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オススメの温泉は?って聞かれたらどう答える?

温泉好きなことが周囲に知られ始めると、オススメの温泉はどこですか?と聞かれることが多くなります。
そんな時どうしたら良いか、書いてみました。


1. まずは、好みの温泉はタイプによって全然違うので、好みを探っていく

例えるならば、コッテリしたラーメンが好きな人にサッパリしたラーメンを薦めても、美味しいと感じる確率は低いですよね。
また温泉の泉質そのものではなく、浴場の雰囲気、宿の雰囲気、町並みなどを重視している可能性だって大いにあります。

(1)今まで行ったなかで好きだった温泉は?

この質問では、泉質や温泉地の雰囲気などをおおざっぱにつかみにいきます。
泉質だと、硫黄の匂い(正確には硫化水素)がする、白濁している、透明でさっぱりしている、ぬる湯かなど。色、におい、温度がチェックポイントです。
温泉の雰囲気だと、ひなびた感じ、共同浴場で地元の方々とのふれあい、文化財級の建物、温泉街を浴衣と下駄でそぞろ歩くなど。また、ヒノキやヒバの風呂、露天風呂がある、大量の掛け流しが投入されオーバーフローしているとか。
温泉の名前を聞いて、その人がどういう理由でその温泉が好みなのかを想像するプロセスです。

ただし、一つに絞れないとか、実はあまりよくは覚えていない(昔過ぎて)となることも多いです。

(2)どういうところが好きだった?

最初の質問で立てた仮設を検証に行く作業となります。
私の経験では、泉質による好みをはっきりと持っている人はあまりいません。色の好みはたまにあります。私もただの温泉好きの時代は、ほとんど意識していませんでした。
泉質にこだわるマニアへの対応はここの文章では想定していません。

その人の言及した温泉で思いつく良さそうな点を挙げていきます。
例えば、群馬県にある草津温泉が好きと言ったとしたら、以下のような会話です。

私:草津いいですね。湯畑(ゆばたけ)壮観ですよね。いろいろ立ち食いしながら散歩したりね。
相手:ああ温泉饅頭くばってたりしてますね。焼き鳥とか食べたかな。行列の。湯畑は夜ライトアップされてましたね。
私:じゃあ泊まりだったんですね。宿はどこでしたか?
相手:なんか忘れたな、湯畑の近くだった気がするけど。あまり大きくない宿だったな。民宿みたいな。よかったですけどね。
私:温泉は宿の温泉に入っただけ?湯めぐりしました?無料の共同浴場もありますよね。白旗の湯とか。
相手:あぁ無料の共同浴場は行かなかったけど、外の温泉行きましたね。なんでしたっけ町のはずれにある賽の河原みたいなとこの近くある大きな露天風呂のある。
私:西(さい)の河原温泉ね。あそこは無茶苦茶風呂がでかいですよね。
相手:そうそう池かと思いましたよ。露天風呂好きなんですよね。やっぱり温泉といえば露天風呂でしょ。あれよかったな。開放的で。
私:西の河原温泉って、源泉が万代鉱(ばんだいこう)だから、他の草津の源泉より酸性度がきついんですよね。
相手:へーそうなんだ(知らねーよといった態度)。

ある日の職場の同僚との会話

ここでキーワード”露天風呂が好き”が出てきました。町並みも好き、温泉街をぶらぶらするのも好き、でも多分露天風呂が一番刺さるタイプなのかもしれないと考えます。また、強酸性温泉が好きというわけでもなさそうです。

大分県の別府温泉が好きだという人とはこんな会話です。

相手:わたしはね、別府温泉が最高だと思いましたね。別府行ったことあります?
私:別府は2回行きました。別府温泉は本当にすごいですよね。あんなところ他には無いですよ。好きすぎて移住してしまう人がいるくらいですからね。
相手:いろいろ種類があるでしょ。なんていう場所だったかな、蒸気で魚や野菜を蒸しているところで、地獄めぐりとかできる場所があるでしょ。
私:たぶん鉄輪(かんなわ)温泉じゃないですか?
相手:たぶんそれですね。いろいろ入ったんですよ。100円で入れる温泉がたくさんあって、なんでこんなに安いのと嬉しくなりました。
私:本当ですよね。どんなところに入りました?鉄輪だと有名なのは「蒸し湯」とか、わらがしいてある狭いサウナがあるんですよ。あとは「ひょうたん湯」とかいろいろな種類の温泉がある。
相手:そのひょうたん温泉はたぶん行きましたね。あとはホテルが別府駅の近くにあったので、駅の近くにある温泉にもたくさん行きましたね。
私:別府温泉ですね。たくさんありますよね。地元の方々ご用達の地域に根付いた感じの。
相手:(横に座っている人にも話しかけ)銭湯みたいに見えて全部温泉なんですよ。えーこれ全部100円?って思いましたもん。

ある日の職場同僚との会話②

この人は共同温泉が好きで、少なくとも安さに驚きを感じているのは明白です。もしかしたらひなびた雰囲気や、地元の方々とのふれあいを楽しんでいる可能性もあります。

(3)その人の好みの温泉はこれかもしれないと仮説を立て、その仮説を検証しにいく。

① 草津温泉好きの同僚との会話から考察
私の経験上、草津温泉が好きという人は露天風呂が好きだから草津が好きとはなりません。草津は全ての項目で質が高いので、湯畑を中心とした町並み好き、共同浴場巡りが好き、酸性泉が好き、源泉かけ流し好き、湯もみ体験などです。そこであえて露天風呂と言うのは、ぶっちゃけ露天風呂なら何でもよいくらい露天風呂が大好きな可能性があります。

露天風呂が好きという場合、タイプによってお薦めが変わります。例えば、露天風呂の究極は野湯(のゆ)ですから、人の手が入らない本当のワイルドな露天を薦めるときもありますし、そこまでではなく、整った露天を薦めるときもあります。
整った露天とは、内湯がありそこにはシャワーがついていてシャンプーやせっけんがありつつ、一歩外に出ると雪景色の中に露天風呂があるとかです。
更衣室にドライヤーが置いてあるタイプも設備が整っている温泉が好きな特に女性にオススメです。

例に挙げた西の河原温泉は、内湯はなく洗い場もないただ巨大な露天風呂があるだけの温泉ですから、その人が温泉に入ったら石鹸で体を洗いシャンプーしたいタイプでないことは分かります。
ですが、そうではない露天風呂もありますので、どの程度の整い具合が好みかは念のために確かめます。

② 別府温泉好きの同僚の会話から考察
この方は共同浴場が好きで、コスパ重視の可能性が高いです。
この場合、実は無料で入れる共同浴場がある温泉もあるんですよ、という探りの言葉を入れて相手の反応を見てみます。
へーそれはどこですか?と聞かれたら、有名なのは草津温泉と答えます。
他に、宿に泊まって鍵を受け取るという条件付きであれば、長野県の野沢温泉、渋温泉、湯田中温泉も10か所以上ある共同浴場巡りを無料でできるとか、草津温泉の近くの四万(しま)温泉湯宿温泉も共同浴場が無料だとか。

ただ、別府温泉のように100か所以上も共同浴場があるような場所はないし、かつ泉質のバラエティーからしても他の温泉地では考えられないほど多様なため、別府に匹敵する温泉地を紹介するのは困難。ちょっと別格の温泉地ですね。

2. 好みがない。でも教えてほしい人

温泉に行って日頃の疲れを癒したいだけの人に、あまりあれこれ聞いても疲れてしまうケースがあります。
そういう時は決め打ちで行くしかありません。

そういう時はパターンわけで行きます。

(1) 美肌

これは女性向けです。美肌の温泉にはいくつか種類があります。
①ぬるぬるの泉質:ナトリウム炭酸水素塩泉(旧泉質名:重曹泉)
宮城県にある鳴子温泉郷の中山平温泉(ウナギ湯)、東鳴子温泉(黒湯)
②ぬるぬるの泉質2:強アルカリの単純温泉。強アルカリも皮膚の油を分解し皮膚の表面がぬるぬるになります。
関東近郊ですと、神奈川県の七沢温泉がPH10以上。
③古い角質を溶かす:硫黄泉。福島県の高湯温泉、群馬県の万座温泉。美白系の温泉。
④メタケイ酸の数値が高い:100㎎以上あると美肌効果ありと言われています。わたしが入ったなかで一番高かったのは中山平温泉のシントロの湯で754㎎ありました。

(2) 温泉情緒

温泉街を浴衣と下駄でそぞろ歩くような街並みは、友人同士で訪れるのに向いています。「今度友達と温泉行こうよと話していて、どこかいいところありますか?」なんてケースですね。
戦前までは温泉は旅館には引かずに、温泉街で一つあるお湯に入りに出かけるスタイルでした。
旅館は寝るだけのところで、温泉に入ってから温泉街の食堂や飲み屋で食べて、射的などで遊んだり立ち食いしてから、また旅館に戻ります。
旅館で全て完結するようになって温泉街が廃れてしまいましたが、今も共同浴場に出かけ、外で食事をして楽しむことができる温泉街は残っています。

関東近郊ですと、①草津温泉、②伊香保温泉、③四万温泉、④那須湯本温泉(栃木県)、⑤別所温泉、⑥鹿教湯温泉、⑦渋・湯田中温泉、⑧野沢温泉(長野県)、⑨修善寺温泉(静岡県)などオススメです。

熱海、湯河原、箱根、鬼怒川は外しています。

(3) あなたの好きな温泉はと聞かれた時

酸性泉です!と答えています。
泉質について初めて意識して、その後全国の強酸性温泉を探して回るほど温泉にはまったためです。
それまでは温泉の楽しみ方はこんな感じでした。

広々とした湯船に浸かり、景色など楽しみながらリラックス。部屋に戻ってみるとすっかり布団が敷かれており、そのまま一旦倒れ込む。食事の時間になり、美味しい食事を堪能して日本酒など飲みながらさらに心も体も緩み、そのまま部屋に戻りぐっすりと寝る。朝起きて朝風呂に入る。
日本人で良かったと心から思う。

それが玉川温泉で強烈な温泉に入り、自炊棟で湯治の雰囲気を味わい、一種の修行のような体験をしてからは、温泉の奥深いトンネルの入り口を覗き込んだような感じでした。この先にもっと行ってみたいという感覚です。

関東近郊の酸性泉は、草津温泉、万座温泉、箱根大涌谷、那須湯本、那須塩原新湯(あらゆ)、少し離れて福島の岳温泉、山形の蔵王温泉です。
もっと離れれば、酸ヶ湯温泉、谷地温泉、恐山温泉、嶽温泉、下風呂温泉(以上青森)川原毛大湯滝、玉川温泉、須川温泉、大釜温泉、ふけの湯、後生掛温泉(以上秋田)、塚原温泉(大分)、地獄温泉清風荘(熊本県)、雲仙温泉(長崎)に行きました。

インドネシアでは全国各地の温泉巡りをして酸性泉を見つけたいと思います。わたしはお湯を舐めたら大体phがどれくらいか分かります。
といってもph3より数値の低い強酸性だけで、普通の酸性泉になると酸味が薄れて難しくなります。

インドネシアの温泉レポートは続けていこうと思います。

【ご参考】メイン画像は岡山県にある般若寺温泉。鍵湯で有名な奥津温泉のすぐ近くです。貸切なので要予約。

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