3.1 東京で開発するときの注意

1. 東京23区のワンルーム規制は必ず念頭に置くべし

どのようなマンションが対象となり、どんな制限が課されるのか、前述したように、自治体ごとに規定が異なるので、一律に説明することはできないのですが、ワンルーム規制の対象となるのは、3階建て以上で15戸以上の戸数をもつマンション/アパートが多いです。つまり、15戸以上の中規模以上のマンションは基本すべてワンルーム規制の対象となります。

どんな規制が課せられるかについては、例えば次のような規制が課されます。

▽最低専有面積 

20㎡~30㎡と各区で異なるものの、大部分の区では、25㎡を最低専有面積としています。

▽ファミリータイプ設置義務 

一定の割合にファミリータイプと設置するものとして、40㎡以上のファミリータイプの設置を求める区が多くあります。

▽管理人室、ゴミ集積所、駐輪場、駐車場設置義務 

近隣住民からの苦情が多い居住者マナーの改善のため、こうした共用施設の設置を義務づける区が比較的多いです。

▽課税 

豊島区のみ、1戸当たり50万円の課税を課しています。

ワンルーム規制をかいくぐれば勝機が生まれる私達のような個人投資家が狙うのは、ワンルーム規制にかからない範囲で建てられる小規模マンションです。

多くの区では14戸以下ならワンルーム条例にかからないで、25㎡以下の居室をつくることができます。15㎡もないような超狭小な部屋でも間取り次第で十分賃貸は可能です。

ちなみにSUUMOの調査によると、若い世代には都心立地のロフト付き超狭小物件が人気だそうです。

2. 足立区のマンション

私が建築した足立区のマンションでも、20㎡程度ですが家賃が平均8800円と先の25㎡マンションに比較して相対的に安いので、狭くてもこの物件に住みたいという入居者のニーズを捉え、常に満室状態です。

実は、この物件の隣と後方にも同様の小規模マンションがあるのですが、これらも常に満室のようです。総じて25㎡確保した中規模マンションよりも稼働率が高いと思われます。もちろん、十分な広さを確保してあげたほうが入居者に喜ばれますが、それによって家賃が高く成り過ぎて空室を生むようでは本末転倒です。 

このため、土地を探し始める前に、まずは区ごとのワンルーム規制を概観し、最低でも規制の緩い区、激しい区はどこか、程度は事前に念頭にいれておくことが肝心です。

次頁に示した図表2-4①は、23区別に規制の対象となる条件と対象となった場合の最低面積のみを切り出した超簡易的な一覧表です。評価欄には、あくまで私見として、ワンルーム規制の観点からの建築のしやすさの程度を示しています。

この観点からワンルーム規制に掛からず建築しやすいのは、品川区、練馬区で、逆に建築しづらいのは、港区、江戸川区、豊島区という結果となっています。あくまでも1つの参考情報としてご活用ください。

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