一緒に食べよう

「おじいちゃん、スイカは種ばっかりやから、いらん! って怒りそうじゃない?」
三角形に切り分けたスイカを、皿に取り分けながら、母にたずねる。
「でも、今年初めて買ったスイカだしねぇ。食べなきゃ食べないで、怒られそう」
そうして私たちは静かに笑いあった。

「見えてる種くらいは、取っておいてあげようか」
フォークを使って種を落とす母の手つきはとても優しい。

祖父のお気に入りの皿に、一番美味しそうにみえるひと切れを乗せる。
「おじいちゃん、スイカですよー。まあ、メロンのほうが好きだったけどねえ」
そう言って母は皿を棚に置いて笑いながら話しかけている。
写真に写る祖父は、笑顔なのに、やはりどこか気難しそうにみえる。

線香の煙をたっぷりと吸い込んだ、ぬるいスイカを分け合って、母と私は黙って食べた。

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