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shibakaoruko
2022年12月29日 09:12
生まれ変わってもあなたのお側にいたいという願いはかなってこの年の暮れもあたしたちは二人で街の片隅のファストフード店のいつもの席で過ごしている。彼はガサガサの新聞を眺めたりチラシの裏に小説を書きつけたりしている。本当は二人でお手軽イタリアンに行きたいのだけれど彼は頑としてこの店に居座る。もちろん理由はわかっていた。「のう、お市よ。越前蟹の美味い季節じゃ。わしも食してみたい」あたしに話しかけてい