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ハイになってる場合じゃない

「こんにゃくで出来てるから、カロリーゼロだと思ってた!」

やばいやばいと言いながら、ゼリーの袋に手を伸ばす夫。いま、まだもぐもぐと口を動かしているところなのに。

先週、夫が健康診断を受けに行った。このご時世で健康診断とは、いったい何を診断するのか……? とちょっと皮肉めいたことを言いながらも、会社の規則だからとかかりつけの病院へ出かけていった。

夫は夜勤を含む仕事についており、年二回、春と秋に健康診断を受けるように定められている。リモートワークができるような職種ではないので、今もシフト通りに通勤している。普段皮肉っぽいことを言わない夫が健康診断に関して、皮肉を言うくらいだからちょっと大変だなと思わずにはいられない。

数年前から、健康診断のたびに夫は「太り過ぎですね」とか「少し体重を減らしてください」と指導を受けていた。

確かに夫の腹回りはぐんぐんと育っている。結婚したころはMサイズを着ていたはずなのに、いまでは「Lサイズもきつい気がする……」と言い出す始末。

お互いの食生活に干渉しない、というルールもあったし、それぞれ仕事の都合で一緒に食事をする機会も少なかった。夕飯を一緒に食べるのは週に二度程度。

それでも、「お腹すいたなあ」と言いながらおやつを食べる姿を見ることも多かった。こんな時間にそれを食べるんだ……と、あきれることもあったけれど、積極的に止めることはしなかった。以前、何度かアドバイスしたこともあったけれど、それでも今食べてるんだから、好きにしなよ、と。

そうして今回の健康診断で、ついに「要治療」とはっきり書かれてしまった。

中性脂肪とコレステロールはまあ、いつもとそれほど変わらない。ただ、肝機能の数値が大幅に上がっていた。脂肪肝一歩手前、というところだろう。血液検査の項目には基準値を超える「high」を表す「H」の文字がずらずらっと連なっている。

月に一度くらいしかお酒を飲まないし、飲んでも350mlの缶ビール一本程度なのに、肝機能障害に問題があるとは……。

「やばいよ、やばいよ」と夫はうろたえていたが、決心したように「ちょっと食生活を見直す」と宣言した。

普段は好きな物ばっかり食べていた食生活を、この機会に見直すことになった。リモートワーク中の、わたしが家にいるのだから野菜料理をできる限り作ってほしいと頼まれた。

仕方ない、やってあげようか。

ただ、わたしは食事にあまり関心がない。

食パンと、ミルクココア。ヨーグルトにキウイの朝食。昼食はサンドイッチとコーヒー。夜はめかぶとブロッコリーと果物。このメニューが毎日続いても良いと思っているくらい。現に朝食は、一年のうち350日はこのメニュー。昼食のサンドイッチも具のバリエーションがあるけれど、週5で同じサンドイッチを食べていた。

食べるのが楽しみな夫と、食べるのがめんどくさい妻の食事改革はうまくいくだろうか? ただ、血液検査の項目であちこちハイになっている場合じゃない。いまは、自分たちの健康はできる限り整えていかなくちゃ。

こんにゃくゼリーを手品みたいに、サッとふたつ口に放り込んでいた夫をみると、少し先が思いやられる。



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