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展覧会#2 【スペイン中世写本の楽しみ】

慶應義塾図書館で開催されている
「スペイン中世写本の楽しみー慶應義塾所蔵資料を中心にー」
に行ってきました。





中世のイベリア半島は?

立地

横軸:大西洋と地中海
縦軸:ヨーロッパとアフリカ大陸
という地理的にも「文化のるつぼ」!
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教という三つの宗教を信仰する人たちがせめぎ合い、「政治的対立」と「文化的融和」が同時に起こりました。

言語

ラテン語やロマンス諸語(スペイン語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語、ルーマニア語)に加え、アラビア語とヘブライ語が日常的に飛び交っていました。
これらの言語の相互作用と影響が、イベリア半島の文化や言語の発展に大きな影響を与えました。

建築

アラベスクやモザイクのイスラム教のムスリム職人の技術と、大聖堂などのロマネスク、ゴシック、バロック様式などヨーロッパ的建築モードが融合。
キリスト教徒の王族や貴族は、イスラーム世界で生み出された衣服や工芸品をこぞって用いたようです。

民族

バスク系住民を含む古代以来の人々と、ゲルマン系の西ゴート、ムスリムとして流入したアラブ人やベルベル人、そしてピレネー山脈の北から移住したヨーロッパ系住民が混在しました。

中世のイベリア半島は、ヨーロッパでありながら、その枠に収まらない異色な独自の文化を築いていきました。
そのエキゾチックさが、スペインの魅力ですよね!

イベリア半島の古地図

写本とは?

中世の西洋では、書物はすべて手で書かれたり写されたりしました。
こうした写本は、羊や牛などの獣の皮をなめして作った獣皮紙(羊皮紙)に書かれています。
獣皮紙は紙よりも丈夫で、滲みにくく発色も良い。
インクや顔料は、鉱物・動植物・昆虫から作られ、ペンは鳥の羽をナイフで削って作られました。
よって、写本はすべて一点もの!
今では印刷技術の改良で、オリジナルの写本に忠実に再現された「ファクシミリ版」ができました。
紙に印刷されるようになっても、カラーの部分は印刷後に手描きで彩色されました。

アルフォンソ10世(在位1252年〜84年)

イスラーム圏からもたらされたアラビア語文献をラテン語やカスティーリャ語(スペイン語)に翻訳した「トレド翻訳学派」を保護したり、多くの文献をスペイン語に翻訳し、スペイン語を公用語とさせ、文芸活動を推進しました。
そして、宗教詩・天文学・占星術・音楽・法律・遊戯などに関する書物を多く残しています。

晩年は母方のゆかりのあるアンダルシア地方に逃れ、セビージャで亡くなりました。
ちなみに、セビージャ市内に「アルフォンソ13世通り」や「アルフォンソ13世橋」という名前の場所があります。

(展示資料参照)


2月8日まで展示されています。
なかなか目にする機会がない蔵書の数々!
興味がある方は是非足を運んでみてくださいね。

読んでいただき、ありがとうございました。



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