FOOTWORK vol.1連載02『焚き火の会』

焚き火の会

松永先生は、毎月「焚き火の会」というのをやっている。僕もできる限り手伝うようにしているが、このイベントは、農家の人の畑を借りて、ただ焚き火を囲う会である。
ただ火を囲むことの何が楽しいのか?と考える人もいるかもしれない。
野原にはいくつか焚き火台がセッティングされている。小屋のなかのテーブルには火鉢があり、雨が降ったとしても、屋内で火に当たることができる。
近くには自由にできる竹林があり、田畑もある。シーズンによっては花粉がひどいが、周囲に隣家も少なく、騒がしくしても怒られることはない。
そこで僕らは朝に集まって、日が暮れるころに解散する。その間、松永先生は、別に子どもたちに何か命令したり指示したりすることはない。普通だったら、何かイベントでもしようと芋掘り体験とか、竹細工作りとか考えるだろう。そういう予定調和は一切ない。
もちろん食事くらいは準備するが、農場に皆が集まって火を囲う。決めているのはそれだけだ。
これくらい自由度の高い空間に、子どもが開け放たれるとどうなるか?
ちょっと想像してみてほしい。

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