社会人が大学教授になるために参考になる本

この記事の続き。

いくつかの本のレビューです。

まず、この本。

実は読んでいません(苦笑)。
タイトル通り、40歳で大学教員になることを決めた人。
「18年勤めた都市銀行をスッパリ辞め、長年の夢を果たすべく大学院へ。」
それで無事大学教員になれて、良かったですね、という話じゃ、多分ありません。

40歳で都銀のエリートサラリーマン。給料いくら貰っていたんでしょうね?
それを全部捨てて、この本を書いた時点で50代で大学「講師」です。「教授」じゃなくて「講師」ですよ。
しかも任期付きだったみたいで、任期切れの後は専業非常勤です。それで今、69歳ですね。本当に良かったの?と他人事ながら思ってしまいます。

ちなみに以下は2011年の記事です。
社内公募、有力資格【5】大学教員 -銀行マンから大学教員に
この時、57歳で専業非常勤です。論文書けなかったんでしょうね。researchmapに論文を登録していませんし。
柿本 尚志(researchmap)
慰留されて1年退職を延ばす程、銀行員としては優秀だった人なのに、良かったのかなぁ。


続いてこれ。

働きながら大学院博士課程に通って博士の学位を取って、そのまま公募で大学助教授になれた人の体験談。まあ、正直ラッキーな人だったね、という感想しかありません。「自分も会社やめて大学教授になりたいな」と夢を見たい人に勇気を与える価値はありますが。Amazonのレビューも、そんな感じです。

私なりに分析すると、時代背景が大きいです。この人が大学に採用されたのが2001年。1990年代に大学の新増設が沢山あって教員が大量に必要になったのに、1990年頃のバブル景気で就職事情が良く博士課程に進む学生が減って教員の供給が減っていた、という特殊な状況がありました。そのギリギリ最後の甘い汁が吸えた人です。採用された大学も、経営学部新設に伴う人事だったようです。

「大学教員の定年は70歳」とサラリーマンよりいい仕事だという書き方をされていますが、今は私大でも70歳から65歳に定年短縮がされている時代。そして民間企業は逆に定年が60歳から65歳に延ばされています。ちなみにこの人、所属していた大学のHPから名前がなくなっていますが、もしかしたら65歳で定年になったのかもしれません。

「修士だけでも教授のコネがあれば大学のポストに就ける」とか、今じゃ絶対にあり得ないような話が満載で、そういう意味ではネタになる本です。この人、査読論文を1本位書いているのでしょうか?博士は取ったけど、査読論文無しで大学助教授に採用された感じです。それでもずっと同じ大学に雇って貰えて教授になれているのですから、大学のポストというのは「おいしい仕事」ですよね。この人みたいにうまく行けば。


もう1つ。

いろんなデータが出されていて、実際に社会人から大学教授になった人の事例も沢山取り上げられていますが、その事例はネットで集められる経歴を並べただけなので、本人が実際にどういうことをしたから大学のポストを得られたのかという体験談はありません。

もう1冊続編を出されているので、読んでからレビューします。図書館に貸し出し予約を入れました。

あとは古典ともいえる鷲田小彌太氏の著作が何冊かありますが、まだ読んでないので読んでからレビューを書きます。


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