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イノシシの革鞣し その①塩漬けにする

循環型山間村システムを作ろうとしている、まどか折橋では、自分たちの生活に必要なものは、自分たちの手で作り出す、という方針を持っています。

ですので、まずは自分たちの生活に必要なものってなんだろう?と考え、じゃあ、その必要なものはどうやって作るんだろう?と探究していくことになります。

私たちの暮らしには、小物や衣服が必要ですが、動物の革から作り出されているものが数多くあります。

カバン・お財布・手袋・靴・コートなどなど…

今は、猟友会に所属する猟師さんの狩りの時期です。
知り合いの猟師さんにお願いして、イノシシの皮をいただくことができました。

鞣しには様々な方法がありますが、なるべく天然の素材を利用して鞣します。
欲を言えば、この素材から作り出せるとなお良いのでしょうが…徐々に挑戦してみたいですね。

ちょっと話が逸れてしまいますが、こうして自らの手で作り出そうとする時、身近な素材を利用していくのですが、どうしても身近なものから作り出せないものも出てきます。

例えば、鞣しの第一段階で、塩漬けにするのですが、この「塩」。
ここは中山間地域ですので、海水を手に入れることが難しい環境です。
なるほど、この地域の昔から残る街道には「塩の道」と名前が付けられています(日本の至る所に「塩の道」は存在し、昔、塩や海産物を内陸に運搬するため利用されていたそうです)

どうしても、自分たちの手で作り出すことが難し場合は、物々交換や、お金などによる価値交換がお互いとてもメリットがあります。

さて、自分以外のどなたかが作ってくれるとして、海水から、塩を手作りするにしても、昔ながらの製法で作り出すには、時間と労力がかかります。
そして、運ぶことを考えると…お塩はとても貴重なものになりますね。

今回、天然の素材を利用するとは言っても、実は、あまり理に適っていない方法で鞣していることになります。

おそらく、この環境で適している鞣し方は植物タンニン鞣しでしょう。

今年の暖かい時期、この植物タンニン鞣しの鞣し液の準備を行い、狩猟時期に皮を処理して漬け込むという方法が適していそうです。

さて…今回は、実験も踏まえて、塩・ミョウバン・重曹で処理していきます。

鞣しの工程はざっくりと…
・汚れを洗って落とす
・皮の余分な皮下脂肪などを除去する
・3日間ほど塩漬けにし、脱水する(残っている皮下脂肪などを除去する)
・塩分を落として、鞣し液(ミョウバン・重曹を水に溶かして漬ける)に10日ほど漬け込む
・鞣し液を洗い落とす
・乾かす
こんなことを行っていきます。

今回は、塩漬けにするところまで行います。

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まず、汚れを落とします。
イノシシには、汚れもそうですが、ダニなどの虫も多く付着しているので、洗って落とします。
今回、中性洗剤を使ってしまったのですが、洗い始めてから、炭酸ソーダを使えばよかった、と思い付きました。
次回は炭酸ソーダで試してみたいと思います。

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水で洗剤を流します。

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毛穴が見えるところまで、皮下脂肪を削り落としていきます。
これが一番大変な作業です。

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皮下脂肪を除去しました。
細かいところは、塩漬け後にもう一度除去します。
皮に、イノシシを解体する際の傷がありますが、問題ありません。

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塩を刷り込んでいきます。

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たくさんの塩を使います。
今は簡単に使ってしまいますが…考えを巡らすと、贅沢な行為です。

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ビニール袋に入れて、3日間ほど漬け込みます。

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皮をいただく時、猪肉も一緒にいただきました。
一番良い部位セロースとのこと…熟練の猟師さんが処理されているからなのでしょうね、全く臭みもなく、下処理をして、シンプルに焼肉にしていただきましたがとっても美味しかったです。

今回いただいたイノシシが育つ過程、猟師さんが仕留めて解体する過程、加工に使う素材を生み出す過程…などなど考えていくと、お金を出して簡単に物が手に入る、ということがなんだかとても不思議な気がしてきてしまいます。

大切な命をいただいたのですから、骨の髄(!)まで活用できるようにしていきたいと思います。

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