患者を診て欲しかった

今年のノーベル賞 医学生理学賞は、C型肝炎の原因となるウィルスを発見された3名の科学者の方に贈られる。
ノーベル医学生理学賞、C型肝炎ウイルス発見の3人が受賞

C型肝炎と聞いて、やっぱり、父ちゃんを思い出す。父も、C型肝炎だった。
インターフェロンで治療していた。
だいぶ辛そうで、良くなるところか、どんどん弱って行った。
これは、薬の副作用が辛い以外に、本人の気持ちも弱っていた。そして、主治医の対応が本当に悪かった。
これらのことが重なり、父ちゃんは、みるみる体力と気力を失っていった。
主治医は有名な方らしいが、息子のボクから言わせれば、クソ医者だ!患者の相談に耳をかざす、どんどんやつれていっても診ず。患者を診ずに病気しか観てない。

その後、症状は悪くなり、肝硬変からの肝臓がんになった。
大学病院ては、長く入院をさせてくれない。一定期間いると、退院宣告される。
主治医の対応、大学病院での入院時の対応など、父ちゃんはストレス過多で、ホントに心身共に弱っていた。
布団から出ることがなくなり、動かなくなったことから、筋力が低下して歩くのもできないくらいまでなった。
食欲もなくなり、脱水で救急車を2回呼んだ。
それくらい、生きることへの気力がなくなっていた。
2回目に脱水で運ばれた時、病室に行って話しかけたら、意識が朦朧としていて、目も開けるのがやっとな感じ。
そして、ボクであることが、分かっていなかった。
涙が出た。

そして、これが父ちゃんの望んでいることなのか?父ちゃんは幸せなのか?と思った。
この2回目に運ばれたときに、深夜の救急車担当医の方が、とても親切な方だった。
しっかりと大学病院の事情、父ちゃんの状態、今後のことについて話してくれた。
母ちゃんと話して、紹介いただいた別の病院に転院することにした。
これは、積極的治療をしないという、母ちゃんとボクの決断だった。
つまり、死を待つということ。

転院した病院は、終末医療を提供していた。
そこは、主治医、看護師が、とてもよく患者を診て(看て)くれる。
父ちゃんのストレスが大分緩和されて、大学病院ひ運ばれた時の状態が嘘のように元気になった。
転院したばかりの時は、いつ何があってもおかしくない状態と言われていた。
なので、母ちゃんとびっくりだよねと、何度も話したのを思い出す。

その後、退院して実家での療養となった。
父ちゃんの希望だった。
家に帰りたい、家でご飯が食べたい、死ぬなら家で。
それから、3年生きた。
大学病院に担ぎ込まれて、転院したときに主治医から告げられた状態を思い返すと、ホントに生きる気力というのは、重要なんだと実感した。
本当に、家に帰ってよかったと思う。

医療は、技術は、どんどん進歩していく。
ノーベル賞医学生理学賞を受賞される科学者の方の功績は大きい。
この素晴らしい発見や研究が、意義ある形で利用されることを心から祈る。
患者は医者を頼って病院に行く。頼った医者は、患者ではなく病気を診るとなることがないよう願う。きちんと、患者と向き合って患者を診て欲しい。

父ちゃんを思い出したので、書いておく。

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