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パーカーを着て、パーカーを脱いで。

ここ最近、急に気温が高くなった。もう夏なのだろうか? と思わずにはいられないけれど、夏になると、とても悩むことがある。

それは、冷房が苦手、ということだ。

暑くなれば、移動中の電車内も、どこか建物に一歩でも入ると涼しく快適な温度に調節されている。もちろん快適だと感じる人のほうが多いのはわかっている。

しかし、わたしは冷房の寒さと、どう向き合えばいいのか分からない。とにかく寒い。ここ数年、出かけるときは基本的に夏でも半袖を着ることはない。寒いからだ。なんなら、厚手のパーカーを羽織ったりして、長袖を二枚も重ね着したりする。

職場でも既にクーラーはガンガンにかかっている。社内には社長とわたししかいない。「寒いからクーラー停めていいですか?」と言いたい気持ちもあるけれど、さすがに、PCを何台も作動させているし、社長は以前、クーラーをつけていたにも関わらず熱中症になりかけたこともあって、あまり主張できずにいる。

わたしの職場は、デザイン事務所のそばにカフェが併設されている。デザイン事務所は、扉で仕切られていて、事務所というよりは倉庫のような感じでもある。わたしは、その両方で働いているので、デザイン事務所にいるときもあれば、カフェにいるときもある。(仕事の効率は、かなり悪い)

カフェでは調理場に立ったり、お湯でお皿を洗ったりするため、汗だくになることもしばしばだ。夏場の厨房は熱気がこもっていて、今年こそは熱中症になるかもしれないとびくびくしている。

デザイン事務所は寒い。厚手のパーカーを着る。カフェに呼ばれると暑いので、パーカーは脱ぐ。

この動作を一日に何度も繰り返していると、ふとある映画を思い出した。

勘のいい方は、お分かりかもしれない。そう、「ベスト・キッド」だ。

空手を習う少年が、はじめのころに身体を動かすトレーニングとして

「ジャケットを着て、ジャケットを脱いで」というのを何度も何度も繰り返さなくっちゃいけなくてうんざりする。しかし、この何でもない動作が、空手の基礎になっている、というものである。

ジャッキーチェン好きの夫が、リメイク版の「ベスト・キッド」を何度も見ていて、そのたびに「あの動作をまねすれば、おれもジャッキーチェンみたいになれるかな?」と、いい「ムリやろ」と、わたしが冷たく言い放つところまでがワンセットになっている。

毎日パーカーを着て、パーカーを脱いでという動作を何度も繰り返すことになったわたしは、いつの間にか空手の基礎が身についていたりするだろうか?

いまのところ、脱いだり着たりして「ああ、うっとおしい。でも着なくちゃ寒いし、脱がなきゃ暑い」とイライラするばかり。

おそらく精神力を鍛えているところだと、思うようにしている。


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