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ぐっすり、おやすみ。

「危ないので安全柵から離れてください。まもなく、発車します」

新幹線のホームは、それぞれの故郷へとむかう人たちでいっぱいだ。

大きな旅行かばんと、おみやげをたっぷりと抱えて、せわしなく時計とにらめっこしたり、携帯電話を耳にあてていた。

人混みをすり抜けるように発車した新幹線の車内には、指定席を取れなかった乗客でぎゅうぎゅう詰め。ほんの少し姿勢をずらすにも一苦労だ。

そんな中でも、母親にしっかりと抱きかかえられたまま、ぐっすりと眠っている幼い子どもたちの姿が目にとまった。

母親は眠っている子どもが起きてしまわないようにと、真剣な眼差しだ。

父親はベビーカーと荷物を持って少しでも母親と我が子を守るような体制をとっている。

周囲の混雑や、親たちの大変さを知る由もなく、抱っこされた子どもは母に身体のすべてをあずけ、すやすやと眠っている。

ぷっくりとしたほっぺが落っこちてしまいそうなほど、安心した様子で。


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