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自己満足度の高い名刺を作ってみた

本来ならば、名刺は仕事などで出会った人に渡すものだ。だから、自己満足というよりも「わたしはこんな仕事をしています。連絡先はこちらです」というのが明確にわかるというのが、一番重要なことかもしれない。

ただ、そうだとしても。わたしは、自分の名刺を作るときにどうしても使いたい紙があった。

それは京都の「唐長」というお店のものだ。

唐長は、創業1624年。江戸時代から途絶えずに、日本で唯一続いてきた唐紙屋。
代々受け継がれた板木にひとつひとつ手仕事で和紙に文様を写し取り、襖紙や壁紙として桂離宮、二条城、養源院などの歴史的建造物や、今を彩る現代の人々の暮らしにおいても唐長の唐紙は用いられています。その文様と色合いの持つ世界観と美意識は、日本が世界に誇るべき宝とも言えるでしょう。(以上、公式HPより引用)

すごく簡単に言うと、唐長で作られている紙とは、版画みたいなもの。和紙に文様を刷っている紙を取り扱っている。

もう10年以上前のことだけれど、わたしは唐長で行われていたワークショップに出かけて、楽しさをとか喜びを取り戻したことがある。

その時わたしは、うつ病の治療中で、ほぼ一日中寝て過ごしていた。ご飯を食べて、布団にはいって、本を眺めているうちに眠ってしまうということを繰り返していた。二週間に一度くらいは、友人が誘ってくれてカフェでお茶を飲む、というので外出していたけれど、それ以外では犬の散歩で近所をフラフラするくらいしか外にも出ていなかった。

たしか友人とお茶を飲みに出かけたときに、チラシをもらったか、雑誌に載っていたのかは分からないけれど唐長で行われている「版画のワークショップ」を見かけた。

もともと年に一度の年賀状制作時に、その時々の干支やら、おめでたいモチーフの消しゴムスタンプをつくって送っていた。面白そうだなとおもって、家で話したところ「行ってみれば?」と姉にすすめられてそのワークショップに申し込むことにした。

実際に唐長で使用されている版木(版画のもとになる木の板)は、代々受け継がれている由緒正しいものなので、ワークショップではそれを使うわけではなく、自分で木彫りの板をつくって、それでワークショップを行うというものだった。ワークショップ当日まで、一心不乱に木の板を彫りまくって、「打ち込み過ぎちゃう? だいじょうぶ?」と家族には心配されるほど、起きている時間は木の板を彫っていた。

ワークショップ自体は、唐長で行われている技法を用いて和紙やポストカードに刷るという体験ができた。(今ではそのワークショップは行われていません)

木を彫っているときも、刷っているときも、とにかく楽しくて夢中になった。唐長でのワークショップが終わった後も、木彫りで年賀状を作成したりして、一日中寝ている、という状態からは抜け出すことができた。

唐長で販売されている紙そのものが美しくて、魅了されたといっても過言ではない。自宅にも額装した唐長の紙がいくつか飾っていある。

唐長の紙で名刺を作りたいというのも、わたしの夢でもあった。自分の名前を知ってもらうためのツールというよりは、「この紙、すっごくきれいでしょ!」と配りたい気持ちのほうが強い。

最近になって、ようやく京都にある唐長のお店で、名刺用の紙を購入した。

配る要素はまったくないけれど、そろそろ自分のペンネームの名刺を作ってみてもいいかもしれない。なんとなくそう思えたのだ。

名刺用の紙に、手書きで名前を書くか、印刷所に紙を持ち込んでお願いするか……、などといろいろ考えた。いろいろ見ていると、唐長の紙に、活版印刷をしてくれるというサービスを見つけた。

お、これはすごく良さそう! 用紙が手元にあるから、自分で印刷所に持って行こうと思っていたけれど、いったんこのサービスを使ってみよう。

そうして、フォームに書き込んだりして出来上がった名刺がこちら。

写真がヘタクソで、申し訳ない。かわいさが全然伝わらないのだけれど……。ベースの紙には、文様が刷られている。そのインク(顔料)には雲母(きら)とよばれている、光る顔料が使われていて、光を反射してラメっぽくキラキラ光るんですよ、これが。

なにかしら、noteのイベントなどで実際に会う機会がある人に、どしどし配っていきたい。

次に名刺を作るのは、コスモテックさんのパチカ名刺もつくってみたい。フォントは筑紫明朝。どんどん自己満足していこうじゃないか。

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