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ひとりは好きですか?

一人でいるのが好きだ。みんなでいても、しばらくは楽しくできるのだが、そのうち苦痛になってくることがよくある。一人でいると、誰にも気をつかう必要はないし、やることもいくらでもある………

子供の頃からいつも一人だった。

記憶にある最初のことは、多分これが最初だろうと思うのだけれど、5歳くらいの時、ひたすらお店の床に、チョークで文字を書いていた事だ。私の両親は、私が生まれたくらいの時は商売をやっていて、お店の床はコンクリートの打ちっぱなしだった。何を書いていたのかよく覚えてないけど、その頃には自分の名前が漢字で書けたからしいら(私の名前は簡単だから)、得意になって書いていたのかもしれない。誰に自慢する、と言うこともなく。
両親はどうしたの?と、思うかも知れない。でも、当時は高度経済成長時代の走りで、とは言うもののインフレも手伝って家計は苦しく、朝から晩まで一生懸命働いてようやくなんとか生活していた、と言う状態だったのである。富裕層はともかく、私たちのような庶民はみんなこんな感じだった。子供の面倒など、後回しになっていた。それでも、私の両親は、男の子だから大学に行かせたい、と一生懸命に働いて稼いでくれた。

小学校に入っても、まあ友達はいたが、あまり遊ぶと言うことはなかった。当時の小学生は、塾もなくテレビゲームもなく、放課後はみんな外で遊んでいたものだが、私は多くの時間を家で過ごしていたように思う。いじめのようなことは、少しあったかも知れない。両親が音楽好きで、8歳違いの一番上の姉も音楽が好きで、レコードがたくさんあったから、それを聴いたり、やはり一番上の姉が両親を説得して、文学書とか、科学の本とか買ってくれたから、それを読んだりしていた。小学5年生の誕生日、だと思うけど、電子ブロックの前身のようなもの(名前は忘れた)を買ってもらって、これに夢中になった。ここからエレクトロニクスの世界に入っていく。

中学校も同じ。一人だけ割と仲の良い友達はいて、卒業後は、大学時代までつきあっていたくらいだ。でも、1年生の時に、やはり一番上の姉がギターを買ったので、私もギターを始めた。これは結構夢中になった。

きっと、変わった子だったのだろう。自分勝手で、わがままで、みんなから敬遠されていたのだろう。「ありがとう」「ごめんなさい」は、ちゃんと言えていただろうか。それに、友達を作ろうという努力もしなかったのかも知れない。方法が分からなかったのかも知れない。

高校に入ると一変する。最初こそギクシャクしていたが、次第に一体感が出て、普通なら私が「感じ悪〜」と思う奴まで、みんな一緒、と言う感覚になって来た。もちろん私もその一員で、ようやく「一人じゃない感」を持った。学校が楽しかった。学年でこのクラスだけ、3年間クラスメンバーが変わらないと言うこともあるのかも知れない。今でも定期的に同窓会をするが、必ず参加する。気軽に話しかけられる、話しかけてもらえるのが、私には一番嬉しい。

大学では、クラブに入っていたが、疎外感を感じることはあまりなかった。

就職して、あるメーカーの研究所に入った。休みの日に、若い連中がよく誘い合って遊びに行っていたようだが、私が誘われることはなかった。誘い難い雰囲気を醸し出していたのか、はたまた付き合いの悪い奴だと思われたのか、他の理由なのか定かではない。私に隠すことはなかったので、私がそれを望んでいない、と思っていたのだろう。疎外感があったが、その分、研究に没頭した。その後、いろんな部署を転々としたが、似たり寄ったりだった。でも、ひとつだけ、みんなが一つになっている部署があって、そこでは疎外感を感じることはなかった。諸事情により、その部署が解散になった時、みんなで泣いた。
そのうち、自分が課長になり、部長になり、それどころではなくなってしまった。そもそも管理職は孤独だ。

20歳代前半のころ、時々、理由もわからず無性に悲しくなることがあった。その頃は、まあまあギターも弾けるようになっていて、悲しい時はギターを弾いた。弾いたのは中島みゆきの曲。その頃だから、比較的初期の曲だ。弾いていたのは「海よ」とか、「五つの頃」とか、「夜風の中から」とか、「店の名はライフ」とか色々で、あげるとキリがない。何曲も弾きながら、歌いながら、思いっきり涙を流した。彼女の曲は私の人格の一部を作っているのかも知れない。そして、その悲しみから最後に私を救ってくれたのは、「誕生」だったのだろうか。そんな感覚になった覚えはないが、この曲を歌うと、ウルウルしてきて歌えなくなることが多い。深層心理の何かがそうさせるのか

……… 一人でいることが本当に好きなのだろうか?

先日、心理テストというものをやった。配信で、ライバーさんがやっていたから、参加しただけだけど。心理テストそのものは、一つの結果でどこまでわかるのかと考えると、そのまま鵜呑みにするわけには行かないとは思っている。
で、その時の心理テストが、確か、あなたのストレスになっているものは?というテストだった。結果は、孤独がストレスだと。
孤独がストレス?そんなことは考えてみたこともなかった。今まで、ずっと一人だったから。でも、就職して間もない頃の疎外感は、一人でいるのが嫌だからなんじゃないか?小学校、中学校も、一人でいるのが嫌だったんじゃないか?みんなで一緒にいるのが苦痛になってくるけど、本当はもっと一緒にいたいんじゃないだろうか。もっともっと、みんなとお話しして、楽しい時間を過ごしたいんじゃないか。仲間に入れないことを、一人が好きなことにして、勝手に強がっていただけじゃないか。そんな思いが彷彿と湧いてきて、愕然とした。

本当はみんなと一緒にいたいんだ。居場所があって、そこで安らぎや温もりを感じたいんだ。今までも、居場所を求めて彷徨ったことがあるだろう?そうなんだよ。そういう叫びが聞こえてきた。必ずしも、今のままが悪いわけじゃないけど、自分は変わりたい。でも、私の何かが原因で、それが出来ない。
これから、その原因追求の旅に出ることになりそうだ。

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