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対処法のないウイルスは、どう防げばいいのだろう?

対処法のないウイルスなんて、世の中にはたくさんある。ノロウィルスだってそうだ。言い出したらきりがないし、感染したからといって命に別状がなければ、知らないままでもいいのかも知れない。

たしかに、ワクチンもなくって、感染しないための対策も特にないウイルスの場合、「こんなウイルスがあって、危険ですよ!」と声高に触れ回るのは、もしかしたらただ不安を煽るだけで、「知らない方が良かったのに」と、責めれるだろうか。

ただ、そうだとしても、先日どうしても考えてしまう事案があったので、こうしてnoteに書いている。

5月のなかばに、友人とLINEのやり取りをしていて、「ちょっと心配なことがある」と、打ち明けられた。その友人は現在第二子を妊娠していて、秋に出産する予定になっている。

その友人が、先日妊婦検診を受けにいった時に血液検査に引っかかり、再検査をしてその結果を待っているのだという。ただ、その再検査の項目が「サイトメガロウィルス」というこれまでに聞いたこともない。一度妊娠・出産を経験しているけれど、前回の妊婦検診の時にはその検査項目すらなかったのだという。

彼女が妊婦検診を受けているのは、かなり大きな大学病院だし、検査項目も以前よりも多い。けれども、聞いたことのないウイルスに感染している恐れがあり、再検査の結果を待つのが不安で仕方ないと、打ち明けてくれた。

彼女の夫は医師ではないけれど、病院に勤めている人で、サイトメガロウィルスについては、ワクチンもないし、防ぎようがないから、見て見ぬ振りっていうと語弊があるけど、現状では対応できないんだと言われたらしい。

彼女も気になって、自分で色々とネットを調べてみたらしいけれど、妊婦が感染していると、胎児に影響を及ぼすこともあるという。もちろん、影響を及ぼす可能性は100%ではないのだけれど、調べれば調べるほど心配になって仕方なく、検査結果を二週間も待つのはつらいと吐露していた。

彼女とのLINEのやり取りを終えて、私も気になったので「サイトメガロウイルス」について調べてみた。いくつかのサイトがヒットしたけれど、国立感染症研究所のページが、比較的まとまっていたので、リンクを貼っておく。

サイトメガロウイルスは幼少時に感染することが多く、感染後は生涯その宿主に潜伏感染すると説明されている。この状態は、抗体を持っている、ということなので、潜伏感染が危険ということではない。

従来、我が国のCMV抗体保有率は欧米諸国に比して高く、乳幼児期にほとんどの人が感染を受けている状態が続いていた。ところが最近、その状況に変化が 認められ、妊娠可能年齢の女性におけるCMV抗体保有率は90%台から70%台に減少していることが、いくつかの地域における研究で報告されている 1) 。このことは、乳幼児期に初感染を受けずに成人となり、伝染性単核症や妊娠中の感染により、先天性CMV 感染症患児を出産する頻度が増加することにつながる。抗体陽性の母親から出生した児の経胎盤感染の頻度は0.2〜2.2%であるが、妊娠中に初感染を受け た場合の経胎盤感染の頻度は20〜40%と報告されている 2)。しかし、そのうち症候性感染児は5〜10%である 2) 。ただし、新生児期に無症状であっても、難聴や知能障害のような形で発見されることがあり、早期発見が重要である。(国立感染症研究所の「サイトメガロウイルス感染症とはより一部抜粋)

抜粋部分が多く(しかも難しい)読みづらいと思うが、簡単に言うと、

・最近は抗体を持っていない人が増えている。

・妊婦になった段階で初めてサイトメガロウイルスに感染すると、胎児にも感染するのが3割程度。胎児のうちに感染すると、生まれた後成長過程で難聴などを引き起こす恐れがある。

というものだ。

もちろん、妊婦が何かの病気やウイルスに感染すると、胎児に影響を及ぼす、というのは多くの人に知られていることだ。何も、サイトメガロウイルスに限ったことではない。けれど、これまで日本では幼い頃から抗体を持っているからといって、「何にも知らない」というのは、本当にいいのだろうかと心配になる。

例えば風疹とか、はしかみたいにワクチンが既に存在していて、ワクチンを接種すれば大きな問題には発展しない、ということも事実としてはある。(ワクチンの接種率が低いとか、いろいろな問題はあるにせよ)

けれど、ワクチンもなく、防ぎようもないウイルスは、感染しても手の打ちようがないから、あまり公に知らせなくていいのかと言われると、それもどうなんだろうと悩むところだ。

サイトメガロウイルスの検査は、日本全国でもほとんどの病院では検査項目に入っていなくて、彼女は、偶然大きな大学病院に妊婦検診を受けることになったから「再検査」となり、初めて聞いたのだという。

わたし自身、一度妊娠をしたけれど、すぐに流産した。その後は妊娠をしていないため、妊婦検診がどんな感じですすめられていくのか体験したことはない。一度検査をした記憶をたどると、お腹にエコーを当てて胎児の成長を調べるのと、その度に尿とか、血液の検査をするはずだ。血液検査の項目はB型・C型肝炎や梅毒、風疹の抗体の有無、HIV感染などさまざまな検査項目があり、その中でサイトメガロウイルスの抗体の有無を調べるかどうか、ということなのだろう。

抗体がない、未感染であるとわかったときに、どうすれば感染を予防できるのだろう? 

再び、国立感染症研究所のサイトから引用すると、

先天性CMV 感染症の予防方法としては、未感染妊婦は乳幼児と密接な接触を避けることなどがあげられる。欧米では未感染妊婦の保育士などにおいては、乳幼児の担当を避 けるなどの配慮がなされているようである。ただし、これには妊娠中の抗体検査が必要となる。

これだけしか、予防方法がないのだという。第一子を出産後、2、3年後に第二子を出産する場合には、「乳幼児との密接な接触を避ける」というのは、はっきりいってムリだろう。

現在積極的な治療方法の確立が進められてはいる。しかし、幼児のうちに感染し、抗体を持っている人がこれまでは多かったこともあり、需要も限られている。ワクチンのないウイルスはたくさんあるし、ワイトメガロウイルスのワクチンはもしかしたら優先順位は低いのかもしれない。

すべての病気に治療方法が確立されているわけでもないし、なんなら「なぜこういった症状が発生するのか」がわかっていない病気のほうが多いだろう。

ウイルス自体が確認されていて、ある程度ウイルスに対する治療方法も確立されつつある「サイトメガロウイルス」の場合は、知識として知っておくのもいいのではないか。未感染の人が増えてきているのなら、子供のうちにいつの間にか感染していて、いつの間にか抗体ができてるんだからほっといてもいいや、というわけにもいかなくなってくるだろう。

幸い、再検査を受けた友人は「サイトメガロウイルスの抗体がある」という結果が出たそうだ。、数日前の妊婦健診の受信ののち報告してくれた。

治療法も、ワクチンも、防御法もわからないウイルスには、どんなふうに対応すればいいのだろう? やみくもに怖がらせたいわけではないし、「現在のワクチン開発には問題がある」などと声高に言いたいわけじゃない。

けれども、幼児期に自然感染していた事実があるならば、何かうまい具合に抗体を持つこともできそうな気がする。それはどんな方法? と聞かれても、答えを差し出すことができないのが、もどかしい。

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