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風の強い晴れた土曜日の朝、へびを飲み込んだ話。

年に一回胃カメラ検査を受けることになって、早4年。毎年憂鬱で仕方ない。

予約を取るのが7月くらいなのだけれど、そのあたりからずうっと憂鬱な気分が続いていた。

とはいえ、「もう検査しなくてもいいです」といって放置して、あとから後悔することになっても困る。摂食障害で胃や食道へ負担をかけてきたし、ピロリ菌に侵された胃を無視することもできない。

とりあえず、毎年9月は「身体メンテナンス強化月間」として、胃カメラを飲むと決めている。

胃カメラを飲むのに、一番嫌なのは喉から食道のあたりを通り過ぎる瞬間。グエエエっと気持ち悪く吐き出したくって仕方ない。

「大丈夫ですよー、落ち着いてー、呼吸してくださーい。はい、一回ごっくんと飲み込んでー」そんなこと言われても無理である。

リラックスするのが大事、とシステマで何度も言われているので、少し落ち着いたら呼吸に集中してだらりと力を抜く。そうすると、それほどしんどくない。

わたしがいつも胃カメラの検査を受ける病院は、鼻からではなく口から入れるタイプだし、麻酔も口の中と喉の奥のあたりだけに効くものを使用している。もっと楽な検査方法(鼻からの方が楽、とか、もっとしっかり麻酔してくれると楽、とか)もあるのだから、他の病院に行ってもいいのだろう。けれど、でもその病院の先生と看護師さんを信用しているし、その病院が閉院しない限り、またはわたしの症状が悪化して大病院に行くことになるまでは、はそこで検査を受けようと思っている。

毎回胃カメラを飲み込む時に思うのは、「わたしの胃の中をうねうね動いている管は実はへびで、先生はへび使い」というもの。

胃の組織を摘まみ取るときなど、胃のなかをグインッと引っ張られる感覚があって「あ、へびがわたしの胃を噛んでいる」と妄想する。働き者のへびは、胃の中をぐるぐると動き回って忙しそうだ。ブラックスネーク、カモン!

へびは何度かわたしの胃に噛み付くのに失敗していた。「血液しかついてません」と言う看護師さんの言葉が聞こえてくる。確かに、胃の中をグイッと引っ張られる感じはしなかった。へびよ、ちゃんと噛み付いておくれ。こちらはもう、結構辛い。

検査の時間自体は40分くらいで終わってしまうのに、もう何日も前から憂鬱になるのは、どうも割に合わない。大したことない、と思い切れればいいのだけれど、そこまで肝は座っていない。胃カメラを飲むために胃の痛い思いをして暮らすのはどうなのだろう? 

もっともカメラを飲み込む、あの一瞬だけが嫌で、一旦胃の中に入ってしまえば、もうそれほど嫌な気持ちはしないのだけれど。

検査後に行われる、写真を使った診断で、ほんの少しずつだけれど胃の調子が改善しています、と言われてホッとする。胃カメラで撮られた写真をスマホで撮影して、この一年のお守りにする。これを見て「わたしの胃の中はこんな感じ」と、時々考えるのだ。


今回気になったことは「ピロリ菌除菌後にも再感染する恐れがある」と言う話だった。先生曰く、正確に数えていないけれど、だいたい2%くらいの割合で再感染しているとのこと。再感染だけは、とにかく避けたい。けれど、感染源が何なのか、明確でもないので、何に気をつければいいのだろう?

また来年も、へびを飲み込んで、確認するしかない。



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