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ぷろふぇっしょなる、かっこわらい。

「わたしには、これができます」と、自信を持って言えることが何もない。

前からなんとなく気が付いていたけれど「ああ、そうなんだな」と、突きつけられた気になった。

先日、電車の中で聞こえてきた会話が、どうしても忘れられない。

スーツを着たサラリーマンふたりの会話。おそらくふたりとも30代後半から40代半ばあたり。

クライアント先から帰るのか、これからクライアント先に向かうのかは分からないけれど、どことなくそのクライアント先に対してよい印象を持っていないようだった。

「最近はさ、『プロフェッショナル』の皮をかぶった人が多いから、こっちが振り回されるよな。なにがプロフェッショナルだよ、ぜんぜんできてねーじゃん、みたいな」

「そうそう。そのプロフェッショナルもひらながで書くんだよな」

「あ、言えてる。ぷろふぇっしょなる、かっこわらい、でしょ?」

そうしてふたりは、ひらがなで「ぷろふぇっしょなる(笑)」なる人物が先導している案件について話続けていた。

けっこう辛らつだな、と思いながらぼんやりと聞いていたのだけど、どこか胸がチクッと傷んだ。

わたしはプロフェッショナルとは言えないし、自称プロフェッショナルでもない。じゃあ、なんなのだろう? わたしがしている仕事は何なのだろう? そう考えはじめると、不安になった。

先日、半年ぶりに友人ふたりとランチを食べた。

前回会ったとき、ひとりは、長年勤めていた職場を辞めて転職活動中だといっていた。けれど、彼女の職業は専門的な仕事なので、次の仕事先をさがさなくっても、慌てなくていい。彼女自身が選べる立場にあった。

今回、転職活動についての話を聞いてみると、筆記試験が今ひとつわからない会社もあったといっていた。けれど数社の中から条件面で良いと思った会社を選んだといい、またばりばり働いている様子だった。

もうひとりも、いまの勤め先はパート勤務だけれど、子どもも大きくなってきたし、来年には転職して紹介予定派遣なども利用して、正社員として働きたいといってた。彼女の仕事は専門的な内容とは言えない。けれど、会社の総務と経理を担うような部署でずっと働いているので、そうした職務であれば重宝されるだろう。

彼女たちは、「プロフェッショナル」と言えるだろう。ふたりの話を聞いていて、ふと先日のサラリーマンの会話がぼんやりと頭にうかんでいた。

ふたりから「ひろは転職は考えていないの?」と聞かれた。

転職を考えていないわけじゃあない。けれど、わたしには取り立てて「これができます」とアピールできる資格もないし、経験もない。いまわたしがやっている仕事は、いったい何なのだろう? 

デザイン事務所に4年も勤めているけれど、デザイン関連の仕事を任されてはいない。ライターのような仕事は率先して行っているけれど、ライターという肩書を持ってるわけじゃない。制作進行とかスケジュール管理のようなことはしているけれど、それは特に何かの能力が必要とはいえないだろう。

デザイン事務所が運営しているカフェの仕事も任されている。キッチンに立つことが多いけれど、調理師免許をもっているわけでもない。また、料理を極めたいという向上心もない。

わたしは「ぷろふぇっしょなる(笑)」ですら、ない。

だらだらと仕事をしているフリを、続けているだけなのかもしれない。








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