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三日坊主日記 vol.73 『旅的途上』

久しぶりに長男と食事をした。

東京で暮らしているし、最近は世界中を忙しく飛び回っているようなんで中々ゆっくり話す機会もないが、とりあえず元気そうでよかった。うちは息子が二人いるんだけど、この長男の方はとにかく手が掛かった。元気で明るくて、友達も多いし頭も悪くないんだけど、余計なことをする。というか、ちょっと型破りなとこがある。破天荒といえば聞こえがいいが、要するにアホだ。

学生時代はもちろんだけど、就職してからもなかなか落ち着かなかった。仕事は一生懸命だし、要領もいいんだけど、いつ何をしでかすか分からないところがあったし、事実結構やらかしていた。しかし、ある出会いがあって会社を辞めて独立した辺りから急に変わったように思う。ちょうどその頃に今の奥さんと付き合い始めたようなので、彼女の影響もあったのかも知れない。

会社を辞めると言い出した時は、流石にちょっと待てよと思った。入社して3年弱。もう少し我慢すべきだと説得を試みたが、決めたことを翻すような男ではない。それ以上言っても無駄なんで放っておいた。

親には事後報告だったんだけど、僕の母(おばあちゃん)には相談していたらしい。相談というか、こういうことを考えていて、こうしたいと思っていると。それを聞いて僕の母は「頑張りや」と励ましたそうだ。どうして止めないのかと聞くと、「あんた(僕のことね)によく似ていて、決めたら人の意見なんか聞かへんから、応援したげたら良い」と言った。なるほど、僕の妻(彼の母ね)も確か同じようなことを言ったと思う。

何日か前に、「人生というのは、何かを探す長い旅」というようなことを書いた。そうだとしたら、旅立ちは早い方がいい。若いうちだとやり直しが効くし、無理も効く。気力も体力も充実している間に旅立った方が良い。道に迷ったら引き返せばいいし、迷ったからこそ新たな道が見つかるかも知れない。一度しかない人生なんだから、悔いだけは残して欲しくないと思う。

ここまで書いて自問する。お前はどうなんだ。

今日のタイトル『旅的途上』は河島英五さんの曲のタイトルだ。

僕は英五さんの最晩年にTVCMの撮影でご一緒させてもらったことがある。鹿児島県の串木野。東シナ海に沈む夕陽を見ながらの撮影だった。完成したCMでも『旅的途上』を使用している。

ここでは書かないが、英五さんはやっぱり男だった。たった2日間だったけど、僕らスタッフは彼に魅了された。その後まもなく英五さんが旅を終えたと知った時、みんなで本当に泣いた。

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