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姉(そうめんとなら丼物もいける)

頭が働かない。バイト中もただ座ってキーボードをシャカシャカしている時間の方が長かったと思う。

これは完全に寝不足が原因だ。最近3時をまわるまで風呂に入る決心がつかない魔法にかかっていて、眠りにつく頃には空も明るみ始め、窓の外からは大型車の走る音と何か大きな荷物を降ろす音が聞こえてくる。
そうして横になると心臓が体の表面まで出てきたんじゃないかってくらいはっきり鼓動しだすのが少し怖い。

その疲労を持ち越してバイトに行くと、キーボードフェザータッチ女になってしまうというわけだ。


半目で書きあげた記事をプレビューすると信じられないくらいフォントサイズがデカく表示されて思わず「アッハ」と乾いた笑いが出た。

お疲れ様でしたという気持ちを込めて「さした」と声を上げ、ふらつく足でエントランスに向かう。

自動ドアが開かない......。

二段階ある内の、最後の自動ドアが全く反応しない。手で開けようとしても無理だ。

一つ前のドアまで下がり、助走をつけ、一つ目が開いたテンションのまま二つ目も..…開かない。

自動ドアに対して平行に反復横跳びをしても開かない。この元気がなぜバイト中に出ないんだ。

仕方なく一度「さした」と挨拶をした5Fのオフィスまで上がり、ん?(ニッコリ) みたいな視線を感じながら非常階段を下って外に出た。

よく考えたら何も律儀にオフィスからリスタートする必要なかったな、なんて考えながら暗い通りを歩く。

うまいものを食べなければ今日のハイライトが自動ドア前の反復横跳びになってしまう。

こういう考え方でご飯屋さんに入るから麺と米を頼んでしまうのだとあれほど言ったのに、まったく言うことを聞かない女だ。(吊り目で短髪刈り上げのイケメン先輩/趣味は1000ピースパズル) 

でも今日一日を怪我一つなく、人に怪我させることもなく無事終えたわけだから、自分の心が言うことに従ってあげてもいいハズ!

就活の悩みとか、授業で仲良くしていた友人を毎回リセットして新学期を迎える虚しさとか、私がダル着で授業を受けて帰ることとラクレット部の女子がダル着で友人の輪に入っていくことの違いとか、そういう煩雑な考えはこれを食べている間だけにしよう。

これを食べている間はとことん悩んで、お皿と一緒に悩みも空っぽにして店を出るんだ!

釜玉そうめんとソーキご飯

いただきます!

え...…うますぎ.........…

ウマい〜〜〜〜〜ウマイウマイウマイウマイ!

「お会計お願いします〜」
「ありがとうございました!」

シンキングタイムが体感3秒だった

メレンゲと卵がねっとり絡んだ細いそうめんをだし醤油ですすり、甘辛い豚肉とご飯をかきこむ快感に脳みそが全部空になってしまった。

こんなに速く食べられるなら友人との旅行もどうにかなっただろうに(参考記事「日記をサボった上にメンプニを撒き散らす」)。

まあいい。店に入った瞬間に外に放り出されたような錯覚に戸惑っているが、まあもういい。

全部わかんなくなっちゃった。

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