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置き忘れには、ご注意を。

ついうっかり、油断して荷物置き忘れてしまう場所というのがある。トイレにつりさげた買い物袋とか、電車の網棚の上とか。

その場所のひとつに、「ATM」があるんだろうなと思う。

ATMでは、お金を振り込みしたり、口座に預けているお金を引き出したり。気にならない程度だとしても、多少の緊張感を抱えながら画面の操作をしている。

お金にまつわることは、間違いがあるといけないし、たとえ自分のお金を三万円引き出すだけだとしても、ぴりっとした気持ちが心のどこかにあるに違いない。

そうして、ATMでの操作を一通り済ませたあとに、緊張が解ける。やれやれ、大金をようやく振り込んだぞとか、入金日に間に合っただとか、今月思ったより出費が多いなあとおろしたばかりのお金を財布や備え付けられている封筒にいれて、ふっと気が抜けてしまう。

そうして、ATMのわきに置いた荷物とか、通帳とかを忘れたりしてしまうのだろう。

ここ最近、ATMでの忘れ物に遭遇することがとっても多い。わたしが忘れ物をするわけじゃない。ATMを利用しようと思うと、おそらく前に使用した人が置き忘れたものが、所在なさげに残されている。

通帳と印鑑が全部入っていて、かなり忘れちゃいけないようなきんちゃく袋とか、通帳が入ったポーチとか。たくさんお買い物をしたあとにATMに立ち寄ったため、いったんよいしょと置いてしまった、食材がたっぷりはいったお買い物袋だとか。

あるときなんかは、「ピ―ピーピーピー」と、わたしがしようしていた隣のATMがずうっと泣きわめいていて「一体、どうしたんだい?」とのぞき込むと、現金の取り出し口にお金が入ったままになっていた。引き出した人物はお金を取り出すことなく、立ち去ってしまったらしい。


先日ATMに立ち寄った時には、ATMの棚というか、ちょっとした物が置けるようになっている場所に通帳が置き忘れてあった。通帳の表面には氏名が書かれていて、おそらく中国の方と思われる名前だった。

どうしたものかすこしだけ悩んだ(もしかしたらいますぐに、走って取りに来るかもしれない)けれど、ATMの左側に備え付けられている受話器を持ち上げて、コールセンタに電話した。(電話というか、受話器を取ってボタンを押すと、すぐに話せるので、厳密にいうと電話とは言えないのだろう)

すぐに、女性の係員の方が受話器の先に出てくださったので「通帳の忘れ物がありました」と、わたしは告げた。

通帳の表面に書かれた番号と、お名前(読めなかったので、一枚めくるとカタカナ表記ですので、見てくださいと言われた)を告げた。そうして、ATMスペースに設置されている「連絡箱」のなかに、その忘れ物の通帳を入れてくださいという指示をもらった。

コールセンタの方とは2,3分くらい会話していたけれど、その間にも取りに戻ってくる様子もなかった。わたしはその郵便受けのような場所に通帳を入れてその場を立ち去った。

「連絡箱」の中に入れると、その後どうなるんだろうか? 持ち主には銀行から電話がかかってくるのだろうか? ちょっと気になってググってみたら、同じような体験をしたひとの話がたくさん出てきた。やっぱりみんな、ATMで忘れ物しがち、のようだ。

用事を済ませたら、やっぱりどこか気が抜けてしまうのだろう。ぼんやりして、わたしもなにか置き忘れしてまわないように、気をつけたい。





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