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イカついオージー男子からもらった胸アツの折り鶴

娘の高校留学を機に、メルボルンに移住して434日となりました。昨年9月からはじめたボランティア活動で、私、胸がとても熱くなるできごとがありました。


OP SHOPで働くみんなは、いつもやさしい

地元の方と仲良くなりたい、英語が話せるようになりたいという目的で、週2でボランティア活動をしています。OP SHOP(Opportunity Shop)というセカンドハンドのお店で、必要となくなった服や雑貨、食器、家具、CD、本などを無償で個人から引き取り、それを販売しています。得られた利益は寄付されるという循環社会型の組織です。

早いもので9ヶ月が経ち、私はすっかりスタッフの一員になっています。いつも決まった曜日、時間で働いていることもあり、常連さんとも顔なじみ。お客さんはみなさんフレンドリーでよく声をかけてくれます。私が日本人だとわかると、“先月、京都に行ってきたよ”、“ニセコの雪は最高だよね”など、自分が知っている限りのことをあれこれと話す人がとても多いです。そんなやりとりを気軽にできる環境に、私は居心地がいいんです。

店内にはホントにいろんなものが売っています。先日、着なくなった服を寄付したら、売れました。嬉しかったなあ。

1枚のA4コピー紙で作ってくれたORIGAMI

先週、私はいつも通りOP SHOPに行くと、いつもいるはずのAmandaがいません。彼女は長年このお店で働いているスタッフのひとりで、私にいつもやさしく、英語も教えてくれる女性。どうやら今日はお休みなようで、代わりに男性スタッフが入っていました。

“で、でかい……”

私の前にむくっと現れた大柄の男性。年齢は30代前半でしょうか、身長190㎝、体重は90㎏ありそう。しかも冬に近づいているメルボルンなのに、半袖&ハーフパンツという、いかにもオージースタイル。

“おはようー、今日はAmandaの代わりに来たんだ。よろしく”

そう言って、彼はにっこり笑顔で挨拶してくれました。

“よっ、よろしく。私はMADOKA。はじめまして。昨年、日本から来たんだよ”

“そうか、そうか。オレ、日本が大好きなんだよなー”
この流れでいくと、ニセコや白馬でのスキー、京都や大阪の観光かと思いましたが、Jeffは意外なことを話し始めたのです。

“MADOKAは、ORIGAMIって知ってる?”

“もちろん知ってるよ。紙を使っていろいろ作るやつだよね”

“そうそう。オレ、ORIGAMIが得意なんだよね”
そう言うと、目の前にあるA4の紙をとり、ハサミを使わず器用に指で正方形にしてORIGAMIを1枚用意しました。

“学生の頃(聞き取れなくて……。小学校か中学校だと思います)、日本語を教えてくれる日本人の先生から教えてもらったんだ。広島の原爆で亡くなった子どものために、千羽鶴を折って公園に飾るんだよな。その話は今もしっかり覚えているよ、すごく感動したんだ。ほら、オレ、折り鶴だって折れるんだぜ”

Jeffは大きな手で美しい折り鶴を1羽折り、私にプレゼントしてくれました。

3分もかからずにJeffは作ってくれました。


“ありがとう、Jeff。その広島にある公園、今年の1月にはじめて家族で行ったんだよ。その女の子の名前はSADAKOさんって言うの。Jeffは広島に行ったことある?”


“まだ日本に行ったことがないんだ。いつかHIROSHIMAに行きたい。そして、千羽鶴も見たいし、その公園にも行ってみたいよ”

Jeffのために、やっこさんでも折ろうかな

ぱっと見、かなりイカつくて、強面のJeff。でも、話をしてみるととても人懐っこくて、くしゃくしゃになる笑顔が可愛くて、何より、日本のことを、HIROSHIMAのことをよく知っていました。ちなみに、彼は鶴以外にも、恐竜が折れるそうです。

私が仕事終わりに、彼に挨拶すると、
“今日はMADOKAと一緒に働けて楽しかったよ。今度は、オレにORIGAMI教えてくれよ”とにっこり笑っていました。

ここだけの話、じつは折り紙がそれほど得意ではありません。折り鶴、やっこさん、箱、それとピアノの4つしか作れません。大丈夫かな、Jeffが作る恐竜のほうがきっと上手かも。まぁ、上手下手は関係ありませんね、次は彼のために心を込めて折ることにします。

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