者の経営哲学や信念、行動指針や目的などを明文化し、その企業が果たすべき使命や、基本姿勢などを社内外に向けて表明するものである。」と書かれています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E7%90%86%E5%BF%B5

私も独立時に、この経営理念というのを考えてみて、今は事務所理念という言葉でホームページに記載しています。

独立する際に自治体でやってる創業セミナーに通っていて、そこで、近江商人の心得の「三方良し」という考え方を知りました。それを自分なりに特許事務所に当てはめてみたのが今の事務所理念になっています。
(※ご存じの方も多いかと思いますが、「三方良し」というのは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」のことをいいます。つまり、自分達やお客さんだけでなく社会にとってもプラスになることが良いビジネスであるという考え方です。)

具体的には、以下の4つを事務所理念としています。

1、産業・文化の発展に寄与 ←世間良し
2、事業で勝つための知財活動の実践 ←買い手良し
3、お客様とのコミュニケーションを重視 ←買い手良し
4、所内におけるモットーは「成長」「協力」「笑顔」 ←売り手良し

第1の理念

まずは第1の理念である「1、産業・文化の発展に寄与」について詳しく説明したいと思います。

弊所ホームページ(http://www.maekawa-ip.com/)では、

「我が国の特許法、実用新案法、意匠法、商標法については、いずれも産業の発達に寄与することを目的とし、著作権法については文化の発展に寄与することを目的としております。
そこで私たちは、お客様の知財活動をサポートし、事業の成功を通して産業・文化の発展に寄与していきたいと考えています。 」

http://www.maekawa-ip.com/

と説明しています。

知的財産事務所(特許事務所)なので特許法等の法目的に則った理念を掲げているっていうと、少し安易な感じですが、個人的に特許法1条が結構好きで、それに基づいてこの理念にしています。

特許法1条(法目的)とは、
「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする」です。

これは言い換えると、国としては発明をどんどん開示(利用)して世の中で情報共有することで技術レベルを上げていってもらいたいけど、見返りがないとみんな発明を真似されるのをおそれて秘密にしちゃうから、早い者勝ちで排他権(保護)を与えますよ、という話で、このような人間の性質を踏まえつつ、上手いこと国の発展を狙っているところが好きなところです。

国によって法目的が違ったり、そもそも法目的を設定していない国もあるかと思いますが、特許制度(知的財産制度)の基本的な考え方というのは概ね共通しているかと思います。世の中では特許制度が却って産業の発達を妨げているという説なんかもあり、技術分野によってはそういう部分も実際あるかもしれません。個人的には特許制度は、知恵比べによる陣取り合戦だと思っていて、これは少なくとも表向きは、血が流れない、人を傷つけないフェアな戦いで、大袈裟に言えば世界平和に寄与する制度なんじゃないかとすら思うことがあります(現実には裏側で血で血を洗うようなドロドロの知財紛争もあるかと思うし、現実の戦争に対しては全く無力ではありますが...)。

そこまで大袈裟でなくとも私達の仕事は、上記の通り建前上は性質として産業・文化の発展に寄与する仕事であるので、やればやるほど「世間良し」につながるはずと信じて、前川知的財産事務所の第1の理念としています。

次回は、第2、第3の理念について書きたいと思います。

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この記事は、2022/03/18にWantedlyで公開した記事の再掲です。