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お盆休みと乳がん検診

「お盆には法事とか、なんにもやらないよ」

母の言葉にわたしはちょっとびっくりした。今年の2月に父が亡くなり、新盆だから法要とかするんだろうなと思っていたからだ。

しかし、よく聞くと実家の宗派である真宗大谷派というところは「お盆にご先祖様は帰ってこない」という教えらしい。もちろん、帰ってこなくても御経を読んでもらったりだとか、そうした法事をおこなう家も多いだろう。

しかし、母は「だーれも帰ってきはれへんのに、なんでわざわざお坊さん読んでお経読んでもらうん?」となんともぶっちゃけたことを言っていた。まあ、毎日自分たちでお経も読んでるし、母がそれでいいなら、わたしは別に構わない。

今年のお盆休みには、実家に帰るかもしれないと予定していたけれど、どうにもぽっかりと予定が空いた。法事がなくても帰省すればいいじゃない、と思われるかもしれない。

けれど、「八月は暑いから、帰ってこないほうがいい」というのが、わたしが一人暮らしを始めた18歳のころから我が家の暗黙のルールになっている。暑さが本格的になる前の7月か、8月よりはちょっとは涼しいであろう9月に、帰ってくるなら帰って来なさいと言われていた。

もっとも7月に帰るときには「今年一番の暑さを観測しました」と気象情報で伝えられ、9月は「残暑が厳しく、真夏日の連日記録を更新しました」と気象情報で伝えられるのだけれど。

はてさて。今年のお盆休みはどうしようか。わたしが務めている職場は、夏休みがあったり、なかったりしている。仕事が忙しければ「夏休みを取っていられない」という感じで、「いつからいつまでがお休みです」という決まりがない。

今年は「お盆に帰省するでしょ? 休んでね」と社長が気を利かせてくれていたのだけれど、「いや、実は帰りません」というとびっくりしていた。

もしかしたら仕事するかもしれないけれど、お休みの間に行きたいところがあった。

それは「乳がん検診」である。

まとまったお休みの日には、だいたい病院もお休みしている。けれど、わたしが何年かに一度利用している、人間ドックを専門に扱っている病院がある。そこはお盆でもお休みではなく診察(人間ドック)を行なっていた。

ネットで調べたところ、ちょうどあと1枠だけ「婦人科検診プラン」の予約が空いていたので、申し込みをした。乳がんの超音波とマンモグラフィ検査と、子宮頸がん等細胞の検査。骨密度の検査もある。

前回、一年前に受診をしたときには、「所見異常なし」で何も問題は見つからなかった。

しかし、少しずつ体は変わっていくし、検査できるタイミングがあるのだから、検査を受けるにはうってつけの機会だろう。

少し前に、横尾忠則さんがツイッターでこんなこと書いていらっしゃった。

わたしも、少し前から同じように考えている。病院の嫌なところは「待ち時間が長い」だけれど、それ以外の検査などは嫌いじゃない。

自分の身体のことは、感覚的にはわかるけれど、のぞいてみることもできないし、どうなっているのかわからない。だから、検査を受けて、数字や結果を自分の身体のことながら、客観的にみることができるっていうのは、結構おもしろいなと思っている。

今わたし自身が大きな病気を抱えていないから、そんな風に言えるんだと思われるかもしれないし、わたし自身状況が変われば、確かにどんな風に捉えることができるかはわからない。考え方は年齢によっても変わっていくだろうし。

ただ、検査をしないでやみくもに怖がるのも違うなと思う。検査にお金がかかるけれど、自分の身体と向き合える時間がとれるのはありがたい。亡くなった父が、お盆に帰ってこないおかげ、ということにしておこう。

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