陰キャ美容師プロローグ

 美容師。

世間では3Bとか言われるうちの職業のうちの一つ。モテるけど付き合っちゃいけない職業らしい。世間様の美容師に対するイメージは、明るい通り越してチャラい、陽キャの極み、パリピ。ギャルorヤンキー。多分そんな感じ。
或いはあらあらうふふなグリグリパーマの濃厚化粧マッダーム。

 いやいや。私、今は美容師やらせてもらってるけどド陰キャコミュ症地味眼鏡よ!?
もんのすごく!無理して!あたかも陽キャみたいに振る舞うド陰キャ!
さらに不幸は重なるもので、基本的に人に触れるのも、触れられるのも好きになれない。
不意に触れ合ってしまうと「ぎゃあ」となる。
どれくらい好きになれないかと言えば、それこそ美容室、なんてのは行きつけのたった一人にしかかかった事がなかったくらい、我が人生に一番縁遠かった「美容師」

 じゃあ何で美容師やってんの?……と言う話。

「結婚したから」

 これに尽きる。
偶然にも、嫁ぎ先は美容室。
私も私で、結婚前に行きつけの担当さんに言われた「中卒の私でもとれたんだから美容師免許なんか誰でも取れるよ!」を間に受けてしまったのが悪かった……。後にこの言葉を恨む事になるとは、新婚ホヤホヤで純粋無垢な私は、まだ知らない。

 そもそも。
結婚を決める前の私は、ノーメイクでジーパン(EDWINの高いやつよ!)とポロシャツorウエスタンシャツ。ウエスタンブーツで馬に乗るのがお仕事だった。これまた所謂3K仕事なわけで、もちろん美容なんて、全っっく、興味もなかった。
紆余曲折あり、夫と出会って、結婚を決めた……時は、なんと、知らなかったんだ!ご実家が美容室、だなんて!(バカだよね)

 お近づきの印に、今はもう居ない旧店長に少し髪を切って貰った。ド緊張しながら頑張った。
その時の旧店長はまた、女性なんだけどカッコよく見えちゃったんだよ(あ、これが3Bたる所以か……)
 それに、やっぱりさ。
大事な人(夫)の大事な人(義母)が大事に思う店は、繋げて行きたいじゃん?とか、おセンチな気持ちにもなる訳で。

「私、美容師免許取ります!」

……って、皆の前で宣言しちゃったのが、コトの始まり。

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