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クラッシック音楽#12 映画【ボレロ 永遠の旋律】 モーリス・ラヴェルとフランス芸術

世界中で15分ごとに演奏されていると言われている『ボレロ』(本編より)
名曲誕生の背景と作曲家モーリス・ラヴェルの半生が描かれている映画『ボレロ 永遠の旋律』。
随所にラヴェルの美しい旋律が組み込まれているところも、映画の見どころです。
映画の内容は、ネタバレになりそうなので「基本情報」のみにとどめ、ラヴェルが生きた時代のフランス芸術と、劇中で流れるラヴェルの作品を紹介します。



モーリス・ラヴェル(1875~1937)

1875年3月7日、フランスでスイス人の父とスペインにほど近いバスク出身の母のもとに生まれました。
ラヴェルの音楽には、音楽好きの父と母が歌うスペイン民謡の子守唄の影響が大きく、スペイン音楽に対する深い共感とバスクの土地や人々への愛情が受け継がれています。
情熱的で妖艶、官能的でエキゾチックな音楽のルーツですね。
「スイスの時計職人」と揶揄されるように、緻密に計算し多くの時間をかけて一曲仕上げる繊細さで、それ程多くの曲を残さなかったラヴェル。

フランス芸術

ラヴェルが活躍した時代19世紀終盤から20世紀は、第一次世界大戦勃発や政治的に不安定な状態で、一方科学技術が目覚ましく進歩した時代でした。
芸術面では、絵画、文学、音楽でフランスはドイツに勝るヨーロッパの中心的首都となり、クロード・モネの《印象・日の出》(1872)で生まれた印象主義、色彩の魔術師と言われたフォーヴィスムのアンリ・マティス、キュビスムの創始者パブロ・ピカソなどが活躍。
そして、ダダイスム、シュルレアリスムと目まぐるしく変化に富んだ時代です。
文学では、パリで詩人ステファヌ・マラルメが、芸術家の交流の場「火曜会」を開催し、多くの画家や音楽家が親交を深めました。
なんとも贅沢なサロンですね。

以前、マティスの展覧会の記事でも書いたのですが、
〜同じフランスの二人の芸術家
『画家 マティス』と『音楽家 ラヴェル』
色彩豊かで、エッジが効いて、緻密に計算され、余白・まとう空気感が似てる〜
と、好きな二人の芸術家を寄せ気味に解釈しています。


『ボレロ 永遠の旋律』映画の中のラヴェル作品

・「ラ・ヴァルス」


・「グロテスクなセレナード」


・「亡き王女のためのパヴァーヌ」


・「鏡」より「道化師の朝の歌」


・「夜のガスパール」より「絞首台」


・「ピアノ協奏曲」


・「マ・メール・ロワ」


・「ピアノ三重奏曲」


・「弦楽四重奏曲」


・「ボレロ」

ラヴェル自身の演奏の録音です。



こんなに美しい音楽の数々にも関わらず、毎年挑戦したコンクール(ローマ賞)では評価されず。
年齢制限最後の年は、審査員の教え子が賞を総なめするなどの不正もあり、ラヴェルの才能は認められなかった「ラヴェル事件」。
もし早い時期に高評価されていたら、皮肉っぽい性格にはならなかったのではないか?
しかし逆に、繊細なガラス細工のような数々の美しい名作は生まれなかったかと思うと感慨深い。

映画『ボレロ 永遠の旋律』 基本情報

解説・あらすじ(出典 シネマトゥデイ)

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルによって生み出され、時代を超えて愛され続ける名曲「ボレロ」誕生の裏側を描くドラマ。自身の全てを注ぎ込んだ曲によって人生を翻弄(ほんろう)されるラヴェルの苦悩を映し出す。監督は『夜明けの祈り』などのアンヌ・フォンテーヌ。ラヴェルを『黒いスーツを着た男』などのラファエル・ペルソナが演じ、『ベル・エポックでもう一度』などのドリヤ・ティリエ、『バルバラ ~セーヌの黒いバラ~』などのジャンヌ・バリバールのほか、ヴァンサン・ペレーズ、エマニュエル・ドゥヴォスらが共演する。

1928年フランス・パリ。スランプに陥っていた作曲家モーリス・ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)は、ダンサーのイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)からバレエのための音楽を依頼される。ところが作業は全くはかどらず、ひらめきを追い求めるかのように、彼はかなわなかった恋愛や母との別れ、戦争の痛みなど、過去に思いを巡らす。試行錯誤の日々を経てついに新曲「ボレロ」を完成させ、パリ・オペラ座での初演は大成功を収めるが、自身の全てを注ぎ込んだこの曲によって彼の人生は激変する。



今回は映画『ボレロ 永遠の旋律』と劇中の曲を紹介しましたが、もう少し深掘りしたラヴェルの生涯についてと、多くはないながらも繊細かつ情熱的で美しい曲を、またの機会に紹介したいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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