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どうして部下の行動は改善されないのか?

「社員・部下が思い通りに動いてくれない」と悩んでいる経営者や上司の方は多いと思います。

理想は指摘や指導をしたらすぐさまに行動を改善してくれることだと思いますが、なかなか行動が変わらないのが現実ではないでしょうか。

そこで、今回は人が行動を改善する仕組みについて考えたいと思います。

まず、人が現状でしている行動はどのように形成されるのかを考えましょう。それは4つの要素で形成されています。

①自己イメージ
②価値観・考え
③習慣やパターン
④心理的欲求

の4つです。

家電量販店の販売員さんを例に考えてみましょう。

家電販売店のAさん(25歳)は、自分からはお客さまに声をかけることが少なく、また接客対応をするのも若い女性層に偏っており40歳以上の男性のお客様にはあまり近づこうとしません。特に商品知識の豊富なお客様にはそっけない態度をとってしまいます。そのため営業成績は決して良くないのでマネージャーが注意をするのですが、なかなか行動が改まりません。

このAさんを先ほどの4要素で考えるてみると、
①自分は臨機応変なコミュニケーションができなくて、年上や上から目線の人は苦手だと思っている。
②買い物するときに声をかけるのはお客様が嫌がるため、声をかけないほうが気持ちよく買い物できるためそっとしておくのが一番よいと考えている。
③苦手なタイプな人がいるとついその場から逃避してしまう癖がある。
④家電知識のない人に商品のことを教えたり伝えることで、いつも優越感を感じている。

という具合です。

このAさんに行動を改善するようにマネージャーが次のように言ったとします。

「お客様にはこちらから話しかけてあげて、何を求めているかお聞きして買い物のお手伝いをしてあげるのが俺らの仕事だ。そうやって接客することがお客様のためにもなるし、自分の売上成果にもつながる。今のままだとずっと成長しないし後輩に追い抜かれて恥ずかしい思いをするぞ。」

しかし、一方にAさんは行動を改善しません。
一体なぜAさんは変わらないのでしょうか。

改善行動シーソー①

上の図は、今まで通りの行動[既存行動]に対して、新たな行動[改善行動]を求めたときのシーソーです。

Aさんの例で改善行動を見てみると、
ストレス負荷(必要性)は「マネージャーに注意されること」「成長してないといわれること」「後輩に追い抜かされるかもしれないこと」でしょう。
新たな考えや見方は、マネージャーが伝えていた内容ですが、これも腑に落ちてAさん自身の考えにならない限りは、このシーソーには影響を与えません。

では、改善行動をするときはどのような場合でしょうか。


改善行動シーソー②

要素としては、
① ストレス負荷(必要性)
② 新たな欲求充足
③ 知識やスキルの学び 
④ 体験・内省の気づき(新たな価値観)
⑤ 自己イメージの転換 
です。

Aさんが改善行動をしなかったのは、まずストレス負荷が足りなかったこと。もしかしたら、マネージャーに注意されることも、後輩に追い抜かれることも何とも思ってないかもしれないし、成長したいとも思ってないかもしれません。そうしたら、Aさんにとってはストレス負荷はまったくなかったことになります。

改善行動が為されるのは、基本的には、①ストレス負荷から行動して、④その経験から気づきを得ることから始まります。
場合によっては、④内省することによる気づきが先に起きて行動を起こすこともあります。

次に大事なのは、改善行動することによって②欲求が満たされることです。改善行動がうまくいくためには③知識やスキルの学びが必要です。

そして、改善行動にによる成功体験を味わったり、周囲からのフィードバックや成長実感から⑤自己イメージの転換が起こります。

Aさんの例に考えてみましょう。

Aさんは、担当であるPCが大好きなのでPCに関わっていたいと思っています。そこで、彼に大きなストレス負荷を与えるためにマネージャーは、
「今の成績のままだとPCから小物家電に異動しなくてはいけない。今月とと来月の成績で判断することになる。この担当をしてほしいと思ってるので、ぜひ成績を上げてほしい。以前、シニアのお客様が困っていたときに自分から話しかけ親切に説明したことで大口購入につながったよね。そういう成功体験を持ってるのだから、絶対やれるはずだ。」

そうマネージャーに言われたAさんは、次の日にシニアのお客様に早速自分から声をかけて親切に説明することで購入していただくことができました。
お客様にもとても感謝されてこのような言葉をいただきました。
「あなたが丁寧にわかりやすく説明してくれたおかげでいい買い物ができたよ。教えてくれなかったら本当なにもわからなくてちゃんと買い物できなかったかもしれないわ。」

この成功体験から、Aさんの中で考え方に変化が起きました。
お客さんの中には自分から声をかけてあげないとちゃんと欲しい物が買えない人もいるから、そういう人には積極的に声をかけていこう。シニアのお客様も若者と同様にPCのことはあまり知らないから僕が教えてあげないといけない。案外年上の人の接客も得意なのかもしれないな。

いかがでしょうか。
このようにうまくいくパターンは稀かもしれませんが、要素としてはどれも同じのはずです。

皆さん自身が成長したときも当てはまるのではないでしょうか?
部下が改善行動をしない、成長できないとしたら、話した要素が何か足りていないということです。

そこをしっかりと分析して行動を変えるサポートや後押しをしてあげてくださいね。


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