【ヒストリック】ジャンドフードの考察

 本記事はもともと9月時点のジャンドフードについての知識のある読者を対象にその時点のリストのアップデート部分の理由を述べたものでした。それに後から基礎的なガイドを追記したものですので、適宜読む順番を変えたり飛ばしていただけると幸いです。
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0. はじめに

 SCG Kaldheim Championship Qualifierとその予選であるSCG Tour Online - Satellite #1、Arena Openで使用したジャンドについてどのように環境を認識し、デッキ選択と調整を行ったかについてまとめる。

SCG Kaldheim Championship Qualifierで使用したリスト

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 SCGでは11/20のSatelliteで6-0、11/23のKaldheim Championship Qualifierで7-2 (うち2bye)。

Arena Openで使用した思考囲いを抜いて忘れられた神々の僧侶を採用したリスト

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 Arena Open Day2では6-2。

 いずれもあと一回勝てていれば…という悔しさを感じるものの、よい戦績を収められたと感じている。
 私が現環境で出る予定であったヒストリックのイベントは全て終了したため、思考の整理を兼ねて考察したことをまとめる。

1. デッキ選択

 そもそもなぜジャンドか。最大の理由はメインが強いデッキであるため。11/23のSCGで使用した時点ではヒストリックの大きなイベントが暫く開かれなかった後であったため、多くのデッキタイプが乱立すると予想された。また12/13のArena Open直前にメタゲームが収束しきっていたかというとそんなことは全くなかった。


 Arena Open直前のSCG Satelliteのメタゲームを見ると、使用率最大のデッキは毎回入れ替わっており、使用率が上位に偏っているというほどでもない。様々なアーキタイプの乱立する環境が続いている。

 サイド後が本番と言われるようなコントロールはサイドの強力なメタカードにより長期戦に持ち込みアドバンテージを得るものであるため、環境に存在するデッキが多いほどサイド枠が圧迫され不利になると考えている。また、ヒストリックはカードプールの広さに対し、環境研究が進んでおらず、未知のアーキタイプに当たる可能性が高いため、後出しで動くデッキよりも自分から先に動いて強い動きを押し付けていくデッキを選ぶ方が低リスクであるとも考えている。

 ジャンドはメインに《魔女のかまど》、《大釜の使い魔》、《金のガチョウ》、《パンくずの道標》、《波乱の悪魔》に加え《コルヴォルド》と《ボーラスの城塞》を合わせて3~4枚と、サクリファイスギミックに関与する確定枠が多くの枠を占めており、メインが強いデッキである。また、低マナ域が濃く、能動的に動くデッキでもあるため、欲しかった条件二つを満たしている。

 では、ジャンドが現環境で強いか。9月のZENDIKAR RISING QUALIFIER WEEKENDではday2突破者21人中、ジャンドの使用者は11人でありこの時点では勝ち組であったと見て間違いない。そこから現在に至るまでにヒストリックで使用可能になったセットはゼンディカーの夜明けとカラデシュリマスターだ。このセット追加でジャンドを使うにあたり考慮が必要なカードは二枚。これらはジャンドに向かい風であるものの、ジャンドのメタゲーム上の優位は長期的に見れば揺らいでいないと考えている。

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 一枚目は《静まらぬ大地、ヤシャーン》。スゥルタイに《ヤシャーン》のために白にタッチした4Cミッドレンジというデッキタイプが現れた。それまでの対策カードでは《虚空の力線》、《墓堀りの檻》が主要であった。《ヤシャーン》のその二枚に対する長所は以下の通り。
・4/4でETB土地補充と最低限の役割が保証されるため、メインデッキでの採用がしやすい。
・《檻》と異なり自分の《ウーロ》の脱出を妨害しない。
・生贄は墓地対策よりさらに縛りがきついため、《パンくず》の誘発や《コルヴォルド》のサイズアップも妨害可能である。
 スゥルタイから白にタッチすることで、デッキパワーを"あまり"落とさずにメタカードをメインに採用できることの恩恵は大きく、ジャンドの使用率は九月時点と比較すれば大きく落ちている。

 では、環境は《ヤシャーン》の天下になるかというと、そうなっていないことはSCGイベントなどのメタゲームからわかる。《ヤシャーン》にも短所が存在するからだ。
・白にタッチしていないスゥルタイに比べるとタップイン土地の割合が増えることでテンポで劣る。また、常時能力が腐っている場合の《ヤシャーン》の4/4/4という性能は決して高くないため、《ヤシャーン》を唱えること自体がテンポロスであることが多い。
・《ヤシャーン》が対象となる除去は4C相手に入れやすい。具体的には《ニッサ》や《ウーロ》も対象である《害悪な掌握》である。《檻》を除去するための《削剥》はスゥルタイに対し他の対象が存在せず、《虚空の力線》に対しては《大渦の脈動》のような汎用除去を使うことになるのに比べれば、マナコストが対策カードの中では高く、《害悪な掌握》の対象である《ヤシャーン》は除去しやすいと言える。
 4Cはジャンドからして苦しい相手ではあるものの、絶対に勝てない相手ではない。加えて、SCG Satelliteで一度4Cの使用率が最大になった後同型にテンポとマナベースの安定性の分勝るスゥルタイが再び使用率最大となったことからわかるように、4Cが使用率最大である状態に収束していない以上、メタゲームの一角にジャンドが残り続ける余地は大いにある。

 次に《見捨てられた碑》を採用した無色ランプについて、こちらはよりジャンドから見て致命的である。《大いなる創造者、カーン》からのメインでの《檻》に加え、カウンターを持っていないジャンドから見て《見捨てられた碑》からのフリースペル連打の大量ライフゲインや《ウラモグ》着地は《削剥》で《碑》を除去できなかった場合に即致命傷になる。極めて不利であり、《城塞》の早期着地からのOTKと相手の事故くらいしか勝ち目がない。
 それにも関わらずジャンドでつっぱることを選択した理由は無色ランプはスゥルタイとゴブリンに対するピンポイントメタデッキであり、捨てるところを捨てたデッキであることである。無色ランプはデッキの性質から序盤の軽量クロックの除去が難しいため、一般的にアグロに弱く、カウンターが採用し辛いため、トップメタのうちの一つであるゴブリンデッキの《マクサス》での早期ゲームフィニッシュを妨害することも難しい。
 ブンのあるメインの強いデッキであるゴブリンは偏っていない環境で理不尽な負け方をするリスクが低いため、選択するプレイヤーは一定数存在し、SCGでの使用率で一番手となることもある。特に効率重視で速いデッキを好むプレイヤーの多いArena内で完結したイベントにおいてはゴブリンの使用率は高く、無色ランプの勝てる環境ではない。よって、無色ランプは切ってよいデッキであると結論した。結果から言えば、SCG Kaldheim Championship Qualifierでは6-1卓でマッチし負けてしまったが、その時点での6-1以上の戦績のプレイヤーの中で無色ランプは一人で、15%以下でしか起こらないマッチングだったため、非決定的なゲームをやるうえで仕方ないと切るべき不運と認識している。

 まとめると、9月時点で最強だったジャンドのポジションに対し、追加されたセットは向かい風であるが、それらのジャンドメタのデッキが使用率最大に収束することは少なくとも今現在はしておらず、雑多な環境で強いジャンドの選択は有効であるという考えから使用を決めた。

2. 思考囲いの採用/不採用における考察

 前節ではデッキ選択について述べたのに対し、次説ではより細かい採用/不採用カードについて述べる。採用/不採用カードの中で《思考囲い》については環境についての言及が特に多く必要であり長くなるため、次節から切り離して一節を使い述べる。

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 まず述べておかなければならないことは、ジャンドではスゥルタイに比べ《思考囲い》の採用リスクが高いことだ。スゥルタイでは1:1交換を繰り返していけば、《ニッサ》、《ハイドロイド》、《ウーロ》と一枚で勝たせてくれるカードが複数存在する。一方でジャンドはデッキのほとんどを一枚では弱いカードが占めている。1:1交換を繰り返した後に一枚で勝たせてくれるカードは《城塞》のみで、《城塞》ともライフルーズがアンチシナジーである。メインパーツをどれだけ引けるかでゲームが決まるデッキを使う以上、自分の次のカードに繋がらないハンデスや除去の採用はリスクであるため、環境にハンデスで抜きたいカードがどれだけあるかより詳しい考察が必要。主要なデッキについて《囲い》の抜きたいカード、ハンデスのうれしさとリスクを見てゆく。

2.1. ジャンド
抜きたいカード: 波乱の悪魔*、パンくず、かまど*、コルヴォルド、中隊(入っていれば)
(アスタリスクは特に抜きたいカード)
ハンデスのうれしさ: 高い
採用リスク: 高い
 序盤でのハンデスが有効であるが一方、対象が軽いため場に逃がされやすく、ハンデス採用のリスクも大きい。序盤にハンデスをされて辛いというのは逆に言えば自分のリソースを増やさないハンデスに枠を割くことはリスクが高い。また、特にあるかどうかで差がつく《かまど》と《悪魔》については《削剥》でも処理が可能。場に逃がされるリスクとライフルーズを取ってまで《囲い》を優先する理由は薄いと考えている。

2.2. スゥルタイ/4C
抜きたいカード: 囲い、ヤシャーン
ハンデスのうれしさ: 極めて低い
採用リスク: リスクしかない
 1:1交換を繰り返して得するのは相手である。相手の抜きたいカードもメインでは枚数が絞られている《ヤシャーン》と、1マナの《囲い》であり、抜ける確率は低い。《囲い》を狙う場合先攻1Tしか間に合わないため、《囲い》を使われてもリカバリーできるようにメインのカードを削らないほうが良い。

2.3. ゴブリン
抜きたいカード: マクサス
ハンデスのうれしさ: 極めて高い
採用リスク: 低い
 ゴブリンは《マクサス》がなければ、トランプルなしのクリーチャービートダウンであるため、典型的なジャンドのお客さんである。カウンターのないジャンドにとってマナカーブの頂点にある《マクサス》へのハンデスは最善の解答である。《ゴブリンの女看守》の返しに使えば100%《マクサス》を抜けるため採用リスクも低い。ジャンド側は《悪魔》の定着を目標とするため、ジャンドがゲームを長引かせて得する相手でもあるため1:1交換は一般的に有効である。

2.4. 赤単/グルールアグロ
抜きたいカード: 中隊、宝剣
ハンデスのうれしさ: 低い
採用リスク: 高い
 一般的にライフルーズのリスクが高く、抜きたいカードに関しても盤面のクリーチャー除去で代用できる場合が多い。Meleeのイベントでは見かけることが少なくなったが、Arena内のイベントでは未だに人気のアーキタイプであるので、Qualifier WeekendやArena Openでは《囲い》の採用リスクとして認識しておく必要がある。

2.5. 以上のまとめ
ハンデスのうれしさ: やや低い
採用リスク: 高い
 スゥルタイ/4Cの使用率が高いことに加え、Arena内のイベントでは赤系アグロの多さから採用リスクの高さに拍車をかけている。環境で《囲い》が欲しくてかつ《囲い》でなければならない相手はゴブリンのみである。そしてゴブリンは《囲い》がなくとも《悪魔》を定着させることができれば勝てる相手である。一般的に《囲い》の採用自体がリスクなデッキであることも考え、Arena Openでは採用を見送った。

3. 自由枠のカードについて

3.1. フィニッシャー
 一般的に《コルヴォルド》と《城塞》を合わせて3か4枚。《囲い》のある環境であるので、5枚以上にすることは検討の余地あり。9月の時点ではクロックの早いデッキや同型を意識していたため、《コルヴォルド》を3枚にしていたが、今回は二枚ずつ採用した。《城塞》のうれしさは、キルターンを早めることにより、4Cにヤシャーンを引かれる前に勝つことができる確率を上げられること、運が良ければ出したターンに勝てるため、分の悪いゲームで相手のエンドフェイズに《害悪な掌握》で《ヤシャーン》の除去や《削剥》で《檻》の除去でチャンスを作ることができることがある。

3.2. 除去
 
最終的には《脈動》をメインに2枚とサイドに2枚、《削剥》をサイドに4枚、《害悪な掌握》をサイドに2枚。メインの枠は4Cの《ヤシャーン》やアゾリウスの《檻》などメインで対策を置かれることがあるので、その二枚に触ることができることが必要条件。メインにはどの相手にも腐ることがない《脈動》を選択。

 以前までメイン採用していた《アングラスの暴力》は《ニッサ》の土地が《ヤシャーン》の身代わりになることや、クリーチャー除去として使いたいゴブリン相手に横ならべされてどうでもいい1/1しか除去できないことが多かったため不採用。

 《害悪な掌握》はゼンディカーリリース後使いやすくなったカード。インスタントタイミングの《ヤシャーン》除去に加え、《初子》警戒で相手が《ニッサ》を置いたターンに能力を起動しなかった場合の裏目を作ることができる。

 《削剥》は3点ダメージの対アグロ除去にAF除去を兼ねた便利カードで、ミラーや最近《通報の角笛》が採用されることが多いゴブリンに有効なため4枚採用。スゥルタイに対して《ニッサ》の土地ぐらいしか触れないためメインは0枚。

その他採用しなかったカード
・リリアナの敗北
 ゼンディカー前までミラー意識でそこそこ採用されていたカード。マナ効率はいいもののソーサリーであるため、対象の《悪魔》や《コルヴォルド》で先に盤面をめちゃくちゃにされてしまうことが多い。《悪魔》への除去は《削剥》でよく、《かまど》を除去して相手の盤面を弱くしておけば《コルヴォルド》はあまり強くないので、《削剥》に対する利点が薄く不採用。代わりにミラーの差別化は後述するドローソースを採用(予想よりメタゲームからジャンドがいなくなりこちらも最終的には抜いてしまったが…)。

・残忍な騎士
 腐りにくいのが利点だったものの、メイン《檻》デッキが増えたため《脈動》に枠を譲った。サイドカードとしては2点ライフルーズがあり3マナなのでうれしさが少ない。パーマネントであるため《パンくず》からサーチ可能だが、《ヤシャーン》がいる場合フードを生贄にすることがまずできないため、この利点も小さくなった。

・反逆の先導者、チャンドラ
 忠誠能力で《ヤシャーン》を処理できるため、採用されているリストでは《脈動》の枠に入っていることが多いカード。器用貧乏であるように感じ採用をやめた。まず除去として見たとき、4マナでソーサリータイミングは遅すぎる。相手が先攻で《らせん》を使っていた場合、《ヤシャーン》を《疾風》で守られ間に合っていない。プラス能力のバーンとドローだが、こちらも大してうれしくない。というのも、ジャンドがライフを大きく削るのは3T以降なので、3Tですでに猫かまどセットに悪魔のような完璧な盤面ができていないと2点バーンは大してプレッシャーにならない。また、そんな完璧な盤面ができていれば《チャンドラ》がなくても大抵は勝つ。リソース補給についても、4マナ払って1Tに1枚は特別効率がいいわけでないため、バーンが脅威にならないならば《チャンドラ》を選択する理由は薄い。

3.3.  忘れられた神々の僧侶

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 Arena Openでは元々《囲い》の枠に入っていた《忘れられた神々の僧侶》をデッキに戻すことを選択した。前節で述べた通りジャンドではデッキ内に一枚では弱いカードが多く、1:1交換でリソースを消耗することがリスクであると考えたため。《僧侶》はサクり台としての機能に加え、ドローソースでもあるため、一般的に有利なアグロデッキに対しコンボパーツを揃えるのが間に合わず負ける確率を下げてくれる。アグロが多いArena内のイベントではアグロ耐性の向上は重要である。

3.4.  形成師の聖域

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 ミラー対策でSCGの際に採用したサイドカード。ミラーでは《初子》と《悪魔》をどちらが多く引くかでゲームが決まることが多い。以前はサイド後《悪魔》に当たる除去を増やしていたが、練習していると自分が引く《悪魔》と《初子》が相手が4枚以上に対し自分が0~2枚で除去の枚数の勝負のステージにすら上がれないことが多いように感じた。そこで、除去を増やすよりも自分の引く《初子》と《悪魔》の枚数を増やすため、《初子》や《悪魔》に対し誘発するドローソースを採用した。ジャンドの使用率がすぐに下がりデッキから抜けてしまったが、SCGではうまく機能しミラーマッチを取ることができた。

おまけ. サイドボード例

 非公開制で先攻を想定。できればここから先は読まずに先にご自分で考えてみることをお勧めします。またこれはあくまで一例であり、正解ではありません。メタゲームは常に移り変わるので、サイドボードに限らずあらゆる記述に対して疑い、また自ら壊してやろうという姿勢が重要であると思います。

スゥルタイ
-僧侶2
+城塞、脈動

4C
-僧侶2、悪魔2、コルヴォルド
+城塞、害悪な掌握2、脈動2

ミラー
-脈動2、城塞2、僧侶
+コルヴォルド、削剥4

ゴブリン
-脈動2、徘徊者2、城塞2
+魔女の復讐3、削剥2、コルヴォルド

オーラ
-脈動2、徘徊者2、城塞2、土地
+僧侶2、害悪な掌握2、削剥3

無色ランプ
-初子4、悪魔2、コルヴォルド2
+僧侶2、削剥4、脈動、城塞

赤単/グルール
-城塞2、徘徊者、脈動2
+削剥4、コルヴォルド

おわりに

 以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。ゼンディカー環境のヒストリックのイベントはずっとジャンドを使い続け、最高ではないものの良い戦績で終わることができたように感じております。私はすでにカルドハイムCSの権利を獲得しておりArenaのQualifier Weekendに出ることはできないので、あなたがジャンドを使う、あるいはジャンドの対策をするうえでこの考察が少しでも参考になれば幸いです。

インポートリスト

デッキ
4 血の墓所 (RNA) 245
4 大釜の使い魔 (ELD) 81
4 初子さらい (ELD) 118
4 寓話の小道 (M21) 246
3 森 (SLD) 67
4 金のガチョウ (ELD) 160
4 波乱の悪魔 (WAR) 204
1 山 (SLD) 66
4 草むした墓 (GRN) 253
2 ファイレクシアの塔 (JMP) 493
3 踏み鳴らされる地 (RNA) 259
3 沼 (SLD) 65
4 パンくずの道標 (ELD) 179
4 魔女のかまど (ELD) 237
2 悲哀の徘徊者 (THB) 123
2 フェイに呪われた王、コルヴォルド (ELD) 329
1 岩山被りの小道 (ZNR) 261
2 大渦の脈動 (ARB) 92
2 ボーラスの城塞 (WAR) 79
1 森林の墓地 (DAR) 248
2 忘れられた神々の僧侶 (RNA) 83

サイドボード
2 大渦の脈動 (ARB) 92
1 ボーラスの城塞 (WAR) 79
4 削剥 (AKR) 136
3 魔女の復讐 (ELD) 111
2 害悪な掌握 (M20) 110
1 フェイに呪われた王、コルヴォルド (ELD) 329
2 忘れられた神々の僧侶 (RNA) 83

以下加筆部分
 ジャンドフードは既存のデッキタイプで基礎的な部分について自分が記述する意味は薄いと考えアップデート部分について述べたが、考えが変わったため、デッキの根幹となるカードと主要な相手に対してのプレイ指針について述べる。

4. 根幹となるカードの使い方解説(1/23追記)

4. 1. 波乱の悪魔

 このデッキでおそらく最も多く誤った使い方をされているカード。基本的に他のアクションと迷った場合、《波乱の悪魔》でない方を出した方がよい。というのも、このカードはゲームが進み場にあるカードが多くなるにつれて、可能な誘発回数が増えて強くなるカードだからだ。《波乱の悪魔》は本体のパワー3に加え、《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》で毎ターン2点をはじめ多くの誘発から実質5点以上のクロックとして機能し、ラストターンには《悲哀の徘徊者》の全クリーチャー生贄で実質的にロードとしても機能する。相手としても、《取り除き》や《初子さらい》を使いたい対象は《波乱の悪魔》のはずで、それを3Tに出して除去されれば相手の思うつぼである。他のクリーチャーに除去を切らせてから出すことが望ましい。ゲーム終盤であれば、《取り除き》のようなインスタント除去を切られた場合も、スタックで生贄を含む処理を行うことで6点以上のダメージを期待できることが多い。
 ジャンドサカンパニー/フードなどクリーチャー主体のデッキが相手のマッチで《波乱の悪魔》は特に強く、1点ダメージを複数回クリーチャーに飛ばす汎用除去として機能する。さきほど、"悩んだ場合"《波乱の悪魔》は出すべきではないと述べたが、クリーチャーデッキ相手には悩む基準をさらに下げる必要がある。なぜなら、こちらにとっても《波乱の悪魔》は致命的であり、《初子さらい》で奪われたときのリスクが大きいからだ。クリーチャーデッキに対しては、《波乱の悪魔》を出して相手のクリーチャーを複数除去できる場合出したいが、それと同じぐらい相手の《初子さらい》への警戒が必要であり、《魔女のかまど》や《悲哀の徘徊者》、《ファイレクシアの塔》でのケアができた状況が望ましい。《波乱の悪魔》を引けている場合定着させれば即ち勝ち、出しただけでそのターンに大幅にアドバンテージを取ることができるため焦る必要は全くない。

4. 2. 悲哀の徘徊者

 一番雑に置きやすいカードである。除去を切られてもトークンが残り、《初子さらい》のリスクは比較的小さい。ジャンド相手には3Tに置いて4T以降の《波乱の悪魔》に繋げることができれば《初子さらい》をケアできてかつ最低2点の《波乱の悪魔》の誘発ダメージが保証されるため強力。
 難しいのは占術能力の方である。手札に有効牌がないため手なりでトークンを生贄に占術はあまりに軽率。このデッキの0/1トークンは重要度が高い。《波乱の悪魔》のダメージを一点増やし、《コルヴォルド》のドローを一枚増やし、《ファイレクシアの塔》から出るマナを1増やし、《魔女のかまど》から食べ物トークンを作って《パンくずの道標》を通じてリソースとなる。占術する前に欲しいカードを頭の中で列挙し、それらはトークンを一体減らしてでも探しにいく価値があるか、トークンが一体減った状況で手札に加わって本当に強いか吟味する必要がある。
 占術で有効牌を探す代わりのアクションで見落とされがちなのが、《悲哀の徘徊者》を生贄にし脱出する出し直しだ。《魔女のかまど》で生贄にした場合、食物が一つにトークンが一つ、また将来的に《悲哀の徘徊者》を《魔女のかまど》で生贄にした場合に出る食物が1つ増え、合計パーマネントが3つ増える。これらのパーマネントはいずれも生贄にしやすい性質のもので、いずれ《波乱の悪魔》からの3点火力や《コルヴォルド》からの3ドロー、あるいはその両方になる可能性が高い。《悲哀の徘徊者》出し直しを見落とすことは《Ancestral Recall》をドブに捨てるようなものである。また、脱出時の5/4というサイズはバカにできない。ジャンドの3マナ域のクリーチャーや《ニッサ》で生物化した土地を一方的に倒すことができる。《ウーロ》と《破滅を囁く者》のタフネスの6、《ニッサ》の初期忠誠度5+1には一歩届かないものの、手札から《波乱の悪魔》を出して脱出時に増えたトークンを生贄にすれば届くため、スゥルタイにも大きなプレッシャーを与えることができる。

4. 3. フェイに呪われた王、コルヴォルド

 盤面が整っていれば一回の攻撃でゲームが終わるため、除去されずにターンが回ってくれば勝ち。ならば考えるべきはどうやったら除去されても勝てるようにするかだ。《コルヴォルド》が対象のインスタント除去は採用率が低く、除去される場合は大抵ソーサリーの《大渦の脈動》か《絶滅の契機》である。そのため出したターンに誘発する回数をある程度確保することで有利の確保が保証される。《寓話の小道》の起動や、猫かまどコンボ、《金のガチョウ》のマナ生成などで3回程度は確保したい。《コルヴォルド》のETBで生贄にするパーマネントの選択は、ETBにスタックで生贄にするアクションを取ることで、デッキの上のカードを手札に入れてから決めることができるため、Arenaではフルコントロールを忘れずに。また、《無情な行動》を使用する相手には最低一回の生贄が《コルヴォルド》を出す際のケアとしてほしい。《コルヴォルド》自身が生贄にされたときもドローは誘発するため、除去を使われたら可能であれば生贄にする。

4. 4. ボーラスの城塞

 1ターン生存させなければ勝てない《コルヴォルド》と違い、出したターンに勝てることが多いため、相性不利な相手へのワンチャンスや除去の多いコントロール相手に有効。《悲哀の徘徊者》でのトップ操作ができるとOTK率が大きく上昇する。《コルヴォルド》と違い《霊気の疾風》の対象でないこともポイント。
 よく見かけるミスは、手札に《寓話の小道》がありトップがショックランドであるときにトップの土地を置くこと。《寓話の小道》を出して起動した場合でもトップに非土地がくる確率は変わらず、一回パーマネントを生贄にでき、ライフを支払わずにマナを1伸ばすことができる。手札の土地が一枚減るが、《ボーラスの城塞》が通っている状況で問題になることは少ない。

4. 5. パンくずの道標

 継続的にリソースを補充し、補充したカードを出すと誘発回数が増えて加速度的に手札を増やすカード。ハンデスや除去が得意なスゥルタイに特に有効で、《パンくずの道標》を置けるかどうかが大きな分岐点になる。《思考囲い》の方が早いが先攻であればマリガンして探しにいってもよい。2021年1月現在、スゥルタイの青黒ショックランドの採用率は低く、黒のアンタップイン土地は緑黒ショックランド4枚に沼の計5枚のみであることが多い。JANUARY KALDHEIM LEAGUE WEEKENDでスゥルタイを持ちこんだMPL8人のうち6人がこの枚数である(残りは7枚と8枚)。この場合、唯一《パンくずの道標》を落とすことができるタイミングである後攻1Tに《思考囲い》が使える確率は22%以下である。後攻であっても、こちらの初手に《パンくずの道標》があってかつ相手の手札に《思考囲い》がない確率25%程度と2~4Tに《パンくずの道標》をトップドローできる確率が25%程度なので半分程度は4Tまでに《パンくずの道標》を設置することができる。
 置きたいターンはほとんどが2T。最も通る確率が高いため。
 誤解されがちだが、《パンくずの道標》は速い相手に対しても良いカードである。《金のガチョウ》や《大釜の使い魔》によるお手軽誘発で手札のキープ率を大幅に上げ事故率を軽減できる、有効牌である《波乱の悪魔》や《コルヴォルド》を探しに行ける、パーマネント数を増やすことで《コルヴォルド》をより強く使える、序盤を耐えた後にライフゲインに使うことのできる食物の数が増えるなどいいことづくめ。

4. 6. 大釜の使い魔

 猫かまどコンボのパーツであり、墓地にいるとき《大釜の使い魔》の起動能力にスタックし複数回能力を使うことで、任意の枚数の食物を生贄にすることができる。これは《コルヴォルド》、《パンくずの道標》、《波乱の悪魔》の誘発をマナを一切支払わずに使用できるため重要である。墓地にありさえすれば、《墓堀りの檻》でリアニを止められても0マナで食物を生贄にするエンチャントとして機能する。可能であればスゥルタイには《肉儀場の叫び》をケアして場に残した状態でターンを渡さない、赤系デッキにはインスタント追放除去をケアでサクり台がない状況で場に出さないことが望ましい。相手ターン終了時に墓地から場に戻すとコンバットダメージが1増えるが、誘発を一回使うことは安くないためトップで生贄で誘発するカードを引いた場合の嬉しさの変化も考慮し判断する。もし手札に生贄で誘発するカードがある場合は出す意味が薄い。特に《波乱の悪魔》を出すつもりの場合、コンバットで増える分のダメージは誘発で稼げるため、《大釜の使い魔》を相手ターン終了時に場に出す必要は何一つない。

4. 7. 魔女のかまど

 《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》が初手にある場合、《大釜の使い魔》から出したほうがコンバットダメージが1増えるのでそうしたくなるが、《思考囲い》されたくないのは《魔女のかまど》のほうなので、黒い相手にはこちらから。赤い相手はアーティファクト破壊とインスタント追放除去でどちらが先でも裏目があるのでG1, G2で相手が使ってきたカードを覚えておいて順番を決める。《パンくずの道標》も手札にある場合は相手のハンデスと除去の機会が増えるためより慎重な検討が必要。
 相手のクリーチャー除去に対しての生贄が《悲哀の徘徊者》と選択肢がある場合、食物を出せる《魔女のかまど》の方を使いたくなるが、《悲哀の徘徊者》自身も脱出持ちで追放除去から《魔女のかまど》で逃がしたいカードであることも注意。
 《魔女のかまど》は1ターンに一度しか使えないのに対して食物トークンは《大釜の使い魔》で任意の枚数生贄にでき、生成される食物は触られにくいので、0/1トークンなど全体除去で巻き添えになりうるいらないクリーチャーを相手ターン終了時に食物に変えておくことも考える。

4. 8. 金のガチョウ

 《コルヴォルド》、《波乱の悪魔》の次に除去されたくないクリーチャーであるが、《パンくずの道標》を2Tで起動できることのバリューが高く、1マナクリーチャーであるため除去されてもテンポで勝っていることから積極的に1Tに置いていきたい。食物生成の方の起動能力はテンポが悪いことが多いが、パーマネントを一つ増やすことでケアできるリスクは多いので、マナが余った場合以外も積極的に使用することを考える。

画像12

 例として画像のような初手で《コルヴォルド》を3Tに出したい場合、1Tに《金のガチョウ》を置いて2Tに食物の生成ではなく《魔女のかまど》の設置を選んだ場合、《コルヴォルド》のETBで生贄にするパーマネントは土地と《魔女のかまど》の二択になってしまうため、食物トークンを生成しておくことで手札の《魔女のかまど》を節約することができる。

4. 9. ファイレクシアの塔

 不利な相手に《ボーラスの城塞》を1ターン早く置ける他に、《大釜の使い魔》を絡めると食物をマナに変換でき、《パンくずの道標》を誘発させる際に必要なマナコストは《大釜の使い魔》を《ファイレクシアの塔》により生贄にすることで食物自身の能力で生贄にした場合と比べ3マナ軽くなる。
 このカードの使い方は気づかなければわからないものが多いため、いくつか例を紹介する。

・事例1
 まず初歩は1T緑黒ショックランドから《大釜の使い魔》で2Tに手札に《ファイレクシアの塔》と《パンくずの道標》がある場合。《大釜の使い魔》を《ファイレクシアの塔》で生贄にすればそのターンに《パンくずの道標》を誘発できる。

・事例2

画像9

 相手ターン終了時。《ファイレクシアの塔》を先に起動で、《金のガチョウ》の食物生成と《大釜の使い魔》からの《パンくずの道標》でマナを全て活用できる。

・事例3

画像10

 これも《ファイレクシアの塔》を先に起動することで《パンくずの道標》の起動回数が一回増える。

・事例4

画像11

 色事故しており、《悲哀の徘徊者》を出した場合赤マナが出ず、《金のガチョウ》を出した場合マナが2つ無駄になる。《大釜の使い魔》を出して《ファイレクシアの塔》から2マナ出すことで、《悲哀の徘徊者》と《金のガチョウ》を両方唱えられる。


 最後までお読みいただきありがとうございます。またよろしくお願いいたします。この下には何もありません。

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