デザイナーのポジショニング戦略を考えよう
アイ・アム・デザイナー。アイ・シンク・ビジネス。
アイ・アム・デザイナーです。もうあやふやなんですけど(笑)だいたい15年くらい、フリーランスで13年くらいです。自分の年齢もぱっと出てこなくなりました38歳です。
デザインの仕事っていうても幅広くて、紙媒体のデザインもWeb媒体のデザインもイベントやオフィス自体のデザインの経験もあります。特化することが流行っている昨今、まー全方位型でなんでもやってるデザイナーです。ディレクターでもプロデューサーでもプロモーターでもあると言えます。
そんな僕は、デザイン×ビジネスが今後は非常に重きを置かれると予想&希望&期待しておりまして、ビジネス視点でいろいろと思考することがとっても大事なことだと考えるデザイナーであります。
だってお客様がデザイン制作を依頼されるのは、ビジネスで上手くいくための目的がありますからね。ただ単にオシャレなチラシやWebサイトを作ればよいわけではありません。会社や経営者の求める先のものを作る必要があるわけです。
デザイン×ビジネスの思考は、自身を売る武器にもなる
そういったデザイン×ビジネスという思考は自分自身にも向けてよいものでしょう。だって自分が体現できていないのに、お客様にビジネス面での協力というのは難しいのかなって考えちゃいます。デザイナーとしての自分がどうマーケット内で動けばよいか、デザイナーを売るにはどうするか、そういった視点の考察は大事だと考えています。
そんなこんなで、今回はデザイン×ビジネスとして、デザイナー自身の売り方、自己プロデュースに関わることとして、デザイナーのポジショニング戦略について考えていきます。
ちょっと知ったような言い方で書きますが、僕も今でも絶賛勉強中です。
ビジネスにおけるポジショニングとは何か?
ポジションとは位置や場所、立場、地位なんかのことを指します。それにingがついて「ポジショニング」なので、位置づけるということですね。
ビジネスでいうなら、マーケット内での自分(や会社)を位置づけて「知ってもらう」ことです。差別化や特化、ユニークさを際立てて「知ってもらう」ということを戦略立てて進めていきます。すなわち、競合相手との違いを出してお客様に「知ってもらう」ということですね。
気づかれましたでしょうか?
そう、どんなポジショニングであっても、「知ってもらう」ことがセットになっています。他にはないこんな良いところがあるんだとしても、それがお客様に知られていないなら意味がありません。そのポジショニングは失敗です。他者(他社)との明確な違いを明確に「知ってもらう」ことをポジショニングと言います。
最近だとデザイナーも特化させて、「〇〇デザイナー」だとする方がよいという考えがありますが、間違いではないけども、特化だけで満足しちゃって仕事は全然ないという人は、このポジショニングに失敗してるというわけです。
またよくコンサルティングとかで言われる、ターゲットを決めて…という話も、ポジショニングまで話がいかないようなら、ちょっと危険でしょうね。たかだか飲み屋の席での世間話と変わりません。「知ってもらう」ってとっても大事。
ということは今回の話の前提です。では、他者との違いをデザイナーはどう出していくかの話にいきましょう。
デザイナーが他者との違いをどう出すのか
ポジショニングで大事なことを説明しましょう。(偉そうだけど全然偉くないですからね)
Aさんはデザイナーです。フリーランスです。とても抽象的ですが、Aさんのデザイナーレベルを100の中の50としましょう。これは純粋にデザイナーとしてのスキルレベルです。
このAさん、仕事を全然ゲットできなくて悩んでいます。Aさんはどうしたらよいでしょうか?
デザイナーレベルを80や100に上げればよい? うん、間違いではありません。でもそのレベルになるのに、どうしたらよいか、そして何年かかるでしょうか。すっごい先がハッキリしない解決法です。(もちろん日々レベルを上げることは大切です。レベルが低くてよいということではありません。プロとして大前提)
そこで考えるべきがセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングです。「STP分析」って言われるやつですね。前二つは今回の話ではないので、ピンと来なかったら調べてください。ポジショニング、どこに自分を位置づけて差別化するかです。
まずは場所を確保すると、差別化がしやすい
ポジショニングは、どこ?って部分から考えていくとやりやすいです。
レベル50のAさん、まずはレベル50でも全然大丈夫な場所に行くべきです。Aさんにお金を払ってよいと思ってくれる場所です。
大手企業などには相手はされなくても、スタートアップや、個人経営されているところでは需要があるかもしれません。制作会社でならレベル50のスキルでも大丈夫な仕事があるかもしれません。
レベルを上げるのは時間が掛かるけど、場所はすぐに変えれますよね。そうなったら、Aさんに可能性が出てくることがイメージできるでしょう。
この点において、デザイナーは自分ばかり見て何も解決してない人が多いです。もっとレベルを上げたい? うん、そこを解決するのにいつまで掛かるのよ。その積み上げはいつ終わるのよって。
ポジショニングってこういう考え方をしていくことです。もちろんこれは初歩的なことで、場所だけじゃなくて、そこでの競合との違いや差別化を考えていく必要もあります。場所選びは立派な差別化の一歩。そこを確保してから、その場での差をどうつけるかを考えると、自分のポジションを見出しやすいです。(例としてこのあと僕のポジショニングについて書いてます)
良いことがあって、そうしてると、一番大切なお客様の存在を頭に入れたまま、差別化の研究ができるんですよね。いきなり「ブランディングやで!」とすると、個性的なものはできるかもしれないけど、商売として成立するものかがないがしろになるパターンも多いです。
前田のポジショニング戦略
そんなこんなで、いろいろわかったようなことを書いてきましたが、僕がじゃあ実際どんなポジショニングの考えで動いているかを記していきましょう。
<どこ?>
まずは前述した場所の話。僕の居場所は、代理店や制作会社と関わっていない中小企業やスタートアップ、個人経営者、その他各種団体などです。「代理店や制作会社と関わっていない」というところがミソで、そういったお客様の予算感・規模感と僕の作るデザイン物はとてもマッチしています。
例えばWebサイトなら100万円以上の案件はやりません。Web サイトにそれだけの予算を出せない企業や経営者のお手伝いをしたいという気持ちと、実際低価格で作れる僕のスキル、大きな案件を受けないことによる負担の軽減などいろいろな理由からです。(どうやってそういったお客様と出会って仕事を得ているかは今回は別議題なので省略)
<差別化① 売りポイント>
僕の売りポイントは、「全方位型デザイナー」です。紙もWebもイベントもなんでもデザインしますということで喜ばれています。何か作れば他のアレも必要となっていくのがデザイン物なので、僕だけで全部できるとなると、伝達などの手間も掛からないし予算感もわかるので安心していただけます。
〇〇デザイナーのように特化しようという傾向にあるのと差別化して、「全部できます」と言っているのです。中小企業やスタートアップのお客様だと、いろんなことを頼める人は重宝してくれると信じています。これも立派な差別化。
<差別化② 相談しやすいかどうか>
働く姿勢や人柄の部分と言ってもよいかもですが、相談しやすいかどうかはかなり意識しています。人柄はとっても大事だけど変えるのはなかなか難しいので一生かけて意識するのは忘れないとして一旦置いておきます。
それとは別の、相談のしやすさというのは「悩みをしっかり聞いてくれるか」という視点でもしっかり詰められると思います。
例えば、初めて会った人に、世間話から悩み事を聞いたら、それだとデザイン使ってこうしたらとか話の流れで提案したりします。またSNSやこのnoteや自サイトのブログで、デザイナー目線でのビジネスに関することを発信しています。これらはすべて、前田が『この人ならちゃんとした答えが返ってきそう』というイメージを持ってもらう目的があるからです。(Twitterは楽しく遊び半分もありますよ)
<差別化③ スピーディーさ>
スキル面ですごい人には到底勝てません。上には上がいます。じゃあどこで差をつけるかで僕が答えを出したのは、スピーディーさです。仕事の早さもだし、連絡などのレスポンスの早さです。相談が来たらすぐ話を聞いてすぐ提案、すぐ納期決める、そんな動きをしています。
デザイン制作自体もできるだけ早くできるように心がけており、一番早いパターンなら朝イチに原稿をもらったら、夕方にはA4チラシの初稿を出すということをしたりです。Webサイトでは制作から公開まで1週間でできることもあります。これは特別なこともなく通常運転です。立ち回りをちゃんとすればスピーディーにできます。
<差別化④ スピード上がることによる低価格化>
スピーディーな制作をすると、低価格化も実現できるんですよね。皆さん単価アップをよく考えはるけど、自分のサービスの価値単価を上げても納得していただける場合は少ないです。だって前まで安い値段でやってたじゃんって。普通の買い物でも値上げされたらショックでしょ。
それなら、こっち側で掛かる時間を減らすことで、時間単価を上げれば解決するんです。シンプルな計算だけど、10万円のお仕事を10日でやったら1日1万円だけど、5日でやったら1日2万円になりますね。早く作ればその分は時給が上がるという考えです。
それすなわち、通常より半分の日数で作れるなら半分の金額にしても痛くないってことなんです。10万円のお仕事を10日から5日にできるなら、5万円にしてもいいじゃないっていう考え。自分の中での時給単価は下がってないじゃんって。半分に日数を減らすのは言い過ぎでも7割8割にできたらなら、2、3割引きにできます。(もちろん、早く作る/安く作るとしても質は担保しないといけません。これは絶対)
これにより低価格にできて、お客様は喜んでくれるし、僕としては無理して安くしたわけではないので成り立つのです。自分を安売りしてないので価値が下がらないんです。
<どう「知ってもらう」か>
最初の方に書きましたが、ポジショニングとは、他者(他社)との明確な違いを明確に「知ってもらう」ことです。上記に示した差別化をどう知ってもらうか、ここが本当に一番大切ですね。
僕の場合はなんじゃそらな普通なことですが、直接の会話が第1歩です。人と会って話してアピールします。至極当たり前の手法。覚えてもらうことにも努めます。そこでお仕事させてもらい気に入ってもらえたら、紹介をしてもらいやすいように、WebサイトやSNSの出番です。「良い人がいるから連絡してみ」と伝えるだけで僕の差別化がわかるものを用意しています。こうすることで、僕に拒否反応がない方が来られるので安心できるメリットだったりします。
あと、僕はいくら知っている人や紹介してもらえる人がいてるとはいえ、基本待っていても誰も声は掛けてもらえないと思っています。なので、発信には力を入れるべきだという考え。何かの発信を見たタイミングで、「そういえばあの件を前田に相談してみるか」となることを期待しています。
実際に僕の場合は、直接Webからの問い合わせは少ないですが、既に知っている人、そのお知り合いが、サイトやSNSを見て連絡をくださることが多いです。そういう流れを僕の場合は作っています。
本当はWebだけで直接の問い合わせも増えてほしいですけどね。まー、地道に知ってもらうことが得意なようです。
まだまだ考えることはあるけど、あなたのキッカケに
以上、僕なりのポジショニング戦略でした。まるっとひっくるめると、全方位型のデザイン×ビジネスのわかる低価格デザイナーといったところでしょうか。それが僕のポジショニング。
もちろんまだまだ考えることはあるし、ビジネス視点でもっともっと深堀りできますが、また文章が長くなっているのでこのくらいの紹介にしておきます(笑)
これによって、もうちょっと仕事うまくやりたいなーと悩んでいる人が、考えるキッカケになってもらえると幸いです。
ビジネス思考は儲ける思考とは違うので注意
ここで勘違いしてほしくないんですけど、儲ける思考ではなくて、ビジネス思考が大事だということです。儲けるには小手先のテクニックや運がメインかなと思います。ビジネス思考は、お客様のことを考えた行動へと繋げられるかどうかに関わってきます。そこにテクニックや運も入ってくるんですけど、メインはそこじゃないことがわかると思います。
セルフブランディングという言葉も、最近はあふれかえり、ほとんど薄っぺらい言葉になってしまったのは残念ですが、その要因になっているのも、このビジネス思考の欠如なんだと僕は考察しています。
ブランディングをちゃんと考えるならマーケティングも必要だし、ターゲティングや今回のポジショニングは必要不可欠でしょう。ただ単にTwitterでキラキラさせることがブランディングだとしたら誰も苦労しないですよね。僕はそういった『Twitter上だけの』人とは、しっかり差別化してポジショニングできている自信はあります。
ポジショニングでデザイナーとしての確立を!
ポジショニング戦略で大切なのは、現状のポジションの明確化です。現状に悩んでいる人がいますが、何に悩んでいるのかを説明できない人も少なくないです。そういう人は、ポジショニングの視点で自身を見つめ直すといろいろ見えてくるかと思います。
あと、一回決めたポジションは変更可能だということも忘れずに。トライアンドエラーこそが、最適解へとつながるヒントです。
最初からすべてが上手くいくなんてことはありません。今回、まずはこれしたらを示したのもそのためです。ポジショニングを考えることで、自分だからこそのデザイナーを確立できるかどうか、ここに小手先のテクニックではたどり着かない最適解があるでしょう!イジョウ!
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