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<おすすめ図書(英語)> The Storm Before the Calm: America's Discord, the Coming Crisis of the 2020s, and the Triumph Beyond - George Friedman


題名:THE STORM BEFORE THE CALM
著者: GEORGE FRIEDMAN
出版社:Anchor Books, A Division of Penguin Random House LLC
出版年度:2020
ISBN-13 : 978-1-101-91178-5
ジャンル:政治、国際政治


この本の著者は地政学の専門家である。私がこの本と著者について知ったのは投資家向けのポッドキャストで聞いたのがきっかけだったと記憶している。アメリカでは機関投資家、個人投資家問わず相当数の人がこの本を手にしていると思われる。

2023年3月の中旬である今日、アメリカを始め多くの国では年間10%近いインフレに見舞われ連銀も公定歩合を引き上げざる得ない状況が続き、その余波は最近のSilicon Valley Bank や Signature Bank の銀行破綻に繋がっている。問題は経済だけでなく貧富の差といった社会問題、様々な要因による国内政治の分断、あげたらきりがない数の問題が山積している。アメリカの経済、社会及び国内政治の変化はアメリカの国家戦略、外交政策にも波及されるのは必至である。つまり今後のアメリカの政治、社会、経済の変化のベクトルに見当つけることが今後の日本の外交政策を練る上でも重要となってくる。もちろん経営者や投資家にとってもこの地政学リスクに対してどう向き合ったらいいかのヒントになると思う。一番避けたいのはまったく見当違いの事態が発生してから混乱する事である。本書は今後発生するであろうアメリカ関連のイベントをどう理解したら良いのかの手助けをしてくれると思う。

資本のマクロ的な流れを予測するには地政学上の変化を読んでいく必要がある。ただ地政学リスクについて正確に評価するのは難しい。そしてウクライナ紛争などにみられるように現時点では世界は不安定で常に流動的である。この著者が主張するような冷戦後の世界のアメリカ単独覇権体制が今後も百年間に渡って継続されるという可能性よりも世界が多極化していく可能性の方が高いのではないかと思われる。いずれにしても流動的な地政学リスクに対応できる柔軟な姿勢が重要であり、つまるところ今まで以上にリスク分散が鍵になるという事である。総じて大損していないことが大成功であると思えるような心持が必要になっていくのかもしれない。


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