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君がいなきゃ、こまる。

スピッツの名曲、スターゲイザーの歌詞をときおり心に浮かべる。

明日君がいなきゃ困る。

ぷすーと鼻息を立てながら、あおむけに眠っている彼の姿を愛おしくながめる。それと同時に、彼はあとどのくらい、元気でいてくれるのだろうか? という不安が胸のなかをぱたぱた駆けめぐる。

できることなら、いつまでもずっと一緒にいたい。長生きすると、しっぽが二股にわかれて、「猫又」っていう妖怪になるんだって。妖怪でもいいよ、一緒に暮らしてくれるのなら。

ああ、でも猫又になったら、今度わたしが死んでしまったら、きみが困ってしまうのかなあ。うーん、それもちょっと、困る。きみにはできるかぎり悲しんでほしくない。

一緒に暮らしているネコは、2011年の夏に生まれているので今年で8歳になった。8歳なんてまだまだ元気でしょ、20歳くらいまで暮らしているネコだっているし、と思われるかもしれない。けれども、8歳からでも、高齢猫の部類に入る。食欲は旺盛だけれど、以前よりもたくさん眠っている。

最近、ネコが求めることを優先して、できる限りネコのストレスを減らしてあげようと思うようになった。以前から「ネコのお世話をさせていただいている」という、下僕的な立場だったけれど、もうそれ以上だ。ネコ神様くらいの感覚だ。

夜中に何度も起こされる。にゃーにゃーと騒ぎ立て、わたしの髪を引っ張ったり、ぶらさがっているハンガーをかちゃかちゃと音を立てたり。ふとんの中に潜り込んできて、ふくらはぎにかみついたりする。

以前ならふとんを頭までがばっとかぶってネコがあきらめるまで耐えていた。いくら日付けが変わる前の11時に眠りについても夜中の2時と明け方の5時に起こされつづけるのは寝不足になる。つらい。

しかし、半年前くらいに考えを改めた。

ネコが夜中に起こしにくるには理由がある。ネコ草を食べたいとか、トイレしたよーとか。

ひとりでネコ草を食べるのがヘタなので、一本ずつちぎってあたえるようにした。それからというもの、ネコは「ネコ草を食べたいときには、一本ずつもらう」と決めているらしい。

深夜にネコ草を食べたがるときは、その後に毛玉を吐き出していることが多い。きっと胃の中に毛玉が詰まっていて気持ち悪いというのをわたしに訴えているにちがいない。

そう思うと、ネコの訴えを知らんぷりしてやり過ごすのは、ちょっと違うのかもしれないと思うようになった。ネコの体調を管理するのは、わたしの仕事だ。訴えに来てくれているんだから、きちんと向き合わないと。

そうして、わたしは深夜に何度も起こされても、そのたびに起き上って、ネコに草をちぎってあげたり、お腹がすいたというときには、ほんの少し、お皿にカリカリをいれてあげる。

草をあげたり、カリカリをちょっと食べると、ネコは満足してまた静かに機嫌よく過ごしている。その様子を見とどけて、わたしもホッとしながらまた寝床に着く。二度寝できないこともあるし、眠ってもまたすぐにネコがはしゃぎだして眠れないこともある。

でも、それでいい。
どんどん、わがままを言ってほしい。
どんどん、甘えてきてほしい。
できるかぎり健康で、ずっとずっとそばに居てほしい。






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