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現代詩「牛/風」
「牛/風」(風の中の牛)
小さな ダム湖 その縁に 牧場
湖面を渡る 強い風
そこに 一頭の牛
吹きさらされる 若い牛
瞳 にごりのない ふたつの瞳が
僕を 見る
牛は なんでも知っている
僕が 金を数え続け
指先の紋様まですり減るほど
札を数える日々にいる…
そんなことはお見通しだ
ダム湖
水面を渡る風は
音もなく 冷たい
風は 牛にあたり
僕に あたり
山の中に 消えていく
牛の瞳は まだ僕を見ている
僕は 背を向けて
山を下りることにした
明日もまた
金を数える 日常がまっているから
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