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アスリートのためのセルフコントロールトレーニング byうさみ

Madoyaca代表の宇佐美円香です。

私はスポーツメンタルトレーニングを事業の1つにしており、ソフトテニス競技を中心に全国の小学生から大人まで指導させていただいています。
また社会人大学院生として、スポーツメンタルトレーニングの専門家になるためにスポーツ心理学を研究中でもあります。

こちらの記事は前回の記事に引き続き、

こちらの図の中にもある「リラクセーション技法」の一部について

極力簡単に説明していきます。


リラクセーション技法は実際はたくさんあるのですが、今回の記事ではリラクセーション技法の中でもセルフコントロールの技法である自律訓練法について簡単に説明していきます。

自律訓練法とは

自律訓練法はAutogenic Trainingとも呼ばれ、ドイツの精神医学者であるシュルツ博士によって開発されました。
自己暗示を使った、身体の弛緩による心身の調整技法です。
スポーツに特化したものではなく、スポーツメンタルトレーニングで取り入れることもできる技法、というような技法です。

自律訓練法は下記の7つの段階からなる標準練習が基本です。

  1. 背景公式(安静練習)「気持ちがとても落ち着いている」

  2. 第一公式(重感練習)「両腕両足が重たい」

  3. 第二公式(温感練習)「両腕両足が温かい」

  4. 第三公式(心臓調整)「心臓が静かに規則正しく打っている」

  5. 第四公式(呼吸調整)「呼吸が楽だ」

  6. 第五公式(腹部温感練習)「お腹が温かい」

  7. 第六公式(額涼感練習)「額が涼しい」

自律訓練法は、身体の緩んだ感じから心も緩ませる手法で、スポーツメンタルトレーニングでも盛んに取り入れられています。
自分の心理状態に気づくことができるだけでなく、身体感覚のイメージ能力を高める効果もあります。
さらに、イメージトレーニング(別記事で紹介予定)の準備として自立訓練法を使うのもいいとされています。

自律訓練法では、上記の公式を原則として、自分の頭の中で言葉を唱え(自己暗示)て練習していきますが、初めのうちは上手くいかないこともお多いので他人に唱えてもらう他者暗示でトレーニングすることもあります。
最終的には自分で自己暗示ができ、リラックスできるようになるのが目的になります。

注意したい点として、自律訓練法は、ストレス対処としてのトレーニングとして効果を発揮しますが、試合の当日に行うと筋がゆるみすぎてしまい、試合に臨むのに適していない心身の状態になってしまうことも考えられます。
試合前に緊張をほぐすための技法はまた別にある(別記事で紹介予定)ので、試合での使い方は注意が必要です。

自律訓練法の準備

自律訓練法のトレーニングについて、ここでは第一公式と第二公式に限定して紹介します。
スポーツメンタルトレーニングでは第二公式まで指導されていることが多く、それで十分なリラクセーション効果が得られていることが報告されています。

服装

リラックスできる服装(Tシャツ、スウェットなど)をします。
寒気を感じやすくなるので、体温調節できるような服装(もしくは身体にかけるタオルなどを用意)をしておくことが望ましいです。
メガネ、貴金属類、腕時計などの身につけているものを外し、ウエストも緩めます(ベルトは外す)。極力締め付けられる感じを身体から取り除きます。

姿勢

姿勢は仰向けに寝る(枕を用意する)か、椅子に座って背もたれには寄りかからず、背筋は伸ばしたまま脱力し、目を閉じて訓練を始めます。

回数と時間

自律訓練法を効率的に習得するための練習回数は、1日に2〜3回、1回につき15〜20分くらいと言われていますが、一度に長い時間を行うよりも毎日少しでもいいので継続することの方が大切です。
最初のうちは寝る前に一度だけでもいいので継続するといいと思います。

公式を唱える時の態度

自律訓練法で唱える暗示語に対して、暗示通りに感じることができなくても無理にその暗示に従おうとする必要はありません。感じられなければ仕方ないというくらいの気持ちで、雑念を払って暗示に集中します。

自律訓練法の手順

背景公式(安静練習)

自立訓練に入るための準備の公式です。
「気持ちが落ち着いている」という暗示をします。
ここからは暗示に集中し、感じるがままに身を任せていきます。

第一公式(重感練習)

自立訓練の第一の公式です。
右腕→左腕→右脚→左脚の順に四肢が「重たい」という公式を使います。
自律訓練は全身を緩め、心身ともにリラックスした状態を作り上げようとするものであり、四肢の「重たい」という感じ=筋肉の緩んだ状態を表した暗示です。

第二公式(温感練習)

第二公式は温感です。重感と同じ順序で、四肢が「温かい」という公式を使います。四肢への血流がよくなり、筋が緩んだ状態を表した暗示です。

消去動作

とても重要なのが消去動作です。
自律訓練法の終了後に、顔を軽く擦ったり、手足を軽く動かしたり、全身のストレッチを行ったりするのが消去動作です。
自律訓練法は催眠法を基本として自己暗示の公式が作られており、訓練後は少し頭がぼーっとするような状態になります。
そのため、訓練後にすぐ起き上がったり、活動を開始すると、めまいや頭痛・吐き気などを引き起こすこともあるので、ゆっくりと覚醒状態に戻すために消去動作を行うことが大切です。
寝る前に自律訓練法を行なってそのまま寝てしまった場合も、朝起きた時に軽くストレッチなどをするといいです。

自律訓練法は、専門家の指導を受けながらトレーニングすることが望ましいですが、ここに書いたのは基本的なことなので、詳しくは専門書等を参考にしていただくといいと思います。以下の記事も詳しいです。

次回は心理技法の「イメージトレーニング」についての記事を書きます!お楽しみに!


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