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RADWIMPS「37458」歌詞の意味を考察してみた

RADWIMPSのアルバム「アルトコロニーの定理」に収録された曲「37458」。
これぞ隠れ名曲、知名度は低いが私はこの曲が死ぬほど好きだ。
なぜなら歌詞に痛いほど共感できるから。

なかなか解釈が難しいであろうこの曲。
今回は、私なりに「37458」の歌詞の意味を徹底考察してみようと思います。

孤独な主人公「みなしごハッチ」

「37458」は「みなしごハッチ」という読み方をします。
アニメ「昆虫物語 みなしごハッチ」は母と離れ離れになってしまったミツバチのハッチが未だ見ぬ母を探して苦難の旅をするストーリー。

ここから読み取れるキーワードは「孤独」と「苦悩」、そして「旅」。

「37458」の主人公は、みなしごハッチのように孤独感を抱え、苦悩しながら何かを探して旅をしている。そんな世界観がタイトルから伝わってきます。

「苦悩する自分」と「そんな自分を諭す自分」

「絶対なんて絶対ない」
ってそれはもうすでに絶対です
一体全体どうしたんだい?
何がなんだかもうわからない

「全てのことに自信がない」
ってそれはもう立派な自信です
でもだからって何も変わらない
お願い うるさい もう消えてください
大丈夫だから もう誰もいないから
歌って聴かせてよ

「37458」には、このような対話形式の歌詞があります。

これは矛盾ばかりの世の中に対する
精一杯の屁理屈をこねた痛烈な批判。
絶対なんて絶対ない、
って矛盾してること言ってるじゃん。

自信がないことが自信だと
励ましになりうる矛盾もあるなと
気づいたところで、
心が救われるわけもなく。

ああだこうだと言う人や
アレコレ渦巻く頭のおしゃべりに
もううるさい、消えて欲しいと苦悩します。

そんな自分自身に対し
「今は大丈夫だから、吐き出して」と諭す自分。

そして歌い始めます。

正しさを押し付け合う世界に対する、孤独な叫び

だからこのなんとでも言える世界がいやだ
何の気なしに見てたい ただ ただそれだけなのに
このどうとでもとれる世界がいやだ
どうでもいい もう黙っててパパ 黙っててパパ

ここで言う「パパ」とは何を表すのでしょうか?

母性が無条件の愛情や受容、優しさを象徴するものだとしたら、
父性というのは、役割やルール、権威や厳しさを表します。

正しさの正しさを ただ知りたいだけ
正しく教えてよ

主人公が探してるもの、それは”絶対的な正しさ”です。

この世界は、人の数だけ「正しさ」が混在してますよね。
家族や学校、会社や国。「これが正しいです」「いいや、こっちが正しいです」。
人によって言うことが違ったり、時間が経ったらその正しさがひっくり返っちゃったりして。

一体何が本当に正しいのか?
そんなの結局、人それぞれでしかない。
捉え方によって、この世界はどうとでも言える。
この世界には絶対的な正しさなんて存在しない。

それなのに、それに気づかない愚かな私たちは「こうしろ、ああしろ」と正しさを押し付け、「これができてない」と勝手な指標で人を評価するわけです。

ある人は人生を山に例え
ある人は人生を星に例え
ある日突然 ところで君は誰?
って言われたって んなの分からない

大丈夫だから 私はあなたが思った通りの人だから

このなんとでも言える世界がいやだ
何の気なしに見てたい ただ ただそれだけなのに

「君は何になりたい?どう成長したい?」
「君はそんな人じゃないだろう。」
「それじゃだめだ、もっとこうしなよ。」

この世界を好きなように解釈し、
ただ波に身を任せるように生きることが簡単にできない。
周りは放っといてくれません。

この世界の物事に絶対的な正しさがあったら。
こんなに苦悩することもなく、ただ正しい道を進めばいい。
どうして世界はこんな仕組みなんでしょう。

だけど、本当は自由なこの世界

このなんとでも言える世界なのに
この何とも言えない想いはなに
このなんとでも言える世界がいやだ
こんなに歌唄えちゃう世界がいやだ

主人公が嫌悪する、なんとでも言えるこの世界。
でもそれは裏を返せば、自分の捉え方次第でいかようにも変わります。
人の数だけ正しさがあるように、「こんなに歌が唄える」と主人公が言うように、本当はこの世界は自由なんです。
本当は、誰も自分を縛ってるわけではない。
誰かの言う正しさに迎合して、自分で自分を縛っているだけ。

そんな真理に気づきながらも、世界を嫌悪する自分の弱さ。

全部わかってるけど、
感情がどうしても辛いんです。

正しさが混在する世界への嫌悪、世間の正しさに迎合してしまう自分の弱さ、本当は自由なこの世界への情愛。
そんなものが混じり合った曲が、私にとっての「37458」。

この曲の主人公が探しているのは、”絶対的な正しさ”だと述べました。
ですが、みなしごハッチがそうであったように、心の奥底では、母親、つまり”ありのままでいることへの受容”をただ求めているだけなのかもしれません。

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