ブレーメンの調べに寄せて
※この記事は5/20にはてなブログに投稿した内容を,note用に加筆したものです.
緊急事態宣言が発令されてから,
数々のライブやイベントが延期・中止になった.
そして宣言が解除された現在でもその状況は続いている.(6/24現在)
そんな中で,アーティストが過去のライブ映像やMVをYouTubeに公開する
動きが,国内外問わずに広がっている.
そして,自分が敬愛するバンドの一つであるくるりが,
あるライブ映像を公開した.
5分とちょっとの時間で,間違いなく幸せなその光景に,
思わず喜びの涙を流してしまった.
辛い時に聴く優しい音楽は,ここまで心に染み入るものなのだ.
あまりにも深く感動してしまったので,
この曲から得たイメージを絵に描いてみることにした.
描いたのは,
落雷で壊れた小屋から人々が帰りだし,
その跡地に誰にも気づかれないで奇跡のバラが咲いている.
小屋の跡からオルゴールを持ち帰った人が,
蓋を開いてそのメロディを聴き始め,
少年の故郷の歌が広がっていく.
渡り鳥は青い空をまっすぐに飛んで行き,
夕暮れの街には雨を降らせる暗い雲が近づいている.
という情景である.
今回はこの絵を描くにあたって行った,
時間経過の表現に関する実験の結果と考察について書こうと思う.
1.ブレーメンという楽曲
西欧の雰囲気を湛えるこの曲は,
とある少年のことを優しい旋律に乗せて伝えている.
叙事詩のように展開していくこの曲の魅力は,
この歌詞の一部分を切り出すだけでは十分に表せないと思った.
そこで,時間経過を1つの画面に閉じ込める方法について検討した.
2.時間経過の表現方法について
時間経過の表現として思いついたのは,以下の二つである.
イメージ上:1.の表現イメージ 下:2.の表現イメージ
絵巻物のように左右どちらかに向かって時系列が進む表現
手前,奥行きに向かって時間が連続する方法
1 は画面が横長になってしまい,一目で全体を見渡すことができない.
なので,
1 と 2を組み合わせて奥行きに向かって時間が進むように画面を構成してみることにした.
1+2の表現イメージ
この絵では,曲のストーリーを表現しながら,
・画面奥行きへの時間経過
・光源の当たり方が違うもので構成される画面
について実験している.
3.行った結果
この絵では2番以降の内容について,
青い空 → 夕暮れに向けて進む時間を空のグラデーションと
3種類の光の当たり方で表現した.
イメージ:光の当たり方について
①昼間 太陽が南中し,影が一番小さくなる時間帯
②日の入り始め 日当たりは入射角45°くらい?
空の色が変わり始める時間帯
③日暮れ 赤く空が染まる時間帯
歌詞の中で出てくる”渡り鳥”は,
欧州に生息圏があるヨーロッパアマツバメを参考にした.
4.考察と所感
連続して変化していく空を描きながら,やはり空は"平面"ではなく"空間"なのだと
認識することができた.
晴れ日の青空を観察して,違いを探すのも面白いかもしれない.
また,
・行ったことのない欧州の空はやはり写真だけでは掴みきれなかったこと
・空の変化に対して光の当たり方が離散的になってしまったこと
の2つが今回の心残りである.
落ち着いたらヨーロッパの空を観に行ってみたい.
頭の中のイメージをそのまんま表に出すにはどれくらい時間と修行と研究が必要なのだろう.
果てしないからこそ,追い求めるのが楽しいのである.
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