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声優~ジブリ、そして政治

『オール読物』昭和63('88)年9月号に、「サザエさん」の磯野波平役をはじめ多くの作品に出演されている俳優の永井一郎さん(1931.5.10~2014.1.27)が、「磯野波平ただいま年収百六十四万円」と題したいわゆる声優のギャラのあまりの低さを訴えた手記を寄稿しています。
その中に日本のアフレコ現場を見学したスペインの関係者が、「スペインで1週間かかるものを、この人たちは4時間でやってしまう」と驚愕したというエピソードが紹介されています。

この素晴らしい長所を活かそうともせず、自らの演技指導力の無さを棚に上げ、「娼婦の演技」などと声優を蔑視しているスタジオジブリ(宮崎駿)。
このジブリ映画を、当の声優が嬉々として観たことをSNSに投稿しているのを目にすると、一声優ファンとして悲しい複雑な気分になります。

自覚、というか問題意識が無いのでしょうか?

現在、俳優(声優)である咲野俊介、岡本麻弥、甲斐田裕子の3氏が「VOICTION」という組織を起ち上げ、旧Twitterを中心にインボイス制度導入反対運動を展開中ですが……
前述の有り、問題意識の低さからまさに「笛吹けど踊らず」で、今一つ業界内で盛り上がっていないのも頷けます。
しかし、これは我が日本の縮図であり、声優業界に限ったことではないでしょう。

何故この国の人間は刹那主義的というか、大局観が無く自分自身の事に無関心なのでしょうか?
政治についてはこれが顕著で、極めて低い選挙の投票率に表れています。
我が国は民主主義国家なのにもかかわらず、その主権者である一人一人が、己の生殺与奪を握っていると言える事(政治)に非常に無関心で、寧ろ、関心があることを「意識高い系」などと揶揄し、それについて日常で語るのは忌避されるというのは、完全に異常と言えるでしょう。

これでは貧富の差拡大、治安の悪化など日本がどんどん荒むわけです。

『オール読物』昭和63('88)年9月号掲載の永井一郎さんの手記。画像は3ページに渡る本文をスキャンしたもの。保管状態が悪いため日焼けしているうえ、画質が鮮明でないのは御容赦を。
手記の3頁目のスキャン画像。ここにスペインの関係者が驚愕したエピソードが紹介されている。