よい眠り
良い夢を見ていたわけではなかった。
すっかり忘れてもいない。
けれども、よい眠りだったと感じる。
なんとなくの痛みを残しながらも、そこから起き出せる。
幸せで動きたくない目覚めもある。
怖くて逃げ出したい目覚めもある。
よい眠りだった。
痛みが遠くにある。安心できる距離で。
夢と記憶はどこまでが繋がっていて、どこからが無関係なのか。
手を振った。
今を脅かすほど傷つくというのに、夢の側に、とどまっておこうとすることもあったけれど。
忘れてしまわないようにと。
体に戻る感覚を思い出した。
さよならしたかったんだな。
さようなら、と、言いたかったんだ。
誰に。
誰ともなく。
あの日の自分に。あの日のあの場所に。
誰ともなく。
もう私ではない。もうあなたではない。
私はここに在る。
恐れ入ります。「まだない」です。 ここまで読んでくださって、ありがとうございます。 サポート、ありがとうございます。本当に嬉しいです。 続けてゆくことがお返しの意味になれば、と思います。 わたしのnoteを開いてくれてありがとう。 また見てもらえるよう、がんばります。