早花まこ

2020年3月、宝塚歌劇団を卒業しました。 読むこと、書くこと、面白いこと、まだ知らないことが好きです。     「早花まこのハリネズミラジオ」 FMaiai 82.0MHz 毎週月曜日23:30〜0:00

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    • マゴムスメ・ライブラリー

      94歳の祖母、ばあばのお話です。

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    ⁑お知らせ⁑「私、元タカラジェンヌです。」咲妃みゆさんのお話が配信されました。

    新潮社のウェブマガジン「考える人」の連載「私、元タカラジェンヌです。」、 お話を伺ったのは、咲妃みゆさんです!  咲妃みゆさん、愛称はゆうみさん。  下級生の頃から大抜擢をされてきた彼女は大きな期待に応え続け、求められる以上の演技で舞台を作り上げた方。  その半生は、とてもドラマティックです。  でも、今回、ゆうみさんが語ってくれたのは、その人生に起きた具体的な事柄や華やかな活躍の裏話だけではありませんでした。  ゆうみさんが話してくれたのは、彼女の心の内側で起きたこと。

      • セレナーデが聴こえるまえに

           乗り物酔いばかりしていたから、車にもバスにも乗りたくない。  そんな子供だった私に、両親がこう教えてくれた。  「乗り物に乗ったら、窓の外の景色を眺めると良いよ」  遠くを見れば目が回らないし、気が紛れるから、それは乗り物酔い防止の効果抜群の方法だった。  それからというもの、私はいつも乗り物に乗るなり窓にはりつくようになった。  遠足へ行くバスの車内でも、級友たちがお菓子を交換しあったり、ゲームをして歓声をあげる中で、私は彼らと反対方向へ顔を向けていた。  だって見た

        • 雑草姫

           蝉の声が響き渡る頃から、数日間にわたって続いた雨が上がると、庭はジャングルのように変貌していた。  濃厚な緑色はつやつやと輝き、勢いが衰える気配はない。  初夏からの油断と怠慢が、雑草の全盛期をもたらしてしまったのだ。  植物は好きだが、こんなにも傍若無人に暴れられると困り果てるしかない。  もうすぐ私の背丈に届きそうなほど、どでかくなっている草がある。  調べてみたら、ヨウシュヤマブドウという植物だった。  シェフレラが衰え、パキラの葉が焼けるほど強い日差しをも貪欲に浴び

          • ⁑お知らせ⁑「私、元タカラジェンヌです。」夢乃聖夏さんのお話が配信されました。

            新潮社のウェブマガジン「考える人」の連載「私、元タカラジェンヌです。」 今回は、夢乃聖夏さんにお話を伺いました!  ともみ(夢乃)さんがまだ星組にいらした頃から、「なんて男気のある方だろう」と思っていました。  男役としても一人の人としても、ぶれない芯があり、自分の思いを表明できる強さを感じていました。  「個性を発揮して生きる。落ち込む暇なんてない、前進あるのみ!」  強く、格好良く、そして面白いともみさんの生き方に、心を揺さぶられました。  大切なお話を楽しく語ってくだ

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            マゴムスメ・ライブラリー 13

             東京公演中や宝塚市に来てくれた時、母は毎日、おにぎりを作ってくれた。  しゃけ、たらこ、じゃこまぶし。  日替わりの具が楽しみで、お稽古の日も公演の日も、わくわくとハンカチ包みを開けた。  宝塚歌劇団の食堂のおにぎりも、美味しかった。  厨房の方達は朝早くからごはんを作り、どんなに忙しくても目と目を合わせて食事を手渡してくれた。  「この食堂のおにぎりが美味しいのは、作っている人たちの優しさが入ってるからだ。絶対にそうだ」と、みんなで真剣に言い合ったことがあるくらいだ。  

            夜の彼方に散る音をかきあつめる

             なかなか寝付けない夜。  この心身が眠ろうとしないのには、きっと理由がある。  涼しい風に当たりたいのか、月光が眩しすぎるのか、もっと夜の底で泳いでいたいのか。  それでも早く眠りたい時はあるから、そういう時には耳を澄ませる。  それが私の安眠法だ。  小学校3年生の時からたびたび、乗馬キャンプへ行っていた。  牧場で馬に乗り、友達を作るのが楽しくて仕方なかった。  ただひとつ恐ろしかったのは、消灯時間になっても眠れないことだった。  はしゃぎ回っていた子供たちも、部屋の

            カルカーラ

             何を持って行けば良いのだろう。  ガイドブックの中の小さな記事を何度も読み返し、100年以上も異国の土に眠っている、私と同じ国の人たちのことを思った。  私の痩せ細った想像力では「おまんじゅうとお茶」を思い付くのが精一杯だったが、「本当にそれで良いのか」と迷いがつきまとい、結局私は何も持たないまま飛行機に乗ったのだった。    第一次世界大戦中、英国の要請により地中海に派遣された旧日本海軍は、連合国の船を守り、多くの人命を救ったという。  1911年6月11日、地中海を航

            ⁑お知らせ⁑宝塚の本箱「グレート・ギャツビー」が配信されました。

             Book Bangの連載「宝塚の本箱」。  アメリカ文学の名作「グレート・ギャツビー」について、書きました!  1925年にF・スコット・フィッツジェラルドによって書かれた、アメリカ文学史に残る傑作小説。  宝塚で上演された「グレート・ギャツビー」は、私にとって忘れがたい作品です。  といっても、感動して大好きだったわけではありません。  その当時の気持ちを思い出しながら、ブックレビューを書かせていただきました。  そんな印象深い舞台作品の原作を読む機会をいただき、これほ

            ムシノメガネ

             「私の目で世界や物事を見てくれたら、きっと誤解は解ける」  年老いた皇帝が妃にこう語りかける場面は、ミュージカル「エリザベート」を初めて観た時から強く印象に残っている。    20代後半の頃、フィルムカメラで写真を撮るのが好きだった。  液晶画面がないので、撮影した画像をその場で確認したり、撮り直すことはできない。  何も考える必要がないから、とにかくぱしゃぱしゃシャッターを切る。  円筒のケースに入れたフィルムを写真屋さんに持って行って、現像してもらう。  仕上がった写

            ⁑お知らせ⁑「私、元タカラジェンヌです。」中原由貴(煌月爽矢)さんのお話が配信されました。

            新潮社のウェブマガジン「考える人」の連載 「私、元タカラジェンヌです。」  中原由貴(煌月爽矢)さんにお話を伺いました。  「一人で台湾へ行く」  そう聞いた時は驚いた一方で、「由貴さんらしい!」と思いました。  私が知っている彼女は、いつも新たな挑戦をし続ける人だったからです。  「私は楽観的すぎる」と笑う由貴さんですが、その楽観にどれだけの努力と強靭な信念がこもっていることか。  彼女にお話を伺って、「私も新たな挑戦を始めたい!」と心が燃え出しました。  飾り気のない由

            向こう三軒両隣とりどり

             川の近くのマンションに住んでいた子供時代のことを、私はたびたび思い出す。  そこには必ず、もう1人の女の子がいる。  隣の部屋の住人だったJちゃんだ。  幼い頃から、私たちはとても仲が良かった。  お互いの部屋で遊んだり、マンションの敷地の外まで出かけたり。  一緒にめだかを飼っていたこともある。  一匹のめだかを入れた水槽を行き来させ、かわりばんこにお世話していたのだ。  不安定な環境に置かれためだかには、迷惑でかわいそうなことをしてしまったが、Jちゃんとはそれほど親しか

            臆病者の夢解き

             「公演の初日なのに、私だけ舞台化粧をしていない」、「突然舞台が始まったけど、台詞をひとつも覚えていない」。  これは、舞台にかかわる人が必ずといっていいほど見る夢シリーズだ。  舞台に立つ緊張や不安からそんな悪夢をみて、飛び起きる。  それは役者さんだけではなく、時折、スタッフの方でも役者目線で夢をみるという。  以前、あるお芝居の原作者の方が、「今から舞台に出るのに台詞が思い出せない」という夢をみたそうだ。  「これが噂に聞く、舞台の初日近くに見る悪夢か!」と思ったという

            ⁑お知らせ⁑宝塚の本箱「オイディプス王」が配信されました。

            Book Bangの連載「宝塚の本箱」、今回の作品はギリシャ悲劇「オイディプス王」です!  小説やエッセイは読むけれど、戯曲なんて普段は読まない……そんな方が多いのではないでしょうか。  宝塚に在籍していた私にとって、戯曲、台本は「仕事の道具」でした。  尊敬する演劇の先生に、戯曲を読む楽しさを教えていただいたのは、卒業してからです。  戯曲に書かれているのは場面の簡単な説明、人物たちのおおまかな動作、そして台詞のみ。  小説に比べて風景や人物の描写が少ない分、読み手は自由

            マゴムスメ・ライブラリー 12

             巡る季節は、いつも美味しい味をもたらした。  夏には、とうもろこし。  雨が過ぎれば豊かな実りが待っていたから、梅雨は嫌いじゃなかった。  そう、私の祖母は語る。  私の雨好きは今に始まったことではなくて、思い返せば中学生の頃から雨雲に見惚れていた。  繰り返し聴く音楽は、気がつくと雨が歌われているものばかりだったし、傘立てには何本ものお気に入りの傘が身を寄せ合っていた。  そんな私でも、くる日もくる日も続く雨にはため息が漏れる。  じっとり水を含んだスカートの裾や、びし

            ⁑お知らせ⁑宝塚の本箱「ポーの一族」が配信されました。

            Book Bangの連載、「宝塚の本箱」。 「ポーの一族」のブックレビューが配信されました!  多くの読者さんに愛されている漫画、「ポーの一族」。  名作のブックレビューを書かせていただけるなんて緊張する、そして大変嬉しい経験をさせていただきました。  高校生の時に初めて読んだこの作品を、大人になってから改めて読み直した時。  あの頃よりいくらか物事を知った私の目に、エドガーの孤独を通して様々な風景が見えてきました。  はるな檸檬さんの素晴らしいイラストとともに、ぜひお楽し

            ⁑お知らせ⁑ 宝塚の本箱「パルムの僧院」が配信されました。

             Book Bangの連載「宝塚の本箱」。 「情熱のバルセロナ」の原作である小説「パルムの僧院」について書きました!  宝塚歌劇団で1982年、大地真央さん主演で上演された「情熱のバルセロナ」。2009年には雪組の全国ツアー公演として再演されました。  原作の小説はなかなか手強い作品で、読み進めるのがひと苦労。  1796年頃からの、ヨーロッパの歴史や文化をよく理解して冷静に読まないと、主人公の躍動に追いつけないのです。  待ってくれ、ファブリス!!    いつの時代もどこ