見出し画像

カナダアイスホッケー・ジュニア2部まとめ

おはようございます👋

日曜日の朝に投稿したかったのですが一週間あまりに忙しくて。。。遅れてしまい申し訳ありません🙇🏻‍♂️

先週はカナダの大学生活を披露しましたが、今週は僕自身3年間お世話になったカナダのジュニア2部について。2部全体の構成から始め、生活の内容やあまり知られていない(と思う)事情について書いていきます!

そもそもジュニアとはなんぞやという方は以前投稿した記事を参考にしてみてください🙌↓


カナダジュニア二部組織・CJHLとは?

Canadian Junior Hockey League(CJHL)とはカナダ全土に広がっている二部リーグをまとめた組織のことを指します。一部でいうCHL的な存在。アメリカのジュニア二部はNAHLやNCDCにあたります。
CJHLは西から東まで合計10個のリーグで構成されており、チーム数は合計なんと130前後。リーグによってだいぶレベルの差は出てきますがそれにしてもすごいですよね。

ちなみに今日ちょうど全国大会の決勝戦が行われているんです。そこに至るには各チーム所属しているリーグを制し、さらに地域別のトーナメントを勝たないと全国大会にすらす進めないのでかなり酷な道のり。僕のジュニア一年目の前の年に全国大会を見にいきましたが、そこには現在NHLのColorado Avalancheに所属していて、今年Top Defenceman賞を受賞するかもしれないCale Makarがいたりすごいレベルでした。。。当時も圧倒的なパフォーマンスでした。そしてなんと去年のルームメイトの一人はそのチームでプレーしていて、ケールは見たことないくらいうまかったと語っていました。さすが世界のトップのトップは凄いですね。

以前も書きましたが、カナダジュニア一部だと金をもらってアマチュアリズムに反してしまうのでNCAAを目指す選手は二部でプレーします。あとは単純に一部に受からなかった選手や、一部から落とされてくる選手など。そんな二部リーグですが、僕自身の経験から契約に至るまでや契約選手としての事情を書いていこうと思います!↓

契約に至るまで。

初めて契約を交わし時の写真。当時17歳の自分とチームのGMアダムさん

リーグによっては二部のドラフトもありますが、基本的には選手はCJHL内のどのチームとも契約できるようになっています。高校にいる間は契約する際に転校する選手も多く、チームがある街の高校に通いながらホッケーをするような形。高校卒業している選手はホッケーのみの自由人。
僕も親戚に学校に通わずホッケーだけしていると説明すると変な顔されていました笑

契約に至るまでは基本的にトライアウト形式。僕は当時代表してもらっていたアドバイザー(エージェント的な)にトライアウトをとってもらい、そこで契約することに。トライアウトには150−200人ほどくるのでかなり酷ですが、どのチームのトライアウトに参加してもいいのであらかじめ契約できそうなチームのところに行く選手が多いです。カットされた場合は三部のチームに送られることも。僕は留学生ということもあり、家から運転できる範囲内のチームとしか契約ができなかったのでオプションは三つでした。その中から選んだのがOntario Junior Hockey League (OJHL)所属のCobourg Cougarsというチーム。小さい街でしたが綺麗な施設でとてもプレーしやすい環境でした。

Cobourg Cougarsのロッカー
[Photo: Durham Radio News]


Cobourg Cougars ホームリンク
[Photo: Town of Cobourg]


契約した後はチームが権利を握り、移籍か契約抹消をしないとそのチームからは離れられないシステム。契約の更新もないので、契約抹消されない限りどのチームとも交渉できるのはトライアウトのタイミングのみ。海外挑戦を考えている方はよーく考えてから契約することをお勧めします!

契約後。


契約を結べた場合は8月に始まるトレーニングキャンプ(合宿的な)にて合流し、九月に始まるシーズンに向けて準備をしていきます。
リーグによりますが、1シーズン50−60試合あるので週3試合ほど。三月いっぱいでレギュラーシーズンが終わりますが、シーズン終了後はかなり疲れていて数週間は何もしたくないほど。

そしてあまり知られていないのが契約後の選手としての扱われ方。簡単にいうとコマのようです。一つ驚いたことが、いかにジュニア二部がビジネスであり選手一人一人がチームの資産的なもののようなこと。パフォーマンスが落ちた場合は試合に出れなくなったり他のチームに飛ばされたり。一部から選手が降りてくるとすぐにアイスタイムが減ったり。ジュニアに入って初めて「試合に出れないこと」を経験しました。ベンチに座っていて試合中名前を呼ばれることはほんの数回。あの信頼されていない感じはなんとも説明が難しいですが、それでホッケーを辞める選手も多く見てきました。試合に出れないことで困っているアスリートの方も多いと思いますが、そんなときの対応の仕方なんかも僕自身の経験からいつか書いてみようと思っています。

チームのコマなのはコーチも同じく。コーチによっては二部の監督で年収一千万円以上の人も多いみたいです。僕の一年目はコーチとなかなか相性が合わず、試合にも全然出れていませんでした。チームもあまり調子が上がらず、結局シーズン開始二ヶ月ほどで監督がクビに。その時期は新しい監督の噂が飛び交っていたのを覚えています。新監督が就任した際、彼の気に入らない選手は続々移籍を告げられ、最初の一ヶ月ほどは選手の行き来がかなり激しかったです。ホッケーのプレースタイルやシステムも一変し、新監督との最初の練習で新しいシステムを丸覚えしないといけかったり。結局その監督とはいい関係が築けましたが、シーズン終了後には人生初の移籍を経験することになりました。

ジュニアの移籍事情。


日本だとプロでもない限り耳にすることのない移籍という言葉。カナダのジュニア二部ではCJHL内ならどのチームともつながっているので、東端のリーグから西端のリーグに飛ばされることも可能。高校に通っている選手は転校の事情などで移籍を拒否することも可能ですが、基本的には言われるまま。二部だとシーズン全体終了後の6月から一月十日の夜まではいつでも移籍を告げられることが可能となっています。この一月十日がいわゆるTrade Deadlineという日で、ここに至る数週間はかなり緊張感が高ぶります。Deadlineまでにトレードされなければ少なくとも残りのシーズンは所属チームとプレーできるので十日を過ぎるとみんな少し落ちつきます。そんなわけでチームの集合写真もDeadline後。

Deadline直前はチーム内でのイタズラも多く、練習にくる選手に「コーチが呼んでたぞ」とか防具をあらかじめまとめておいて移籍を思わせるようなおふざけがあったり。とてもユニークな期間です。

僕の場合最初の移籍は夏の中旬でした。何も知らず普通に1日を送っていたらいきなりチームのGMから電話がかかってきて、同じリーグのWellington Dukesに権利をトレードしたと。予期していなくて突然のニュースでしたが、せめて夏の間だったので準備期間も豊富でスムーズな環境の変化でした。Wellingtonの施設紹介のビデオがYoutubeに載っているので興味がある方は下記リンクからチェックしてみてください!↓

合宿から合流し、シーズンを迎えましたがこの時の監督がなんと一年目にCobourgで上手くいかなかった人。一年間二部でしっかりプレーし、扱われ方も少し変わるかと思いきや一年目と同じく1試合のアイスタイムは五分ほど。当時住んでいたBellevilleから近く、地元チームということもあり移籍を願い出ることも難しく先が見えない毎日でした。移籍をお願いすることは所属チームでプレーしたくないということなので、上手く行くこともありますがそのチームとは基本関係を切ることになります。チームによっては移籍を要求した選手を遥かかなた北の弱小チームに飛ばしたり。そんなリスクも存在するのでただただ時間がすぎるように感じた毎日。そんな中僕の人生を大きく変えることになったのが2019年の一月九日。Deadline前日の出来事でした。

当時高校を卒業していてワーキングホリデーのビザを使ってバイトとホッケーを重ねていた毎日。9:00〜13:00バイト→15:00〜練習といった感じでした。そんな真冬の寒い日に何も思わず練習に行った一月九日。Deadline前日ということもあり、移籍を告げられた選手もぼちぼち。その日を限りに一生会わないことがほとんどなので、移籍が決まった選手との別れは慣れませんでした。僕自身移籍はかなりしたかったのでなんとか奇跡が起きてチームが独断で僕の権利を飛ばしてくれないかと願っていましたが、Wellingtonに残ってシーズンを終える覚悟はできていました。僕は練習に早めに出て個人練習をしていたので、いつも通りチームメイト数人とスキル練習をしていたら途端にアシスタントコーチが

「マドカGM(General Manager)が話したいからコーチのオフィスに来てくれ」

来た。トレードであってくれ。そして頼むから変なところに飛ばさないでくれ。そんな気持ちで観客席の下のトンネルを歩いてオフィスへ。防具を着たまま着席するとそこにはコーチ陣とGMがずらり。

「不本意だがCCHLのKemptvilleと交渉が成立したから今そのチームのGMに電話してくれ。明日練習に合流してほしいとのことだ。今までありがとう」

頭が真っ白に。そもそもKemptvilletってどこ?
当然嬉しい気持ちが強かったが、移籍を告げられる
ということは僕よりも取ってくる選手の方が価値が高いと思われているということ。しかもこのトレードは僕の権利と金をWelingtonが送り、残り僅か二ヶ月しかない最年長の選手をKemptvilleから受け取るという僕がかなり下に見られている内容。悔しい気持ちもありました。

しかし願っていたトレードがまさか実現。しかもCCHLというカナダでも上位に見られているいいリーグ。OJHLと同格か少し上くらい。KemptvilleはBellevilleから2時間半ほどのところだったので移動も割と楽。ミーティング直後に防具を脱ぎ、KemptvilleのGMと電話。当時のチームメイトらは練習があったので、彼らとの別れを告げるまでは色々と物の整理を。バイトをその場で辞め、親と電話し、新しく住むことになったホストファミリーと打ち合わせするなど。練習が終わりみんなと最後の別れを告げ、防具バッグやチームの防具も一部回収されたのでゴミ袋に全て詰め込んで家に帰ったのを覚えています。

そして翌日。車に荷物を詰め込み昼頃に移動。夕方四時の練習で合流し、その場でチームと初練習。ホストファミリーとも会い、少し落ち着いたかと思うと翌日は初試合。なんとも騒々しい三日間でした。大変なことも多かったですが、とにかくこのチームで活躍して今までのようにベンチや客席から試合を見ることはもう絶対しないという気持ちでいっぱいでした。結局このチームとは相性がバッチリで、あの移籍がなかったら今の僕はどうなっているか想像もつきません。Carleton大学でホッケーしていることはまずないでしょう。人口4000人の村のようなKemptvilleですが、一生忘れない場所となりました。

Kemptville 73's ホームリンク。客席は片面の古い施設でしたがいまだに大好きなリンク。


ジュニアの生活内容。

気になっている方もいるかと思う日頃の生活内容。基本高校でているジュニア選手はバイトしない限りめちゃくちゃ暇です笑

リンクのジムを使ったり個人で氷に乗ることは可能ですが、参加しないといけないのは午後四時の練習とチームでの陸トレのみ。必然とチームメイトと過ごす時間が多くなるので、当時仲がよかった選手とはいまだにつながっています。僕はビデオゲームはしませんでしたが、夜中中ずっとゲームをしている選手は多かったです。大体正午くらいまでは誰とも連絡つきませんでした笑

僕は試合のビデオを見たり大学にメールを書いたりして時間を潰していましたが、あんな生活はもう一生ないと思います笑

ホストファミリーも僕を息子のように扱ってくれたので今でも遊びに行ったりご飯食べに行ったり。ご飯は夜ご飯だけ作ってくれて、朝と昼は自炊。食料は買ってきてくれます。子供も二人いたのでまるでカナダの兄弟のようでした。家はKemptvilleからさらに少し外れたところにあったので田舎中の田舎。何平方キロメートルといった広大な土地には馬や牛がいたり。街灯もないので夜は真っ暗。そこで初めてクッキリ天の川を目にしました。今となってはこれも忘れられない経験です。

当時住んでいた家。マジで田舎

ジュニア二部は地元の町ちともよく繋がっていて、ボランティアやファンがいないと成り立たないようになっています。そんなわけで選手は地元の小学校に本を読みに行ったりチャリティーイベントに出席して手伝いをするなど地域貢献も大きなテーマの一つでした。僕なんかは町唯一のアジア人、どころか数少ない白人以外の人種でなおさらホッケーをしていたので行くところ行くところ声をかけられました笑

Cobourg時代地域のボランティア団体と協力して家の建築を手伝った時の写真

このような毎日を送るジュニア二部生活。17歳の時ルーキーとして入団した時は21歳の最年長選手らがまるでおじさんのように思えましたが、あっという間に過ぎていった3年間。最後の年はコロナや大学からのオファーなどがあり一年早くジュニアを卒業しましたが、最後の年にプレーできなかったのは今でも「もし最後Kemptvilleでプレーしていたら」なんて思うこともあります。


おわりに。

カナダジュニア2部の話しいかがでしたか?

正直いまだにあの生活を懐かしく思うこともあります。入学も遅れますが、あの経験ができたことは一生物だと確信しています。

ここには書ききれないことも多く、疑問に思う点も出てくると思うのでわからないことや気になることがある方は気軽にSNSにてDMしてください🙌

さて、世界選手権が終わりおよそ一ヶ月が経ちます。少し落ち着いたので来週は僕の一年の振り返りを書いてみようかと。転校のことや怪我のこと、そして世界選手権に至るまでなど多くのこと経験した2021−2022シーズン。気になる方はまた来週読んでみてください☺️

長い記事になりましたが今週も読んでいただきありがとうございました。それではみなさん良い一週間を〜👋

SNS

Instagram / Twitter: @madokasuzuki_
フォローよろしくお願いします!🙋



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?