見出し画像

デザイン案は何個出す?~前田の場合~

デザイン案の数は2案が多かった。それが表す意味は?

先日こんなアンケートをTwitterでしました。デザイン案はいくつ出すかというものです。

結果は、2案出すという方が多く、人数で見ると106名中で、1案:25名、2案:55名、3案:26名でした。1案じゃなく複数案出すという人が圧倒的に多い結果となりました。

これは特に意外とは感じませんでした。というのもよく複数案を出す上での悩みやエピソードを耳にしていたからです。特に代理店や制作会社とやり取りされている方はこの傾向にあるでしょうね。

そこに隠れた心理?狙い?としては、複数案から選べるというお客様の満足度向上を期待していたり、相手に選ばせることでリスク回避するといった考えもあるでしょう。またA案を通したいから、B案C案を出すという戦法もよく聞きます。

まぁ、投票していただいた人もそうですが、この手のお話は、その人それぞれで考えがあると思うのでとっても興味深いです。ということで今回はデザイン案について、僕の考えを記していきます。

画像1

デザイン案は、1案だけ出します

デザイン案をいくつ出すか? 僕は基本的に1案だけ出します。

ただし、注意書き。これはお客様から何も要望がない場合です。複数案求められたときは、喜んで出させていただきますよ。

ではなぜ1案か? 僕がそうしたのは経験的なところからたどり着きました。昔は僕も3案くらい出してましたねー、ウンウン。

1案である理由は、ちゃんと打ち合わせを進めて、「ではこれを踏まえてデザイン作っていきますね」となったのに、いくつも出すと違和感があるからです。複数案出したら、打ち合わせで方向性決まってたのに、ブレブレに見えませんか?

僕がお客様の立場だったら、「え、自分が選ばなあかんの? デザインのことわからんのに? 前の打ち合わせで方向性決まったんちゃうん?」ってなるかなって思うんです。もし、いくつか良いデザインができたとしても、こちらでどれが相応しいかを決めておく必要があるというのが僕の考えです。

僕なりのプロ意識なんですが、デザインをキッチリと決めてくるのがデザイナーにおける責任かなと思うんです。そこを「どれにします?」とお客様に持っていくのは、僕の中でちょっと違うんですよね。

画像2

お客様にどれかを選んでもらうのではなく、良し悪しを感じてもらう

デザインを見せる段階では、お客様には、良し悪しを感じ取ってもらうのを優先したいんです。「どれにしようかな」は、一見良し悪しを考えてそうだけど、どれが好きかを選んでいて、ちょっと状況が違う気がします。

選んだ後にしっかり良し悪しを考えていただけるお客様も、もちろんいらっしゃいます。ただし相手は専門外のことに時間をたくさん費やしてしまうことになるんですよね。これってやっぱり気にした方がよくないっすか?

また、1案であればブラッシュアップしていくのにも効率的。いやむしろ「どれにしようかな」にするとブラッシュアップが進まなかったり、時間的にあまりそこに力を入れれなかったり、ギリギリになって「ちょっとここが…」なんてことになることもあるのではないでしょうか(経験談)

画像3

でも1案のみ出すのには材料が少ないなんていう嘆き

こういった話をすると言われること。
「全然打ち合わせで決まらない」
「そんな深く話なんかしてない」
「ラフだけもらって作ってる。だから一つに決められない」
というところでしょうか。

いや、だからってわからないからって複数案作ってお終いにする理由なのかな?って思うのは僕だけでしょうか。もちろん仕方ない立場や状況だってあります。ただし、上記のような嘆きは回避すべきことでしょうし、これだとお客様が可哀想ですよ。ちゃんとデザイン制作が進行してないってことですもん。(もしくは割り切ることが大事なときも)

ま、この状況でも僕は1案のみにすると思います。そこでフィードバックもらって軌道修正していく道を選びます。その方がダメージも少ないかな。

画像4

はい、ここ大事です。見せるのは一つ、作るのは複数

でもね、何個かは案を作ります。

「はぁ? マエダさっき1案だけって言ったよな? こいつ言ってることバラバラやんけ」と思われた方は落ちついてください。そんなにイライラしちゃダメです。

案はいくつか「作り」ます。しかし、「作る」のと「出す」のとは違うんです。たくさん作ったとしてもお客様に見せるのは1案のみ。これがプロとしての僕の姿勢です。

2つだけかもしれないし、場合によっては5個10個…と考えることだってあります。途中まで作って採用不採用だってあります。たくさんの選択肢があって枝分かれもして、でも最後には一つに絞る。

制作会社などでスマートなところでは、自社内で複数のデザイナーに作らせて一番良い出来のものをディレクターが選んで提出するみたいなことできますね。さらに良いのが、一つ選んでそれをブラッシュアップしてから提出する。そこまでしたらもう最高っす。

そんなことをすれば自然と制作物のクオリティは上がるはずです。なので、最初から「1つしか作らないもんねー」ということとも少し違います。ハイクオリティになった渾身の一つを出します。(まーでもこれは皆さんも自然とやってますよね?)

画像5

作るものによっては複数案だって出します

こんな断りを入れるのも、必要かよくわかりませんが、1案と言いながらも作るものによっては複数案を出すことだってもちろんあります。

例えばロゴデザインとかキャラクターデザインとか。プロの目線に加えて、お客様の好みも入れておくべき事案ってあるんですよね。そんなときは複数出して考えてもらう方が効果的だったりします。といっても1案のみでめっちゃ気に入っていただけることもあるので、お客様を見てケース・バイ・ケースです。ライド・オン・タイムだし、ステイ・バイ・マイサイドです。

画像6

結局はプロのあなたの判断でよし

以上は僕の場合でした。複数案出すことを否定はしていません。あくまでも僕の仕事のやり方です。皆さんのやり方でやりやすいようにするのが一番。ただし、もったいないことしてないかは考えて然るべきじゃないでしょうか。複数案作るのって時間も労力も大変ですしね。

僕の中でスピーディーさもウリだと思ってますので、1案のみで進める流れができています。それを違和感持ちながら2案目を作るのは、僕には合わないだけです。

これが他の人であれば、複数案を出してそこからお客様に選んでもらうということをして満足度を上げるというやり方もあります。「複数案から選べますよ」がウリになるかもしれません。意味のある複数案ならやって損はないでしょう。

もし、「周りがそうだから」で複数案出している方は、自身で納得いく思考をしてから何案出すかを決めてもいいんじゃないでしょうか。イジョウ!

<追記>
こちらの記事「フリーランスクリエイターは、下請けがいいのか直請けがいいのか? 僕は直請けが好きだぜ」は、何案出すかの今回の内容ととても関係しています。下請けだと複数案出すことも多かったりするでしょう。なので下請け直請けのどちらの立場かでも変わってくると思い、下記の記事も書きました。併せてお読みいただけると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?