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#ファンタジー

短編 「水の記憶」

短編 「水の記憶」



「結界ごと斬れる業物ってある?」
 と半年ぶりに顔を見せた妹は、口にした。
「それ、大業物だからね」
 店の商品を物色していた彼女は、淡々とこちらを向いた。
「あるの?」
 ない訳ないでしょう、と思ったが口にはしなかった。第一、千年から続く我が家の蔵に何があって、何がないのか、帳簿係の私ですら把握していないのだ。ひょっとして神代の刀が出てきても不思議じゃない。
「何に使うの?」
「うーん、仕

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