1.3. 新築不動産投資に変えた10の理由

スルガ銀行の不正融資事件が発覚する前の2015年から2017年にかけて、これまで投資していた中古物件の市場で異常な価格で取引されるようになりました。それを見た私は、中古物件価格の高騰と供給過多になりつつある地方築古の需給バランスを考慮して、2016年から本格的に開発型投資にシフトしました。

ボロ戸建がメインになってしまうといつまでもお金が貯まらず、いつまでも忙しいです。時間と労力を使って、現金不足の状態が続きます。最初はボロ物件で経験値を上げるのもいいと思いますが、必ず途中でレバレッジを使ってアパートも買いましょう

私が土地から企画する開発型投資に変えたのには10の理由があります。

理由1. 取得価格を安くできる

不動産投資は、いい物件をいかに安く仕入れるかが最重要です。中古物件は、融資環境が良い時期は、収支が回るいい物件を仕込むのは至難の業です。

一方で、開発型の場合は、建築費をうまく抑える事さえできれば、やり方次第で安く仕上げて収支を回るように工夫することができます

土地代が高いはやむを得ませんが。まず仕入れないと何も始まらないので、無理して指値せず、売主をグリップすることを優先します。あまり安すぎてもダメですが、うまく仕入れ原価を下げられれば、物件が高い時期でも取得価格を安くすることは可能です。

理由2. 借入期間が長く、ローンがつきやすい

融資環境と物件価格は相対します。融資環境がいいときは当然、物件価格も上がります。しかし、物件価格が高いから買わないのでは、いつまでたっても買えません。

個人投資家は融資環境がいいときに多少、無理してでも買うべきです。理由は自己資金が少ない人や取引実績がない人は融資環境が悪くなったらローンが組めないからです。融資が出るうちに銀行取引をはじめて、取引関係をつくっておくことが重要です。

日本ならではですが、スクラップアンドビルドの文化が根付いているからか、とにかく金融機関は新築が大好きです。評価も高く、融資期間も長くできます。

スルガ事件以降、法定耐用年数が短い築古物件は融資がつかなくなりました。それにより、地方案件は物件を買えない、売れない状態が続き、流動性が悪化しました。一方で、都心新築物件は融資がつきやすく、ニーズ拡大しています。新築需要に伴い、土地の需要超過し、土地活用プランナー資格受講者が増加したりと非常に好調です。

理由3. 賃料を設定できる

中古物件はテナントが入っていたら、賃料を上げることはハードルが高いですが、新築であれば賃料設定できるというメリットがあります。特に都心の新築マンションは需要が高いです。

すぐ決まるからといって、安易に安い賃料で設定するのではなく、稼働率×賃料を考えて賃料収入を最大化できる賃料設定でスイートスポットを見つけることが重要です。

一種単価、賃料単価、利回りの相関関係でみると、仮に一種40万で仕入れた場合(建築費130万前提)
賃料坪単価1.0万→7.06%
賃料坪単価1.1万→ 7.76%(+70bps
賃料坪単価1.2万→8.47%(+70bps
賃料坪単価1.3万→9.18%(+70bps

上記述のように、賃料次第でここまで利回りが変わります。

理由4. リーシングしやすい

日本人は個人、法人問わず新築が大好きです。新築信仰は、購入だけでなく賃貸にもいえ、都心の新築物件であれば、仲介会社への広告料=ADを追加で出さなくてもすぐに決まります。

理由5. 売却しやすい

売却しやすいというのは、2つの点から言えます。

買う時のロジックと同じで、上記に述べた理由と同様に新築大好きな金融機関は多少利回りが低くても融資を組んでくれます。再販するときも次の買主が買いやすくなります。

もう一つは修繕の点です。銀行は築古物件の大規模修繕のタイミングを気にします。買った直後に大規模修繕をする必要があれば、キャッシュフローに大きく影響するからです。一般的な投資家はNOI=Net Operating Incomeで利回りを計算しますが、プロの世界ではNCF=Net Cash Flow(CAPEXを考慮したフリーキャッシュフロー)で物件評価をします。

新築は再販しやすい、リーシングがつきやすいという点で売却も当然しやすくなります。RCの場合、仮に10年保有したとしても、残存年数は37年もあります。ローン35年の残存年数としては十分です。

理由6. メーカー保証で修繕できる

新築物件は、法律に基づき施工会社が10年保証する仕組みになっています。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称 住宅品質確保法/品確法)により、引渡しから10年間の保証が事業者に義務付けられています。

でも、万が一、事業者が倒産してしまい、その後に瑕疵(欠陥)が見つかったら...その解決策として“住宅瑕疵担保履行法”があります。この法律により事業者は【保険加入】または【保証金の供託】による資力確保が義務付けられています。

仮に10年保有したとして、10年間使っていれば多少の修繕はかかるかもしれませんが、最新の設備であり、少なくともメーカー保証もあるので、当分の間は心配しなくても済みます。

理由7. 売却による開発利益を享受できる

不動産開発は、過去何十年も継続している確立されたビジネスモデルです。今ある大手デベロッパーの利益率、規模的を見れば、それが証明されています。

「完成するまでの金利負担」や「賃貸付けするまでの期間」さらに「完成までの建築リスク」「施工会社の倒産リスク」が伴います。

これらが障害になって、参入できない投資家、ファンドは多くいます。この大きなハードルがあるが故に、土地の確保、土地の瑕疵、企画、リーシング、竣工するまでのリスクの対価として、既存物件の利益とは比べられないほどの開発利益を享受できます。

理由8. 都心に物件を所有できる

都心の既存物件を取得しようとしても、キャッシュフローが潤沢に出る投資に見合う物件はマーケットにはほとんど存在しません。収支の辻褄を合わせられる物件はボロボロで融資がつかないか、地方で人気がない物件くらいしかありません。

しかし、開発型投資なら立地がよく自分が好きな場所を選ぶことができます。都心立地で、長期保有したいと考えるなら、開発型投資しかありません。

理由9. 好きな企画、デザインを決められて、差別化できる

不動産投資において、デザインや見た目は極めて重要です。自己利用で個人的な好み、好きなデザインにできるというメリットはもちろんのこと、投資においても、リーシングにしかり、売却にしかり、デザインが良いかで結果が変わってきます。

バブル期の物件、10年前の物件は最新のデザインとかなり違います。新築竣工時に短期で売却するとしても、資産家や富裕層の好みや趣味に見合う、オシャレ、新しいと思わせる、ステータスに見合う物件に仕上げられなければ、満足な金額では売却できないでしょう。

好みだけでなく、時代の流れに合わせてデザインは変えていけるという点でも、開発型投資しかできない特権です。

理由10. 用途を変更できる

新築のメリットとして、マンションやアパートだけでなく、店舗、オフィス、ホテルなど用途を自由に決められます。

例えば、今流行りの旅館業。既存マンションはまず賃貸人を追い出さない限り、用途を変えるのは難しく、旅館業登録できる既存物件はほとんどありません。

一方、新築であれば、マンションからホテルに変えてバリューアップすることができます。用途変更により賃料が1.2〜1.5倍以上になることはザラで、それにより、不動産価値は爆発的に上がります。


リストアップしてみると、これだけの理由がありました。経済的なメリットだけでなく、新しいモノを生み出すという行為が何より楽しいです。もちろん、リスクや手間、時間における負担は伴いますが、それらを考慮しても開発型投資をやらない理由はないでしょう。

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